今週のリフレクション【人を選ぶ技術(小野壮彦氏)】
今週は小野壮彦さん著「人を選ぶ技術」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・
1.「人を見る目」を身につける最大のメリットは、自分を見抜きお互いの期待値をジャストにできること。「見立てる」は楽観寄りのニュートラル、「見抜く」は悲観寄りのニュートラル。どんなリスクがあるかをあらかじめ認識しておく。自分のことすら理解できないのに、他人を理解するのは不可能。風貌や来歴(特定の評価軸)で判断、学歴とハロー効果が結びつき、確証バイアスによる見逃し等、自分の無自覚のクセを自覚する。人を決めつけず、見切った気にならず、好奇心のシャッターを下ろさない
2.人を4つの階層でとらえる。1F 経験・知識・スキル、B1F コンピテンシー(行動特性)、B2F ポテンシャル、B3Fソース・オブ・エナジー(使命感/劣等感)。浅い階層ほど、わかりやすく変えやすい。とった行動=ファクトで、成果志向/戦略志向/変革思考といったコンピテンシーを見抜く。ポテンシャル・モデルで①好奇心(吸収×更新)、②洞察力(集める×つなげる)、③共鳴力(結ぶ×響く)、④胆力(腹決め×律する)の未来(伸びしろ)を見抜く。ソース・オブ・エナジーは能力ではなく、エネルギー。無自覚に自然と湧き起こるコントロール不能の熱量。使命感(ミッション)と劣等感(コンプレックス)は陰と陽。矢印を自分に向ければ大きなパワーを生む。
3.優劣×善悪で見た時、優秀×無害の見逃しと、優秀×有害が落とし穴になる。優秀なEVIL(有害)はマウント型とナルシスト型。まばたきが極端に少なく、共感性が著しく欠如。突発的EVILはプレッシャーが引き金。①目標に意識→他人を操縦、②人間関係に意識→依存、③あるべき姿に意識→安全地帯。誰にも可能性があり、しきい値を確認。面接はギブ・アンド・テイクの世界で、差し出すことが先。実践メソッド①整える=自らの心を整える、②和らげる=感情は伝播する、③あぶりだす、④ボーっと見る=感性を活性化。加点方式のワイルド採用で、何も言われなくても自ら学んで育つ人材を採用する。
私は楽観的だという自覚があります(笑)だからこそ、見立てる(楽観寄りのニュートラル)スタンスによりがちで、しっかり意図しないとリスクの想定が甘くなってしまう傾向があると感じました。人材育成を担当していると、どうしても人を楽観的に見てしまうクセが自然とついてしまうようです。
では、楽観と悲観のバランスはどんな塩梅がいいのでしょうか?もちろんケースバイケースだと思います。新卒採用、キャリア採用、幹部候補の採用など、それぞれによってバランスは変わってくると思います。ただ、少なくとも、どんなバランスで見るべきかを考え、どちらの側面で相手を見ているかを自覚することが必要なのだと思います。
個人的に面接では、まずは好奇心を持って相手の良いところを楽観的に見立てます。①過去の実績や行動から「コンピテンシー」を探り、②そこからどんな学びを得たか「内省力」を確認します。③そして、未来に向けての展望から「エネルギー」を感じます。④最後に、悲観的に双方にリスクはないかを見定める、という順番で判断しているように思います。そして、シチュエーションによって①〜④のバランスを変えています。
ただし、一度仲間になると決めたら、相手を信じて、楽観的な目線で接することが肝心だと思っています。それが、書籍にもある何も言われなくても育つ人材になる前提だと思います。(もちろん、お互いに悪者にならないための最低限の決まりは必要だと思いますが。)