今週のリフレクション【全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発(守島基博氏)】
今週は守島基博さん著「全員戦力化 戦略人材不足と組織力開発」を振り返ります。要点をザックリまとめると・・
1.企業がこれまでと異なった成長戦略をとり始めており、働く人が価値観を重視。今、戦略人事が求められている。日本企業は組織力で勝ってきた。経営環境や働く人の変化を受け、努力して組織力開発をする必要がある。日本は人手不足ではなく戦略人材不足。組織力による全員戦略化が高い競争力につながる。職場が持つ組織力はオモテとウラの機能でバランス。①協働⇄競争、②人材育成⇄評価(選別)、③所属⇄参加、④同質性⇄異質性。寒冷化でオモテ機能よりウラ機能のウェイトが高まっている。改善のキーワードは自律。仕事自律がキャリア自律の前提。企業は成果とキャリアに責任を持たせる必要がある。
2.働きがいや働きやすさは、働く人の視点。日本では、雇用の長期性を前提として自社を選択してくれる状況をどうつくるか。働きがいは、人を前に押し出す力。働きやすさは、それを阻害する要因を取り除くこと(衛生要因)。働きがいは、達成感(今の仕事)と成長感(未来の仕事)、働きやすさは、個の尊重がカギ。①心理的安全性、②組織文化として成立、③抽象度の高い目標の共有、がないとダイバーシティは逆効果。表層のダイバーシティではなく、深層のダイバーシティが本当の課題。従業員の見守られている感覚がカギ。
3.OJTによる人材育成は、①職場構成員の変化、②組織構造の変化、③情報環境の変化、④目標達成管理の強化、⑤マネジメントの役割過多、により困難。行動レベルでの役割明確化、組織図の修正(マネジメント機会の増加)、フォロワー育成への投資が必要。チームは①多様化、②期待される成果(革新)、③コミュニケーション(非対面)が変化。①インクルージョン(多様な能力や経験を活用する)力、②心理的安全性、③エンパワーされた人材の確保と自律を許容する組織、が必要。主体性を許容・促進する組織には、リーダーシップスタイルの変革(支援型)がカギ。
4.多様な雇用関係をもつ人材グループを組み合わせ、雇用ポートフォリオが浸透。結果の公平性(静的公平性)だけでなく、過程の公平性(動的公平性)=①情報開示(基準・結果の公開)②分配決定プロセス(申し立ての機会)③分配システム設計段階(制度設計への参加)、が必要。従業員エンゲージメントとは、働く人がもつ組織や仕事に対する熱意や情熱。日本はエンゲージしている社員が6%。自己決定感がなく、評価が曖昧なことが要因。ジョブ型化で、期待成果や職務ミッションの明確化はプラス。
エンゲージメントという言葉をよく耳にするようになりました。エンゲージメントを向上させるにはどうしたらいいか?という問いは非常に曖昧です。本の切り口を借りると、①働きやすさを整備して、②働きがいを感じられる環境を設計する、という順番になりそうです。
働きやすさとは、個の多様性を認める文化があり、一律ではない柔軟な制度となっていて、心理的安全性が担保されている状態だと思います。前提として組織全体が1人1人の個性を尊重しようという謙虚なマインドをもっていて、一律ではない柔軟な労務環境が整備されていて、強みを発揮しやすいチームの雰囲気になっていることが必要です。つまり、サスティナブルな環境をいかに作れるかだと思います。
働きがいとは、業務から達成感を感じることができて、自己成長を感じて、未来に希望が持てる状態だと思います。会社のミッションや戦略に共感しており、自身の仕事との一貫性を感じていて、仕事を通じて自己成長を感じることができる。つまり、未来に向けて希望が持てる環境をいかに作れるかだと思います。
まず、サスティナブルに働ける環境をつくり、次に、未来に希望が持てる環境をつくる。この順番がポイントだと思います。衛生要因が満たされないと、動機付け要因は機能しにくいでしょう。このあたりが、長期雇用を前提とした日本で従業員に自社を選択し続けてもらうために大切なことなのだと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?