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今週のリフレクション【裸眼思考(荒木博行氏)】

今週は、荒木博行さん著「裸眼思考」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・

1.すべの行為の上位に目的が置かれ、目的に追い立てられるのが、目的病。目的意識が過度に強く、全神経が集中している緊張状態。目的病では、視野が極端に狭くなって、変化を感じる機能が閉ざされてしまう。世界の変化が激しい現場では、トップダウンの合理的な選択だけではリスクがある。過去の知識からパターン認識をしてしまうのが、知識病。豊富な知識のデータベースにより、仮説が固説になってしまう。目の前の事象に意識が向けられておらず、あるがままに感じようとしていないが問題。

2.目的のレンズと知識のレンズ。度が強いと今をストレートに見られない。目的や知識から解放された裸眼になって、今目の前にある風景をそのまま見つめることも大切。レンズ思考と裸眼思考を往復しながら、世界を立体的に見ることが必要。裸眼思考は、現在に意識があり、五感がアクティブになっており、正しい理解を意図する。レンズ思考は、目的→仮説→検証→決断のステップだが、裸眼思考は知覚→保留→記憶のステップ。思考のチャンネルを使い分けることが大事。

3.①知覚:目的を忘れて、目の前にあることを知覚する。感覚器官の動きに意識を向けるのが知覚。視覚(記号情報から逃れる、視界/反復/孤独)→その他四感(目を閉じる)→内受容感覚(鼓動)。②保留:性急に解釈せず、余韻を残し、熟成・発酵する。問題の正体を掴むためにも、判断を保留するネガティブ・ケイパビリティが大切。他者の期待値から距離を置くために、問いという壁をつくる。特に、二元論の切れ目を疑ってみる。③記憶:単純化幻想に陥らないために、書いたり、冷静に対話したりして記憶する。記憶が深まると、知覚も深まる。裸眼思考はサイクル活動。

研修をすると、最後にアクションプランを立てることが多いと思います。学んだ内容を自分に引き寄せて、より良いアウトプットを生むために、具体的な行動を決める。行動が変わらなければ結果は変わらないので、研修として大切なエンディングだと思います。

ただ、それだけではどこかで成長の限界がくる、という思いも同時にあります。ある程度成長が進むと、自分に対する認識の型ができてきます。そうすると、インプットする情報をパターン認識してしまい、同じようなアクションプランに着地してしまうようになります。すると、成長が止まってしまいます。

では、その壁を超えるにはどうしたらいいか?それが、書籍にある「裸眼思考による保留」だと思います。敢えてアクションプランは決めずに、違和感を抱えたままにする。そうすることで、他の刺激と結びついて新しい化学変化を生み、自分の知らない認識が生まれ、壁を突破できるのだと思います。

そういう意味では、壁を超える成長のためには、他の刺激と結びつく“偶然”が必要です。では、偶然を待つしかないのか。私は偶然の可能性を高める工夫はできると思います。その工夫は、対話です。他者と抱えた違和感を語り合うことで、違う価値観から違和感を眺めることができて、偶然と出逢いやすくなると思います。

対話とは、自分の意見を変える前提でのコミュニケーション。改めて、更なる成長のために対話が必要なことを感じました。

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