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今週のリフレクション【企業内キャリアコンサルティング入門(浅川正健氏)】

今週は、キャリアコンサルタントの勉強会で浅川さんのお話を聞いたこともあり、著者の「企業内キャリアコンサルティング入門」を振り返ります。ザックリ3点で要約すると・・

1.企業内キャリアコンサルティングとは「働く人がイキイキと仕事に集中できるように支援する」こと。キャリアコンサルティングの6つの機能は、①アンテナ機能(職場の環境=リスク管理)、②相談機能(成長の一歩)、③問題解決機能(社内組織の強み)、④連携機能(部門/人事制度)、⑤人材育成機能(OJTの補完)、⑥提案機能(現場に密着)。セルフ・キャリアドックは、人材育成ビジョンが明確にあることが前提。ストレスチェックは、キャリア形成の促進・支援を支えるもの。

2.キャリアコンサルティングは、上司・部下間の関係調整→職場風土の改善→生涯教育→悩み相談への回帰(メンタルヘルス)→個と組織の関わり改善という歴史を辿ってきた。キャリアコンサルティングという概念は、キャリアカウンセリングを包含する。実践のスキルは、①丁寧に相手の話を聴く、②丁寧に対話して相手の心を聴く、③相手が自分を見つめる鏡になることに専念しタイムリーに質問をする、④相手が話したことを整理・確認することで、相手が自らを振り返ることの手伝いをする。

3.キャリア相談室立ち上げには、①何の目的で創る部署か?②会社の経営・人材戦略の方向性と一致しているか?③社員への本当のキャリア形成支援と言い切れるか?④社員が信じて相談に来てくれそうか?自分ならどうか?⑤どの場所に?どこの所属で?いつから?どんな陣容で?を考え抜く。立ち上げ初期は、信頼して来室してもらえること、キャリアコンサルティングっていいなと思ってもらえること、倫理規定に違反していないかを考える。口コミの効果が最も大きい。

エンゲージメントという言葉が叫ばれる昨今、キャリアコンサルティングは間違いなくキーとなる概念の1つになると思います。ただ、「キャリアコンサルティング」という言葉の懐が深いため、都合の良い解釈がされてフワフワと宙に浮きやすい概念だとも思います。

まず前提として、企業内でキャリア相談室を立ち上げる以上、何らかの企業の目的に資する必要があります。では、どんな目的に沿って立ち上げるか?まず、ここが肝だと思います。例えば、「離職率の改善のため」とか「人材流動性を高めるため」といった、現場での課題ありき=企業を主語とした目的だけで立ち上げてしまうと、転職支援室のようになるケースが多いように思います。

書籍にも「社員への本当のキャリア支援になるか考え抜く」「口コミが大きなスケール要因」とあります。つまり、社員を主語にしないと相談室は本当の意味ではうまくいかないのではないでしょうか。実際、私も人事として社員と面談することがありますが、役割と本音の間で揺れてしまい、役割>本音のやりとりをすることがあります。

では、どうすればいいのでしょうか?おそらく、会社のパーパスやミッションを具現化するための機能として立ち上げ、それを明確に言語化しておくことが大切なのだと思います。つまり、短期間の何らかの数字を達成することではなく、中長期的に人や組織をコアコンピタンスにするためにな部署であり、それが企業のパーパスやミッションのために必要であること。これを経営に理解してもらうためには、どんなストーリーが響くのか?それを知恵を捻って考えることが必要なのだと思います。

そして、立ち上げたら草の根的に広報をし、経営に対するロビー活動を行い、得た情報を関連部署にフィードバックし、何より社員のためになるキャリアコンサルティングを徹底する。そんなキャリア相談室を立ち上げたいと思いました。

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