今週のリフレクション【シン・人事の大研究(田中聡氏・中原淳氏)】
今週は、田中聡さん・中原淳さん共著「シン・人事の大研究」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・
1.社会や企業経営の関心は「人づくり・組織づくり」に向かっており、人事が主役の時代。①課題解決型人事、②テクノロジーへの対応、③データに基づいた人事、への質的変化が起きている。人事は、経営や事業の成長に間接的に貢献する部門。人事の機能は、①採用、②育成・キャリア開発、③異動・配置、④制度・企画、⑤給与・評価、⑥労務・福利厚生、⑦人事データ管理・分析、⑧DE &I、⑨組織開発、⑩健康経営・メンタルヘルス。各機能が1つのチームとして連動することが大切で、機能の出島化による他人事化に注意。
2.人事の仕事の特徴は、①新規課題沼、②エンドレスワーク(ゴールが設定しにくい)、③社内ぼっち(やって当たり前)。しかし、人事パーソンのエンゲージメントは全職種トップ(成長に貢献/チャレンジ/専門性)。人事パーソンの専門性は、①経営・事業の理解②組織・人の理解、③社会・法の理解。汎用的・不変的でなく、職場の外だけで学べるものでもないので、日々の業務から学び続ける姿勢が必要。ハイパフォーマーほど、Iモード(経験学習)、Youモード(1on1、FB)での学びに積極的。重要なのは、現場で実践する学習転移。
3.人事パーソンの85%が人事の仕事を続けたいが、42%がキャリア不安も抱えている。①若手期の迷走。仕事のやりがいや意義を振り返る習慣を持ち、インプットで人事パーソンとしての基盤をつくり、理論に基づいた自分なりの見立てを持つ。②中堅期の上昇気流。評価やFBを自分から取りに行き、知識やスキルを積極的にアウトプットし、セーフティゾーンに安住せずに越境する。③ベテラン期の停滞感。自分で自分の仕事を意味づけ、経営も社員も視野に入れ、インプットとアウトプットを往還し、会社という枠組みを超えて社会で活かす。
人材育成の仕事をしていると、他者の成長に関して考えることが多い反面、油断をすると自分の成長への実践が疎かになる実感があります。人材育成の仕事にやりがいを感じて、知的好奇心からインプットには積極的になるものの、それを自分に対して発揮することをうっかり忘れてしまう感じです。
私は大人の成長には越境がマストだと思っています。特に人事のように社内で孤立しがちな職種には特に大切だと思います。ただ、越境で視野を広げた学びを社内で発揮して社内外を往還することが越境の本質です。社内で越境の学びを活かすためには、社内をよく知る必要があります。だからこそ、人事は現場主義が重要になると思います。
現場に足を運び、社内のリアルを熟知する。その上で社外に飛び出して相対的に自社を俯瞰するための比較対象を持つ。そして、社内では人事の枠を外して他部署と連携をしながら施策を実践する。そんなプロセスが、人事としての成長を促進するのだと思います。地に足のついた実践がないと越境の意味が薄れる、そんなことを感じました。何事もバランスが大切ですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?