日本女子ランナーが刻んだ長い轍〜東日本女子駅伝40年の歴史に幕
【タイトル画像】39回大会準優勝・群馬の不破三姉妹 左から亜莉珠(ありす)、聖衣来(せいら)、珠衣琉(じゅえる)
最後の大会は埼玉が逆転優勝
東日本の18都道県が9区間42.195kmで競う第39回東日本女子駅伝は11月10日、福島市の誠電社WINDYスタジアム発着のFTVふくしまマラソンコースで行われ最終9区に2位でタスキをつないだ埼玉が残り4キロ付近で逆転、2時間19分07秒で18大会ぶり4回目の優勝を果たした。
埼玉は3選手が区間2位の好走を見せたが区間賞はなし。折り返し時点では7位だったが総合力で終盤に浮上。逆転の立役者となったアンカーの山ノ内みなみ(しまむら)は福島県郡山市出身で福島路を舞台に行われてきた大会の最後をご当地ゆかりの選手の力走で締め括った。
2位はふるさと選手の小林香菜(大塚製薬・前橋三中出)が9区区間賞(31分55秒)6人抜きと快走した群馬。3位は第1回大会含む最多11度の優勝を大会の歴史に刻んできた東京。2区で首位に立ち終始レースをリードした長野は最後の大会を大いに盛り上げたが追われる展開でのアンカー対決に屈し悔しい4位となった。
【結果:入賞8チーム】
1)埼玉 2:19:07
(福山8,8-山田2,4-松浦9,4-佐藤10,3-浜野5,7-長濱2,4-木下2,3-小野6,2-山ノ内4,1)
2)群馬 2:19:35
(不破亜14,14-杉森11,13-栗原4,9-藤澤1,4-並木7,8-伴場14,8-田中13,8-不破珠8,8-小林1,2)
3)東京 2:19:52
(臼井11,11-道下5,6-廣田10,7-水野5,5-鈴木4,3-野口11,6-大木9,7-坂田3,5-坂口3,3)
4)長野 2:19:58
5)静岡 2:20:11
6)宮城 2:20:25
7)福島 2:20:37
8)北海道 2:22:03
※()内選手名横の数字は区間順位とチーム順位
【区間賞】
1区(6km) 19:01 吉田彩心 北海道(札幌創成高2年)
2区(4km) 12:52 川上南海 長野(長野東高1年)
3区(3km) 9:49 男乕結衣 宮城(東北高1年)
4区(3km) 9:26 藤澤心々 群馬(荒砥中3年)
5区(5.0875km) 16:33 細川あおい 宮城(仙台育英高3年)
6区(4.1075km) 12:51 今井玲那 長野(長野東高1年)
7区(4km) 13:09 渡辺光桃 宮城(仙台育英高2年)
8区(3km) 9:34 馬場優奈 静岡(御殿場中3年)
9区(10km) 31:55 小林香菜 群馬(大塚製薬)
つないできたタスキ
東日本女子駅伝は女子中長距離の発掘育成を目的として1985年にスタート。寺越さおりが第1回大会の優勝テープを切り、全国高校駅伝女子第2代優勝校、群馬女短大付属高のメンバーに加え後にバルセロナ五輪代表に選ばれる五十嵐美紀(新島学園高卒)が当時の区間記録でまとめた1990年に2時間20分を切る。京都の全国女子駅伝と同様に中学生2区間、高校生年代3人以上の参加、その後ふるさと選手制度なども導入され、中学生から学生、社会人が郷土の誇りを胸に1つのチームとなって襷を繋いだ。
この大会を走りオリンピアンに成長していった選手は前述の五十嵐に止まらない。福士加代子(青森)、高橋千恵美(宮城)、浅利純子、鈴木優花(秋田)、小海遥(新潟、宮城)、渋井陽子、赤羽有紀子(栃木)、樺沢和佳奈(群馬)、田中めぐみ(埼玉)、鈴木博美(千葉)、関根花観、卜部蘭(東京)、尾崎好美、吉川美香(神奈川)と数えきれない。さらに西日本出身者も弘山晴美を筆頭に清水見千子、早狩実紀、土佐礼子、尾西美咲、安藤友香、上原美幸ら東日本のチームに所属するのに伴い大会を彩ってきた。中でも9区区間記録、3度区間賞の新谷仁美の走りは圧巻だった。そして、4年後、8年後に日の丸をつけることとなる原石も多く、コロナ禍での中止から復活した2021年大会で優勝テープを切った不破聖衣来はその筆頭とも言える。
(順不同、敬称略)
多くの女子ランナーを見守ってきた大会は「最後のタスキは未来へつなげ!」と願いを掲げてその歴史に幕を下ろした。