「いい質問」増田明美さん大迫傑選手に褒められる〜パリ五輪マラソン代表オンライン会見
日本陸連(JAAF、日本陸陸上競技連盟)は8月8日、パリオリンピックに出場するマラソン代表男女6人の大会前会見をオンラインで行った。
オンライン会見は選手ひとりひとりが時間を区切って対応、最後に登場した大迫傑選手のパートの終盤、「かなり良い質問ですね、それはどこのメディアにも聞かれていなかった」と終始、淡々と答え続けていた大迫選手が表情を崩す場面があった。
質問したのはジャパン・コンソーシアム(JC、五輪放送日本共同取材制作団)で解説するマラソンの増田明美さん。質問は使用するシューズに関するものだった。
Q.増田さん
「アップダウンの激しいコースだが、シューズの対応はどうなっているか」
質問前の挨拶で投じた増田節の変化球にも表情を一切崩さなかった大迫選手だったが、これまでどこからも聞かれていなかったと「すごくいい、かなりいい質問ですね」と反応した。
A.大迫選手
「僕自身もそれはずっと迷ってきていた。おそらく多くのアスリートが、特に(多彩なラインナップを揃える)ナイキのアスリートは迷ったのではないかと思う」。
アスリートたち、そして大迫選手自身を迷わせたのは「アップダウンがありつつも、とはいえフラットなところもある」からだろう。
概ねフラットな条件下で厚底の優位性は実証されているが、坂道での効果については改善の余地がある、期待されたほどの効果は薄いという意見も多い。
厚底+カーボンプレートでナイキ1強だったマラソン・ロード競技のシューズ革命。他メーカーの開発も進みナイキの独占状態ではなくなった2024年の今、厚底はスタンダードになり、頂点をめざす上でもはや厚底以外はありえない領域にきている。それぞれのメーカーやモデルの求める特徴や指向、個性をも問われる段階に入ったともいえ、それを選択するアスリートのアイディア、決断、履きこなしまでも争うときなのかもしれない。
「それぞれの選手がおのおの自分の判断でいろいろなシューズを履くと思う。そのあたりも今回のレースでは注目ポイントなのかなと思う」。
結果、大迫選手はあるシューズを選択した。しかし、それは「明言できない」と何を履くかは明かさなかった。
その起伏の激しさから「史上最も過酷なコース」とも称されるパリオリンピックのマラソン。過酷な坂で勝敗が別れるのか、下り切ったあとの終盤にドラマが待っているのか。男子マラソンは8月10日午前8時(日本時間同日午後3時)、パリ市庁舎前をスタートする。
【画像】パリ・シャトレ広場(Place du Châtelet)に立つナポレオン・ボナパルト戦勝記念塔円柱頂点の勝利の女神。マラソンスタート地点のパリ市長舎も近い。
【パリ五輪男子マラソン日本代表】氏名(年齢)自己記録 主な成績 出身 所属
小山 直城(28) 2時間6分33秒 MGC優勝 埼玉県 本田技研工業
赤﨑 暁(26) 2時間9分1秒 MGC2位 熊本県 九電工
大迫 傑(33) 2時間5分29秒 東京五輪6位 東京都 NIKE