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スティール・ギター を手づくり!!Part.3 ~墨付け編~

こんにちは!

ロックバンドSPORTS MENのウクレレ担当、澤田が自らの楽器愛について語る「澤田のウクレレ日誌 ~Parlor Songs~」。

スティール・ギター製作シリーズのPart.3です!

Part.2の記事では、設計図の作成と材料の調達まで進みました。

今回は、墨付けという重要な工程のレポートです。

正確な墨に対して正しい加工をする、というのが木工の基本で、「墨付け第一、加工第二」と言われています!

墨付けとは

墨付けとは、製作図面をもとに実際に工作する木材に加工の計画線を引いていく工程のことです。

"墨(すみ)"という通り、元々は大工が建材に墨汁で目印をつけていく作業が名前の由来のようです。

今回はシャープペンシル、定規各種、ノギス、スコヤ、プロトラクター、け引きなどの道具を使用していきます。↓

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あくまで加工用の目印なので、後で消せるように薄く線を引いていて、写真では線が見えづらい箇所もあるかもしれないので、予めご了承ください…!

それでは、前回の記事で作った下記の製作図面をもとに、購入した木材に墨付けしていきます!

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楽器のトップ面を決める〜木材の表と裏〜

はじめに、木の取り方(使用する部分)を決めていきます。

すこし専門的な話ですが、木材には、木表(年輪の外側)木裏(年輪の内側)があります。↓

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一般的に、木表の方が木目が綺麗なことが多いようです。

また、木表と木裏では経年変化による反りの大きさが異なってくるため、建具や家具など木を組み合わせる場合、材の表裏の向きに注意した方が良いとされています。

ただ、今回は一枚板で作るスティール・ギターなので、木目の美しさを優先します!

購入したイエローバーチ材・木表↓

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購入したイエローバーチ材・木裏↓

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木表に現れている心材(褐色)と辺材(白色)の美しいグラデーションが、楽器に良い個性を加えてくれそうだと感じたので、木表を楽器のトップ面にしようと思います!↓

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“け引き” で中心線を引く!

主にギターなどの撥弦楽器は基本的には線対称の構造物であるため、中心線がとても大事になってきます。

木材へ中心線を引くために、け引きという道具を使います。↓

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け引きとは、目盛のついた棒の先端に刃物がついていて、手で握る部分が平らな面になっており、加工材の基準面に対して平行な一定の線が引ける便利な道具です!

ところで、購入したイエローバーチ材は専用の木工機械で巾(はば)と厚みが平らな状態に加工されていて、全ての角が直角になっています。

このような状態を矩(かね)が出ている、と表現するのですが、実は、ホームセンターなどで販売されている木材で矩が出ているものはほとんど無く、け引きを使って正確な作業をするのが難しかったりします。

今回の木材は加工済みなので、両側の木端(こば)(木材の巾方向の両端)からけ引きで同じ寸法の印をつけることができれば、材の中心が割り出せることになります。↓

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け引きの調整が出来たら、木口(こぐち)(木材の長さ方向の両端)に中心線を引きます。↓

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両木口の中心を基準にして、定規でトップ面に中心線を引きます。

この線がすべての墨付けの基準線になります!↓

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加工墨を書く!

それでは、中心線を基準にして、加工墨(実際に切削加工するための線)を引いていく作業に移ります。

まずは、ボディの外周をコンパスで描きます。↓ 

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続いて、ブリッジの実物にマスキングテープを貼って中心点の目印をつけてから、現物合わせで慎重に位置を決め、形を描き写します。↓

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ブリッジのサドル部分(弦が乗る箇所)は弦の始点になるので目安の線を引いておきます。↓ 

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サドルの位置が描けたら、スケール(全体の弦長)が定められます。

今回は、一般的なスティール・ギターの弦長571.5㎜(22 1/2㌅)スケールで製作します。

基準となる中心線の上に、寸法を測って印をつけます。↓ 

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571.5㎜地点は弦の終点になるので、ナットの実物を置いて、実寸で形をとって描き写していきます。↓ 

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そして、スケール(弦の始点と終点)が決まったら、フレットの位置を描いていきます。

間違えてしまうと音痴な楽器になってしまうので、神経を使います。↓

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最後に、ボディのピックアップ取り付け位置や、ヘッドの外形線などを描き加えていきます。↓

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墨付けが無事、完了しました!!

ボディ裏側のキャビティスペーススロテッドヘッドの穴開け加工の部分は、切削加工をして外形が確定してから、改めて墨付けをしていきます。

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墨付けの工程は、この後の切削加工の基準になるので、とても繊細で正確な作業が要求されます。

正しい墨付けが無ければ、思い描いた楽器が完成しないのです。

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今回の作業はここまでになります!

次の製作日誌は、いよいよ、本体を切削・加工して、穴開けなどの作業を予定しています。

これからも、小さな自宅のスペースから手づくりの様子をお届けしていきたいと思います!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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