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喘息と運動①喘息にも運動が効く【Doctor Tのスポーツ・エクササイズ医学】

こんにちは、DoctorTです。ひと月ぶりの投稿です。桜の季節に海外から友人が来て、久しぶりに、桜の上野公園や京都に行きました。

かなり暖かくなってきましたが、皆さん体を動かせていますか?

呼吸系の「喘息」にも運動が効く

今回は病気シリーズの「喘息」です。喘息はシンプルに説明すると、口や鼻から肺までの空気の通路である気道が狭くなり、呼吸をするのが苦しくなる病気です。

「運動が効く病気」と聞くと、メタボリック系の病気が思い浮かび、呼吸の病気がなぜ?と意外に思われるかもしれません。しかし、運動によって喘息の症状が改善することがわかってきました。

世界標準の喘息に関する情報を発信しているthe Global Initiatives for Asthma (GINA)も、薬での治療以外に、physical activity(いわゆる運動に限らずからだを動かすこと)や呼吸のトレーニングを勧めています。

こちらのレビューを参考にしています↓
これらは一般論なので、必ず主治医の指示を優先してください。

治療は薬が第1選択

喘息の治療はステロイド等の吸入などの薬物療法が第1選択になります。運動する前から息が苦しい人に運動は勧められないので、まずは薬で安静時の呼吸を整えてからになります。

治療のゴールは「症状を軽減する」と「発作を起こりにくくする」

喘息の治療は、今の症状を軽減するだけではありません。症状が落ち着いても、さらに気管支の状態を良くすれば、その後の発作を予防することもできます。この2つが喘息治療の目的になります。症状が改善すると、すぐに治療を中断してしまう患者さんがいますが、症状が軽減しても治療は継続したほうがよいと言われる理由はそのためです。

息苦しさが原因で気分や睡眠にも影響

喘息そのものは呼吸器の問題ですが、息苦しいのが続いて気持ちが落ち込む、次の発作が起きるのではないかと不安になるなどの精神的な問題や、睡眠中の息苦しさのため眠りの質が落ちると言った呼吸器症状ではない問題も生じます。

運動で得られる効果

現時点では運動した人と運動していない人の結果(症状の改善)を比較して、運動した人は症状が改善していることはわかっている。但し、どうしてそうなるかのメカニズムについてはまだわかっていないこともある。

喘息の原因である炎症を抑える

喘息は呼吸器に症状が出るアレルギーの病気です。喘息の治療薬であるステロイドの吸入は炎症を抑える作用がありますが、有酸素運動にも抗炎症作用があり、喘息の根本的な原因に働きかけることができます(上図の①②③)。

喘息の症状を別の角度からも改善してくれる

抗炎症作用を発揮すると同時に、定期的な運動によって運動不足が解消され、それによる息切れも軽減されます(④)。また、運動はメンタルにもよい影響を与えるので、抑うつ気分、不安に対しても呼吸器とは違う経路から悩みを改善してくれます(⑤)。

症状が良くなれば経済的にも負担減

症状が軽減した結果、受診の頻度も薬の量も減らすことができます。症状が減る安心感と受診の面倒くささが減るだけではなく、受診や薬に支払う医療費も減らすことになります!

まとめ

  • 呼吸器の病気である喘息にも運動が効く

  • 薬で症状を落ち着かせるのが第一

  • 運動は炎症を抑える作用がある

  • 呼吸以外の症状にも運動は効果を発揮する

  • 運動で症状が改善すればお金も時間も節約

薬が効果を発揮する範囲は限定されるのに対して、運動や食事というのは効果を多角的に発揮します。

今回で言う睡眠やメンタルへの効果がそれにあたりますね。薬だけでどうにかしようとすると、ステロイドに睡眠補助薬を増やすことになるかもしれません。

喘息のためと思ってやった運動も、同時に他の生活習慣病予防や病気の悪化を抑えてくれています。

次回は喘息にどのような運動をしたらよいかをお話します。

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