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【Doctor Tのスポーツ医学】脳振盪とあなどるべからず。脳振盪シリーズ①

こんにちは。スポーツドクターTです。今日の国際スポーツ心理学学会(International Society of Sports Psychology)で面白かったのが「脳振盪と精神症状」と「ボディイメージとスポーツ」でした。今回は脳振盪についてはお話したいと思います。

脳振盪は他人事?
脳振盪と聞いたときにどんな状態を想像しますか?ボクシングやアメフトで巨大な選手と選手のぶつかり合いが一番に思い浮かぶのではないでしょうか。これらのスポーツをやっていなければ、他人事のように思われているかもしれません。しかし、実際はバスケットボールやチアリーディングなど女子スポーツでも起きています。さらに、大人だけではなく小児でも脳振盪は起きます。私は、実際に脳振盪の女子選手を診察したり、試合で受傷するのを見たことがあります。また、小児は成人より症状が長引くということがわかっています。どうでしょう?もう他人事ではないですよね。

正しく知って正しく対応!
脳振盪は、一般の方にもその存在が知られるようになりましたが、その病態や症状、治療管理方法については、まだあまり周知されていません。医療関係者でなくとも、知っておくことで、もし自分が受傷したとき、身近なひとが受傷したときに、その後の経過が良くなることがいくつかあります。また、医療関係者が知っておくべきことも紹介していきたいと思います。数回シリーズに分けてお話しようと思います。

脳振盪って頭の中で何が起きてるの?
頭頸部が外力によって強く振られる事によって受傷します。具体的に何が起きているかはすべて解明されているわけではありませんが、脳内の代謝が変化して(神経細胞膜でのカルシウムイオンの流入が上がり、カリウムイオンが流出している)エネルギーの需要と共有のミスマッチが起きていると考えられています。他にもメカニズムはありますが、これはそのひとつです。

脳振盪がもたらす多様な症状
頭部をケガしたとき「CTやMRIで出血など構造に異常がない+受傷後なにか症状があった=脳振盪の疑い」となります。直後から時間が経過すると、様々な症状に気づきます。受傷日にはわからなくても、フォローの診察でこれらのどの症状が出ているのかを見ておく必要があります。なぜなら、脳振盪の治療は、症状に合わせて行うからです。「脳振盪」という診断だけで、治療が決まるのではありません。治療に関してはまた他の回で説明します。

今回のまとめ
- 脳振盪はめずらしいけがではない。女子も子供も。
- 正しい知識があれば、受傷後の回復を良くすることができる。
- 首から上が強く振られることによって受傷する。
- 多彩な症状を示し、数日後に医療機関でその症状をみてもらう必要がある。

次回は、精神症状について紹介したいと思います。

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