蕎麦とグルメブロガーと悪役レスラー

裕福な訳ではないのですが、年齢を重ねるに連れて、ある程度自由に使えるお金ができます。

なので、若い頃はいかに安く沢山飲み食いできる店に飛びついていたのですが、段々といかに美味い店を探すかにシフトしてきたりして、結構店探しも楽しかったりします。
今は昔と比べてインターネットが普及してるので店探しも楽になってる部分もあり、ある程度美味い店のストックも出来てきました。

そこで、この皆んなでシェアする時代、自分でもそれに貢献すべくブログでも書いて、あわよくばそれで人気が出てグルメブロガーとして生計を立てられないかと夢見たりします。（誰か醒ましてくれ〜）
そう、今や何が当たるか分からない時代なのです。

そんな事でインフルエンサーへの偉大な一歩として、ある蕎麦屋に突撃したわけです。
「さあ、味を評価してブログに書いてやるぞー！」と気分はもうミシュランの覆面調査員です。

早速蕎麦を注文し、ふと俺の目の前の席を見ると50代ぐらいの夫婦が座っていました。
そしてその夫婦、蕎麦が来るまで旦那の方がずっとスマホを見ていて、奥さんはそんな旦那を退屈そうに眺めていたんです。
部外者が夫婦関係に口を挟むことほど余計なことはないのですが、性分もあり、そんな光景を見ていると何だかハラハラしてくるんです。

「おい、旦那よ。奥さんが退屈してんじゃねーか。スマホなんか見てないで会話してあげなさいよ」と。
「もしここで、俺が奥さんに小粋なトークで話しかけたりでもしたら、奥さん俺に惚れちまうぜ？」と。
でも、それで旦那の方が「何だお前は！」と俺をボコボコにして、奥さんが旦那に惚れ直したりして。
ま、その時はその時で１組の夫婦仲を救って良かったのかな？なんて悪役プロレスラーみたいな事を思ったりして。

そんな事を考えながら蕎麦をすすっていたので、味は全く覚えていません。