『ママがんばれ~!』
妻が入院して10日くらい経った。入院当初長男はママのいない家が耐えれない様子であったが頑張って我慢していた。でもふと顔を見たら涙浮かべていた時は可哀想で仕方なかった。
『ママは病院で一人ぼっちだからもっと寂しいんよ、マーくんにはパパや弟、お婆ちゃんもいるんやから頑張ろうな。』
と抱きしめた。かけがえの無いママの存在の大きさを痛感した。私はご飯を作ってあげるしかない………
一方三歳の次男はケロッとした様子、おそらくまだ現状を飲み込めていないと思った。お見舞いに連れていくとマーくんはずっとママと手を握り離れない。次男はママの所に行かない、ジュース飲みたい、お菓子食べたいとワガママを言ってばかりだった。
まだそんな歳だからわからないんだろう。これはこれで良いか?と思っていた。しかしその帰りに車内で次男が急に張り裂けるような声で叫びだした!!
「ママ~~~~~頑張れ~~~!ママ~~~~~頑張れ~~~~!ママ~~~~~~頑張れ~~~~!」
半泣きで叫んだ!
私は驚いてその声を録音した。
自宅に帰り病室の妻に録音した音源を送った。
丁度その時妻も術後の痛みと私達が帰った寂しさと戦っていたらしく、叫ぶ次男の声が胸に突き刺さり涙がこぼれたらしい。
数日が経過し、今までママがしていた事も子供達がやるようになり少しだけ逞しく強くなっていった。
私はレストランに、子供たちにも気にかけながらディナーが無い日はランチ後に妻のお見舞いに行った。二人きりで買ってきた雑誌見ながら料理の話、店の話、スタッフの話、子供たちの話をして何てことのない普通の時間を過ごした。
『なら!またね!』
「うん、ありがとう!」
病院の駐車場から病室が見えるけど、見えなくなるまで手を振りあった。
家族の絆が強くなった価値ある10日間だった。子供たちも頑張ってる。勿論妻が一番頑張った。
夫婦も10年目にしてやっと本物に近づけている気がした。今までが色んな意味で未熟だったか………
そんな妻も明後日退院、しばらくは自宅でゆっくり休養して落ち着いたら美味しい料理食べに連れていこう。
いや、とりあえず何か美味しい手料理作ってあげるかな。