「もっと早く知りたかった!」世界を転戦するプロビーチバレー選手の『スポーツ医学検定』活用法とは?
こんにちは。
今回は、元バレーボール女子日本代表、現在はプロのビーチバレーボール選手として活躍され、同時に雪上でプレーする「スノーバレーボール」の普及にも尽力されている田中姿子さんにお話をうかがいました。
©️FIVB
<プロフィール>
田中姿子(たなか・しなこ)。1975年、埼玉県川越市出身。
小学校3年生でバレーボールを始める。川越商業高校卒業後、1994年〜日立ベルフィーユ、2001年〜NECレッドロケッツに所属。2001〜02年にかけて全日本代表として、2001年ワールドグランドチャンピオンズカップや世界選手権に出場。2003年から1シーズン、ロシアのディナモ・モスクワに在籍しロシアスーパーリーグでプレー。
2004年よりビーチバレーに転向。2006年、ドーハ・アジア大会で銀メダルを獲得。元・日本代表。
現在も現役選手として世界を転戦すると同時に、全国のバレーボール教室での指導や、地域のスポーツ協会などでスポーツの発展と啓蒙活動を行っている。
©️Ryutaro Makino
ーーはじめまして。今日はよろしくお願いします。さっそくですが田中さんは、現在プロのビーチバレー選手として世界各国の大会に出場されているほか、様々なバレーボール関連の普及活動なども行われているそうですね。具体的には、どんなお仕事をされているのでしょうか。
田中姿子さん(以下、田):今は選手としてトレーニングする他に、東京オリンピックでビーチバレーボールの会場がある品川区のスポーツ協会のオリパラ担当としてお仕事もしています。あとは、全国のバレーボール教室に呼んでいただいて、指導もしています。
また、この4月からは日本バレーボール協会の業務推進室アドバイザー・スノーバレーボール担当にも就任しました。
ーースノーバレーボール、初めて聞きました。
田:スノーバレーボールは、去年初めて世界大会が3ヵ国で行われた、とても新しいスポーツです。今後は冬季オリンピックの正式種目になることを目指していて、私もこれから国際連盟と一緒になって、まずはアジアで盛り上げていくことを目標にしています。
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長く現役でプレーする秘訣は、「何も気にしないこと」!?
ーープロとしてビーチバレー選手をやりながら、また違うスポーツに参加され、普及活動もされ、とてもエネルギッシュですね!
ビーチバレーって、暑い砂浜でボールを打ち合って、かなり過酷な競技というイメージなのですが・・・長く現役選手としてコンディションを保つために、何か意識されていることはありますか?
田:そうですね・・・逆に、「何も気にしないこと」ですかね(笑)。
ーーえっ!?(笑)
©️FIVB
田:トレーニングしたり、もちろんそういうのもありますが、食事に関しては私は基本的に好きなものを食べています。
というのも、試合で海外に行くことも多いのですが、移動時間がとても長いことが多いです。食べる時間なども一応気にはしますが、それより「食べれるときに食べておく」という意識のほうが強いです。
肩の手術で訪れた転機
ーーなるほど。あまりストレスを溜めないようにするのも秘訣かもしれませんね。では、これまでに何か大きなケガなどをされたことはありますか?
田:2017年に肩を脱臼して、手術を受けました。それが初めての手術で、ほかにはあまり大きなケガというのは特にないですね。そこで大関先生(※『スポーツ医学検定』代表理事)に診察していただきました。
最初は別の病院に行っていて、どのみち手術はしないといけない状態だったのですが、不安が残るままで手術を受けるのも嫌で。結局3ヵ所の病院を受診して、3ヵ所目が大関先生のところでした。
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田:診察のときに、体の仕組みなどをとてもわかりやすく説明してくださったので、そこではじめて納得することができ、手術を受けることを決意しました。
ーー手術を経験されたあと、けがの予防の意識など何か変化はありましたか?
田:肩の動かし方を気をつけたりはするようになりましたが、何より、もっと体のことをちゃんと知りたいと思うようになりました。だから、『スポーツ医学検定』の2級を受けたんです。
勉強すると、ドクターやトレーナーさんたちが説明してくれる内容がよくわかるようになりました。たぶん先生たちにとっては当たり前の用語も、素人には難しい専門用語だったりして・・・。今までは、わかるようなわからないような、あいまいだったことがちゃんと理解できるようになりました。
ビーチバレー選手は自己管理が命!
ーー『スポーツ医学検定』で学んだ知識が実際に役立ったんですね!ところで、ビーチバレーという競技におけるメディカルサポートはどのような状況なのでしょうか?
田:インドアのようにチームだとトレーナーさんがいたりしますが、ビーチは個人なので、基本的には体調管理は自己責任ですね。海外遠征も多く、交通費などもかかるので、大会にも選手だけで行きます。ブラジルの選手などはいつもたくさんのサポートスタッフの方を連れて大所帯だったりしますが、日本の選手は個人でやっていることがほとんどです。
ビーチはパートナーと2人だけなので、もし1人がケガをしたらそこで終わり。多少の痛みがあっても、痛みと向き合いながらプレーを続けることも多いと思います。
ーー熱中症対策などはどうされていますか?
田:私は暑さに強いほうなので、体調を崩すことはあまりないですね。ビーチでは直射日光が強いので、ルール上必須ではありませんが、帽子はかぶるようにしています。水分や塩分の摂り方も、自分で工夫して行っています。代表選手になると、栄養やウエイトトレーニング、メディア対応、チームビルディングや税金のことなどを学ぶ研修を受けたりもしますが、普段競技をする上では、協会から特別な指導などは特にありません。
ーー普段、体に不調や痛みがあるときはどうされていますか?
田:個人的に相談できる専門家が何名かいるので、その方たちにアドバイスをいただいたりはします。栄養のことなどは、インドアのときにお世話になっていた管理栄養士の方に相談に乗っていただいたりしています。
保護者たちから寄せられる、たくさんの疑問
ーー状況に応じて色々な専門家からのアドバイスを受けながら、基本的にはコンディション調整は全て自分で行われているのですね。『スポーツ医学検定』で学んだ知識も、そこに活かされているというわけでしょうか。
田:『スポーツ医学検定』をもっと早く知っていればよかった!と思います。それまでも何かピンポイントで知りたいことがあったときに、それについての本を買ったりはしていましたが、『スポーツ医学検定』は浅く広い内容で、知らないよりは絶対に知っていたほうがいいようなことばかりでした。
ーー確かに、スポーツ医学に関して幅広い内容をカバーしていますからね。
田:バレーボール教室などで、親御さんたちからは色々なことを聞かれるんです。「トレーニングどうしたらいいですか」とか、「どんなものを食べさせたらいいですか」とか、「ここが痛いときは、どうテーピングしたらいいですか」とか・・・本当にたくさんの質問を受けます。これまでだと、私の経験による知識でしか答えられませんでしたが、『スポーツ医学検定』のテキストには写真付きで色々な情報が載っているので、とても参考になります。
ーー素晴らしいですね!では、田中さんが今後、『スポーツ医学検定』に期待することや、実現してほしいことなどはありますか?
田:全国の(アスリートの)親御さんたちを集めて、講習会などをやってほしいですね。子どもたちの一番身近にいる親御さんたちには、とても役立つ知識だと思います。全国でバレーボール教室をやっていると、子どもの体を心配している声がとても多いです。指導者やコーチだけでなく、親御さんにもぜひ知ってもらいたいと思います。
ーー実際にご自身も『スポーツ医学検定』を受検されて、ユースアスリートの保護者たちの抱える不安や、疑問の軽減につながる内容だと感じるということですね。最後に、スノーバレーボールの今後についてもぜひ一言お願いします!
田:スノーバレーボールは競技としてだけでなく、イベントとしても楽しんでもらえるスポーツです。これから東北など、地域と連携しておもしろいものを作っていけたらなと思っていますので、楽しみにしていてください。
ーー田中さん、ありがとうございました!
おまけ:今回はオンラインでカメラ越しに取材をさせていただきました。
編集後記:
現役ビーチバレーボール選手として、またスポーツを広める指導者として、自分の体のことや保護者からの相談に『スポーツ医学検定』での学びがとても役立ったと話してくださいました。
スノーバレーボールは、1チーム4人で、コート上では3人がプレーをするインドアとビーチの中間のようなスポーツとのこと。実際に選手もミックスしてチームを作ったりしているそうです。雪上でのバレーボールイベントを見かけたら、ぜひチェックしてみてください!
(取材・文/Yuko Imanaka)
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