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UEFA EURO 2024のスポンサーには〇〇の企業が多い?

現在開催中のUEFA EURO 2024(UEFAヨーロッパ選手権2024)は、ヨーロッパだけでなく、世界中で盛り上がりを見せています。ヨーロッパの国々の選手が各国のリーグ及び世界大会でも活躍を見せていることもあり、この盛り上がりはFIFAワールドカップに匹敵するほどとも言われており、また、年々盛り上がりを増しているとも言われています。
前回の記事でEURO2024に関して書いていますので、ぜひ読んでみてください!

今回はこの盛り上がりを支えているスポンサーについて少し深掘りしてみたいと思います!


スポンサーの在り方

スポンサー企業は大会を運営する上で欠かせない存在となっています。UEFA EUROやFIFAワールドカップなど大きな大会になればなるほど、企業のサポートはより重要になります。
スポンサーシップとは、企業がイベントなどに金銭や物、人を提供し、支援することをいいます。企業はその見返りとして、例えばスタジアムの看板や選手のユニフォームに企業ロゴを掲出することができたり、スタジアム内でCMを放映することができたりと宣伝活動を行うことができます。

このスポンサーシップを利用して、販売促進、ブランドの認知度向上、社内のモチベーション向上など様々な効果を狙うことができます。今回紹介するUEFA EUROのスポンサー企業もこれらの効果を目的にスポンサーを実施している場合が多くあります。

UEFA EURO 2024のスポンサー

ここからは、現在開催されているUEFA EURO 2024(以下、EURO2024)のスポンサー企業についてです。
今大会のオフィシャルスポンサーは以下の通りです。

(参照:https://www.uefa.com/partners/ )

Official Global Sponsors
①Adidas(スポーツブランド)
AliExpress(ECプラットフォーム)
Alipay+(決済サービス)
④Atos(ITサービス)
⑤Betano(スポーツベッティング)
⑥Booking.com(旅行ECサイト)
BYD(電気自動車)
⑧Coca-Cola Zero(飲料)
Hisense(電機メーカー)
⑩Lidl(ディスカウントスーパーマーケット)
⑪Engelbert Strauss(衣服)
⑫Visit Qatar(カタール政府観光局)
Vivo(スマートフォン)

オフィシャルグローバルスポンサーの13社の中で5社が中国の企業と、大会のたびに中国の企業が増えている傾向があります。例えば自動車分野では、前大会までオフィシャルグローバルスポンサーに名前を連ねていたフォルクスワーゲンに代わって、今大会は中国企業のBYDがスポンサーとなっています。
中国の企業がスポンサーに多い理由としては、ヨーロッパでの販売促進が主な目的と思われます。

これらの中国企業はどのようなスポンサーシップを行なっているのか、企業の説明と合わせて紹介します。

▼AliExpress

AliExpressはアリババ・グループ傘下のECプラットフォームで、今回ECプラットフォーム界からは初めてのEURO公式スポンサーとなりました。同社はカタールFIFAワールドカップ期間中、大会グッズやチームのグッズを世界中に販売をしており、今回のスポンサー契約を通じてEURO2024のオフィシャルスポンサーとしてこれをさらに 発展させたいと考えているそうです。

EURO2024のスポンサーになることで、ヨーロッパの消費者にアピールできるようになり、オンラインショッピングをする可能性が高い若年層を含む幅広い潜在顧客をターゲットにしています。スタジアム内、試合中継、公式グッズ販売などにおいて、EURO2024の開催期間中は、AliExpress のロゴが掲出され、また、ターゲットを絞ったオンラインでの割引や試合観戦チケットなどの豪華賞品が当たるゲームがが開催されているそうで、大会を通して、ヨーロッパでのブランド認知度を大幅に高めることができています。

例えば、こちらのキャンペーンでは、6月14日の開幕から、開催中の試合でゴールが決まるたびにアプリを起動させて、スマホを振ることで、豪華賞品をゲットすることができるといいう「Shake&Win」というものが開催されているそうです。


Alipay+
アリババグループのオンライン決済プラットフォーム、Alipay+は2021年に立ち上げられた、中国モバイル決済市場で50%のシェアを誇り中国本土の消費者に最も使われている決済アプリで、東南アジアでも最も利用されているマルチ決済手段の1つです。グーグルウォレットやアップルペイなどと競合する主要サービスとなるべく、海外の観光客や企業をターゲットにしています。
2018年11月にAlipayとUEFAが8年間の契約を締結し、スポンサーシップをスタートさせました。この契約は、EURO2020、EURO2024とUEFAネーションズリーグ決勝を含んでいるため、(名称は新しいサービスのAlipay+ではありますが)今大会もオフィシャルスポンサーとして2大会続けて大会のスポンサーを担っています。

Alipay+は、UEFAの公式デジタルウォレットプロバイダーであり、公式FinTechスポンサーでもあります。このUEFAとの契約によって、より良いオンライン決済サービスを提供し、ブランドの認知度アップをB2Cだけでなく、B2B領域において目指しているそうです。スタジアムやファンゾーンではAlipay+の決済オプションが追加されており、ファンはAlipay+を利用してチケットや、飲食、グッズを購入でき、Alipay+を利用していただくことで、よりAlipay+の良さがわかるような施策を実施しています。
また、開催国のドイツだけでなく、アジアの各国にてブースの展開もしており、EURO2024にちなんだアクティビティを実施しているそうです。

さらに、同社は「Goal of the ROUND」と「SKILLS SHOWCASE」というコンテンツのスポンサーをしています。「Goal of the ROUND」では、グループステージにおいてスタジアムを沸かせたゴールシーンのハイライト映像をAlipay+公式Instagramにて投稿しており、また、「SKILLS SHOWCASE」では、選手のテクニカルなプレー集をEURO2024公式InstagramにてAlipay+のロゴとともに投稿しています。



BYD
BYDは電気自動車やハイブリッドカーを製造している企業で、EURO2024の期間中は、快適で、環境に優しい交通手段を提供し、ヨーロッパ中のファンにサステイナブルな車を紹介しています。

2023年10月に欧州委員会は、中国製のEV=電気自動車が、国からの補助金で価格を抑えヨーロッパ市場での競争をゆがめているとみて、中国製のEVに対して正式に調査を始めました。その調査の結果、中国メーカーは国から「不当な補助金を受け取っている」と暫定的に認め、欧州委員会は6月12日、中国から輸入されるEVに最大38.1%の追加関税を課す方針を発表した。このような発表があった中、BYDは今回のスポンサー契約を通して、ヨーロッパ全土においてブランドの認知度を向上させるとともに、BYDのブランドが欧州諸国のゼロ炭素経済への移行に対する解決策の一部であることを政府や規制当局に知らせたいという考えがあるそうです。


Hisense
中国の電子機器ブランド、Hisenseは、2019年4月にEURO2020のグローバルスポンサーとなり、2023年9月には、複数年にわたる戦略的スポンサーシップの延長が発表されました。EURO2024の他にも、EURO2024欧州予選、FIFAW杯2026欧州予選、2025年のUEFAネーションズリーグ決勝戦、UEFA U21 EURO 2025、Finalissima 2024、UEFA Futsal 2026についても、大会オフィシャルスポンサーとなることが決まっています。

2024年5月、HisenseはEURO2024のVARのオフィシャルスクリーンプロバイダーに決定しています。

SNSキャンペーンも実施しており、Hisenseの "Beyond Glory "ポスターを見つけ、ハッシュタグをつけてXやインスタグラムに投稿すると、抽選でチケットや選手のサイン入りグッズ、Hisense製品が当たるそうです。


Vivo
中国のスマートフォンブランドであるVivoは、韓国のサムスンやアメリカアップルのような既存ブランドと競合する、世界のスマートフォン市場における主要企業になることを目指しており、5G、人工知能、最上位画像システム、その他の新進気鋭の技術を含む、最先端の消費者向け技術の開発に注力しています。

2020年10月にUEFAとスポンサー契約を結び、EURO2020とEURO2024の公式スマートフォン・プロバイダーとなっています。

2023年11月に発表されたプレスリリースによると、VivoはEURO2024にて、「Player of the Match」に関するSNSキャンペーンを実施し、POTMの写真を投稿したユーザーから抽選でユニフォームをプレゼントしており、また、UEFAと共同で各試合の終了時に「Player of the Match」セレモニーも行っています。

スポンサー企業のサービス提供という面では、大会スタッフに今大会中の連絡用として、Vivoのスマートフォンを提供しているそうです。


以上がEURO2024にてオフィシャルグローバルスポンサーを担っている中国企業5社です。
企業がEURO2024のスポンサーになることは、新たなユーザーにリーチし、ブランドイメージを構築及び認知拡大することができ、グローバル市場における主要プレーヤーとして、またアメリカやヨーロッパの主要ブランドと肩を並べることで、自社をアピールすることができます。
より多くの潜在消費者やビジネス・パートナーを獲得し、収益と成長の増加につなげるため、今後も中国企業によるスポンサーシップがさらに増えることは間違いないと思います。
また、スポンサーシップとしての効果を得るためには、単発ではなく、持続的なスポンサーシップによって、中国企業がグローバルな企業として認知され、世界中で受け入れられるようになると思います。

「コーラを飲まずに水を飲め」

スポンサーシップを利用して、販売促進、ブランドの認知度向上、社内のモチベーション向上など様々な効果を狙うことができると紹介しましたが、そうはいかなかった事例もあります。
もちろん、各大会の出場選手はスポンサー企業に関して理解はあるものの、全てに選手のイメージと商品のイメージがマッチするものではありません。
下記は、前回大会のEURO2020にて大会運営側の調整不足により発生してしまった、スポンサー関連の事例です。

2021年6月14日に開かれたEURO2020 ポルトガル対ポーランド戦の前日記者会見で、ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手が、目の前に置かれていた2本のコカ・コーラのボトルを撤去し、水が入っているボトルを記者席に向かって掲げて、「水!」と力強くアピールしました。
この行動の直後、コカ・コーラの株価は下がり、時価総額は約40億ドル(約4424億円)下落しました。

選手による飲み物撤去は、ロナウド選手だけにとどまらず、翌日15日には、フランス代表のポール・ポグバ選手が、大会のオフィシャルスポンサーである、ハイネケンのノンアルコールビールを記者会見の席で撤去しました。

逆にEURO2020で優勝を飾り、決勝で値千金の同点ゴールを決め、マンオブザマッチに選ばれたレオナルド・ボヌッチ選手が、記者会見の際にコカコーラとハイネケンを飲んでいました。

これらの撤去行動に対し、大会側は「飲み物の選択は選手の決定を尊重しています。」と声明を出していたが、EURO2020のオフィシャルスポンサーであったコカ・コーラとハイネケンには少なからず影響を及ぼす結果となってしまったに違いありません。

大会側の意図が出場チーム・選手に伝わっていなかったことがこのような問題に繋がってしまったため、大会運営側としても今後このようなことがないよう対応を改める必要があると思います。

最後に

今回は現在開催中のEURO2024のオフィシャルグローバルスポンサーとEURO2020でオフィシャルスポンサーの2社に起きてしまった問題について紹介しました。スポンサー企業の変動はその時代の経済状況や開催土地などが大きく反映されていると思うので、各大会のスポンサー企業に着目してみるのも面白いかもしれません!また、スポンサーしてくれている企業にとって不本意な事態が起きてしまうことは大会運営側としては避けたいものだと思いますので、このEURO2020では大きな問題になってしまいましたが、大会が大きければ大きいほどこういった問題は避けたいものですね。

今回も読んでいただきありがとうございました!


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