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藤田明日香はなぜルーマニアを選んだのか

2018年、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、そして日本女子代表・おりひめジャパンの右サイド・藤田明日香はドイツの強豪ドルトムントへと移籍した。
ここで2シーズンを過ごし、昨季(2019-20シーズン)は新型コロナウイルスの影響でシーズンが途中で終わったとはいえ、チームは1位。今季は世界最高峰のリーグ・EHF(ヨーロッパハンドボール連盟)チャンピオンズリーグにも出場できる。
しかし、ヨーロッパで3季目となる今季、藤田は「移籍」という道を選んだ。しかも日本人では初めてとなるルーマニアリーグのチームだ。どうして彼女はリーグ自体のレベルも落ちるルーマニアへと移籍することを選んだのだろうか。


チャンピオンズリーグか、出場機会か

ドイツの女子リーグは他国に比べて中断するのも早く(3月中旬)、結局ドルトムントは1位でシーズンを終えることになりました。だから2020-21シーズンはチャンピオンズリーグに出場することができるので、(移籍することについて)そこはすごく迷いました。

でも、昨季(19-20シーズン)監督が代わってから、メンバーが固定化される傾向にあり、あまり試合に出られなかったことは、今回の移籍を決めるにあたって大きかったです。

私自身は監督と個人的に合わないということはなかったのですが、同じポジション(右サイド)には監督と同じチーム(メッツィンゲン)から移ってきたオランダの選手がいて、彼女への監督の信頼は厚かったですね。たとえプレーで負けていなくても(出場機会をこれ以上得るのは)難しいなと感じたほどです。

ヨーロッパでは、試合に出られないぐらいなら、レベルが下がっても出られるチームに行く、というのが普通で、同じように出場機会が減ったチームメイトが何人もシーズンの早い段階から移籍することを決めていました。

それを見ながら、エージェントとも話して移籍を考え出したんです。オファーもあったし、昨年末の熊本世界女子選手権が終わってから考えようと。チャンピオンズリーグのことはかなり悩みましたが、やはり継続的に試合に出ることの方を取りました。

オファーは今回移籍するバイア・マーレ以外からもありましたが、バイア・マーレが一番条件がよかったし、(ルーマニアリーグで)昨季3位で今季はEHFカップ(チャンピオンズリーグの次のレベルのヨーロッパカップ戦)にも出られるレベルのチームです。そして、私を含めて新しい選手を10人(※編集部注)獲得して、ルーマニアでチャンピオンになることを狙っているというところも魅力に感じました。

※編集部注:熊本世界選手権にも出場したスウェーデン代表GKイデーン(日本とも対戦)、セルビア代表・ラフコ、ブラジル代表・アラウージョらが加入する

ルーマニアリーグへの興味

それと、ルーマニアリーグ自体に対する興味もありました。じつはドイツ1年目にEHFカップで2チームと対戦して(ザラウとクライヨーバ)、ザラウとは1勝1敗。得失点差で勝ちましたが、次にクライヨーバと当たってここで敗退しました。その時にルーマニアのチームのハンドボールって結構独特でおもしろいなと思っていたんです。

監督はドイツでの2シーズンと、EHFカップ、そして熊本でのルーマニア代表との試合も見てくれていて、とくに私のスピードを活かしてチームを勢いづけてほしい、と言われています。

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監督は藤田のプレーを評価したうえで獲得を決めている
(写真は昨年の熊本世界女子選手権・ルーマニア戦)

今は日本にいて、6月の末にルーマニアに移動し、7月初旬からのチーム始動に合わせて合流する予定です。新型コロナウイルスのことで大変ですが、一応、ルーマニアにちゃんと入れるように、チームの方で手続きなどはしてくれているということです。

また、いろいろな国の選手が来て今季は国際的になるから、英語をがんばってとチームには言われていて、オンラインの授業などを受けながら勉強しているところです。

ルーマニア自体初めてだし、さらにバイア・マーレはめちゃくちゃ田舎らしくて(笑)、そこの不安はいろいろあるんですけど、楽しみな気持ちももちろんあります。

ドルトムントでもそうでしたが、移籍すると最初は大変です。チームへの入り方とか、ハンドボール観の違いとか。でもそれをもう一度経験することで成長できる部分もあると思います。

楽しんでプレーしている姿を見てほしい

ドイツに行ってからの2年間は、直接日本のファンのみなさんとかかわれる機会があまりなくて。それでもいろいろな方法でメッセージをくれたりと応援してもらいました。ドルトムントのサポーターもよくしてくれましたし、そうした応援があると、もっとがんばりたいな、と思えるんですよね。

ルーマニアに行って、もっと成長した姿、そして楽しんでハンドボールをしている姿をみなさんに見せたいです。

日本にいる時はそんなふうには思えなくて、「結果で返す」という気持ちが大きかったです。いつも試合では緊張していて、あまり楽しんでいなかったのかなと、今振り返ってみて思います。

でも、ドイツに来て考えが変わりました。みんなハンドボールを楽しんでやっているんですよね。今は私も楽しみながらできるようになりました。だから、繰り返しになりますが、みなさんにはぜひそういう私の姿を見てもらいたいですね!

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【スポーツイベント・ハンドボール編集部】

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