「シップ」思考でのサプライヤーとの戦略について【実践!スポーツビジネス道場#21】
ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。
酒井)こんにちはTOKYO.CITY.FCの酒井翼です。
前回スポンサーシップの価値の作り方というところで荒木さんにお話をお伺いしたんですけど、今回は2021シーズンのスポンサーシップの話の延長でサプライヤーに関する話しを荒木さんにお伺いしたいと思っています。
よろしくお願いします。
荒木)はーい。
酒井)具体的な話としては僕らも今サプライヤーついていただいてトップチームのユニフォームを提供いただいたりとか金額を安く卸していただいたりとかしているんですが、サプライヤーさんの選び方として目の前の部分でわかりやすいのは提供していただくとか、安く卸していただくということがわかりやすいと思うんですが、もう少し長期的な視点でサプライヤーというステークホルダーとして考えた時にサプライヤーがブランド力があったらそのサプライヤーと組むことによって僕らのブランド価値を高めていくとかあるいはその販路を使わせてもらって一緒にグッズを作ってその収益のうちの半分半分でレベニューシェアしてさらに売り上げアップを狙うとか。サプライヤーと一口に言ってもいろんな考え方を戦略的に取っていけるのかなと思っていて。そういったところをどういう風に考えていくのが良いのかとか是非荒木さんのご経験も踏まえてご意見いただきたいなと。
荒木)はい。これは深いよね。スポーツには切っても切れないチーム、選手とのブランドとの関係値っていうまでもなく全世界のスポーツ産業において一番お金をスポーツ業界にスポンサーシップして投じている業種はスポーツメーカーで二番手は金融なんだけど。それくらい各ブランドっていうのもは競技団体に対してお金を投じているというのは日本だけじゃなくて世界中そういうことがある。その価値っていうものはブランドはわかっている。
そのお金のかけ方がどうかというと彼らからするとメジャースポーツに対してのことが多くなってくる。そうなってくると価格競争みたいにブランドを取り合ってその中でお金を貼ってくる経済ゲーム一方でTOKYO.CITY.FCみたいな規模あるいはこれからブランド作っていく向き合い方は相当違うと思うけど、そうなったときの経済価値とかブランド作り優先の考え方は当然考える。考えるけど一方では違った次元かもしれないけど、そもそもある意味クラブからしたらシップ系の話になる。パートナーシップ、スポンサーシップになるので。どうしても自分のクラブ中心に考えちゃうとうまくいかない気がする。高い方から買おうとかブランド作りのためにブランド使おうっていうのは自分にとって都合がいいじゃん、経済に対してもブランドに対しても。
ブランド側はどうなのかと考えた時に、ブランド側にはこういう貢献ができるとかそういうことがトータルの絵の中に納まらないとうまくいかない。
これは大小にかかわらずそういう視点だ大事。どっちも間違っているとかあっているとかは無くて、どっちかっていう選択肢なので。一緒に考えていけるようにしないとねと個人的には思うけどね。
ブランド作りでまだそこまで名前が大きくない中で、信頼できるブランドを冠するところによってクラブ自体のブランド価値・信頼性を上げるという考え方があると思うけど、でも今の時代そうだっけと思う。そこにある有名ブランドがついてたらTOKYO.CITY.FCすげーな!ってなるんだっけ?っていう。そもそもそこでブランド価値を創るのはTOKYO.CITY.FCのブランドを作ろうというはそうじゃなくて人のブランドに乗っかろうと発想になるのでブランド作りじゃないじゃん。信頼作りかもしれないけどそこについてたら信頼になるんだっけ?というところもある。そういう総合的なもう一段高い位置で物を見るといいかなと思うよね。
酒井)ありがとうございます。結構海外だといろんな事例もあるのかなと思っていて、僕らの規模と比べられる物じゃない部分もあるかと思いますが、サッカーよりも野球の方が多いのかなという気はしていて、MLBだったり、最近だと日本ハムファイターズがファナティクスと結んだりとかサプライヤーさんと一緒に育っていくみたいなとところも結構あるのかなと思っていて。
荒木)そうだよね、もちろん規模感は違うけど発想とか視点とかフレームとかは、大小に関わらずヒントになるところがたくさんあると思うし。そこはいろいろ勉強した方がいいと思う。とにかくこの業界はお金を出すところをクラブにとってシップ系なんだよね。同じ船に乗るという大前提で、スポンサーシップだし、パートナーシップだし。なんちゃらシップ系と言うのは双方が手を握り合ってやるというのが大事。商売で売買契約で成り立つ業界とはちょっと違う。
紹介するとMLBって今はファナティクスだけど、ひと昔当時、マジェスティックとNEW ERA事例があって、誰もが知っているマジェスティック、NEW ERAキャップのブランドだけど、MLBと契約した時は全然有名じゃない町工場だった。
酒井)そうなんですね。
荒木)そうそう、その時MLB何考えたかって言うと、なるべくわかりやすい例でいうと、あるA社という帽子屋さんが今全米に当たり前のように売れていたとします、B社はユニフォームが売れていたとします。そこらからスポンサーシップを取ってA社とB社の売り上げをさらに上げようとすると、購買人口を増やさないといけない。一人の人がいくつも買わないし、なかなか買い換えないじゃない?ユニフォームも帽子も。そう考えるとA社・B社にスポンサーをたっぷりもらってさらに売り上げるということは当然彼らの売り上げを上げないといけない、プラスこっちのスポンサーシップも上げないといけないとなるとどこかで息詰まる。A社は最初はお金頂いたけど、そこまで売り上げ伸びないのに、MLB側はもっとくれって言ってくる。
酒井)投資に対してのリターンが返ってこないという事ですか?
荒木)そう、どうやったら購買人口を増やさずして売り上げを上げるかというと、A社をC社に変えればいいんですよ。A社がキャップ屋さん、B社がユニフォーム屋さんだとすると、A社をC社に変えると、今まで持っていた人たちが新しいブランドのキャップになったので買ってくれる。仮想的に購買人口を増やす事ができる。一から買ってくれる。B社のユニフォームもD社に変える事によって、今まで買ってくれていた人が買い換えてくれる。今のものがメーカーが変わって古くなるから。一気に市場を増やすには、フルとっかえ、なおかつ今まで使っていなかったベンダーに任せてしまうのも1つの考え。それを上がっていく時にそれをちゃんとお金が入っていく仕組みにするか、あるいは売り上げが大きくなった時スポンサーシップを切り替えるかということは両社がWin-Winになる。
酒井)チームにとってはその分の売り上げが増えるし、サプライヤーにとっても今までなかった売り上げが入ってくる。
荒木)成長線がすごい勢いで伸びるからそうすればWin-Win。それを10数年やったかな、マジェスティックもNEW ERAも非常に大きな会社になったけど最近起きたことは今度は47が大きくな権利を取ってやっているけど。だからNEW ERAから47に切り替えるみたいな。ファナティクスとナイキの契約はすごくて。今全部MLBはナイキのユニフォーム着ている。30球団あるけど。アレね、ボディの製造はマジェスティックがやっているのよ。日本で言うとミズノが作ってデサントのマークが入っているみたいな。これなんでかって言うと…、これ話すと長くなるので次回にしましょう!
酒井)僕もちゃんと記事読んでおきます!
荒木)いや、記事には書いてないのよ!
酒井)そうなんですね…!
≪第21話 終わり≫
■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI
一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ
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