マルチタスクをすればするほど物事がシンプル化する【実践!スポーツビジネス道場#33】
ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ1部所属のサッカークラブ「SHIBUYA CITY FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。
荒木)すごい勉強になった、ありがとう。本当に難しいですよね。でもやっぱり一つ言えるのはプロセスとか手法ではないということですよね、人をマネジメントするって。方法論でいくらやってもやっぱり人って動かせないし。やっぱりその抱えているものだったりだとか、クライアントとの熱量を感じている自分と、スタッフの熱量の違いとか感じる時って気持ちが高まっちゃうっていうところは正直あるわけだけどね。もちろんスタッフの人格を否定しているとかではなくて、仕事のクオリティに対しての思いみたいなものが、結果的にそうなっちゃうっていうのは多聞にあると思うので…。そこをいかに説明力でカバーするとか、背景をしっかり理解して…、今の話を聞いてても根本だなと思うのは、結局はそのお客さんとの思いをスタッフに伝えているわけであって、どう仕事をさせるかっていう手法を細かく定義してこうやったら出来る、ああやったらできる、じゃなくて結局は最大のステークホルダーであるお客さんの想いや、やりたいことを伝えるということのコミュニケーションが本質なんだと思うんだよね。こういう仕事の仕方をした方がいいっていうのは、それのトランスレーターにマネジメントがいかになれるかっていうね。その裏返しで、そのギャップができてしまうとどうしてもなかなか難しいし、時に苛立って高圧的な態度が出てしまったりとか、そんなんじゃ全然お客さんは満足しないんだよみたいな一方的なコミュニケーションになってしまったりするので、自分自身がマネジメントとしてお客さんと同じ熱量でいかに部下に伝えるかというところが結構あるんだろうなと、自戒の念も込めて思ってますけどね。
後はマネジメントで重要なのは、よく言われていることかもしれないけれども、人が付いてくる人とついてこない人がなんでいるのかというところは、私はある先輩に教えてもらった話なんですけれども、ポイントは『アイディアがあるかないか』。人ってアイディアがある人に寄って行くんですよ。アイディアがなかったら寄って行かないんですよ。アイディアに対して自分が共感すると言うか、実績がある人がビジョンを語るとすごく説得力がありますが、実績がない人がビジョンを語っても遠すぎて夢物語になりがちですけど、そうじゃなくて一般のフィールドにおいて人が集まってくるっていうのは、何て言うのかなヴィジブルな”見える形のアイデア”みたいなものがいかに解像度良く常に示し続けられるかみたいな…。人を寄せる一番のポイントなんじゃないかなと、すごく俺の中では腑に落ちて納得したんだけどね。人の集まりでもリードしてあそこ行こうぜ!あれ食べようぜ!とかここ遊びに行こうぜ!と遊びの世界でもね、そういう遊びの提案みたいなものとか集まりの提案みたいなものが積極的にできる人っていうのが、人が集まってくるし、それと同じようにマネジメントリーダーになる前提条件としては、自分の考えとか自分のやりたいこととかを具体的に示し続けられるていうところがやっぱりすごく大事なんじゃないかなと思うよね。その上でやりたいことをやるために、我々のビジネスの世界ではそれにお客さんがついてくるので、そのお客さんの思いをどれだけ熱く語って理解して実行するとか。そこさえ出来てしまえば後は多分プロセスなんか関係なくて、勝手に自分でも学ぶだろうし勝手に成長していくようなそういうモデルが理想系なんだろうなと思うよね。
酒井)今個人としてよかったことをお話させていただいたんですけれども、改善点もお話したいと思います。よかったところと矛盾する部分もあるんですけれども、お仕事させていただく中で客観的に今の自分を見た時に、若さと勢いだけを割と武器にしている感を感じていて。仕事そのものをプロフェッショナルにクオリティの高いものをアウトプットしていくということを突き詰めていかないといけないなと思っていて。いろんな仕事があるとはいえ、例えば気合い的な形で”やりますやります”みたいに勢いで言ったものが例えばその日までに僕自身なかなかうまく時間が取れなかったりだとかでできなかったり、お客さんに迷惑かけてしまったりとかは正直あったりもして。ここは勢い的なところで、割と今まで僕は気合い系の人間なので、”気合いでやります”でどうにかなっていたんですけれども、多分もうそれだけではダメなんだっていうのを感じていて。ただ若さとか勢いとかそういうところだけじゃなくて、きちんとクオリティの高い仕事をして、それに対して信頼してもらってさらに幅が広がっていくみたいなところを突き詰めていかないといけないなと思っていて。そのためにはただ”やります”みたいな感じで気持ちだけ押し出していくという感じではなくて、マルチタスクになっていた時にどういう風にしたら効率的に回るかっていうのを仕組みで解決する思考癖というのをつけて、よりいろんな方から信頼を得られるようにしていきたいなというのはすごく実感しています。
荒木)なるほど、言っていることはすごく分かるんだけれども。個人的には今の翼の年齢とかを考えると、多少の怪我・事故はあっても若さと勢いは絶対に大事にするべきだし、プロフェッショナルの仕事をしたいっていうのは自分の気持ちとしては大事かもしれないけれども、自分で『僕プロフェッショナルです』っていうのは当たり前だけど違くて、評価っていうのは自分がするんじゃなくて外からされるものなので。結果的には…昭和チックで恐縮だけれども、やっぱり全身全霊かけて自分が自信もって、コミットしてやった仕事に対して結果的にお客さんや周りから評価されるっていう積み重ねこそがプロフェッショナルへの道なんじゃないかなと思うよね。あんまり自分自身がプロフェッショナルな仕事をしたいっていうのは小手先とか方法論とかで。そういうところで俺プロフェッショナルだなあと思っても、人から見てそうでなかったらプロフェッショナルでも何でもないので、まだまだそういうきれいな仕事、効率よくやろうというよりは、がむしゃらみたいな時間帯っていうのも大事なんじゃないかと思うんだよね。サッカーで言ったら前半10分ぐらいの感じだと思うんだよ。なのでそこでいきなりシュート決めるとかってではなくて、そこはしっかりひたすら動いて、いろんなもの吸収しながらやっていくなかで、実績を残して行くみたいな考えを持ってもいいかなと思うよね。いきなりプロフェッショナルを目指すというところを目標にするよりはいいんじゃないかなと思うよね。
うちの会社の若い奴が言ってたんだけど、マルチタスクの考え方で、通常マルチタスクになると仕事が滞っちゃうとか、ぐちゃぐちゃになっちゃうとか、もうこんなにやれませんみたいなそういう心境になったりもするケースもあると思うけど、彼が言ってたのは全く逆で。マルチタスクになればなるほど物事がシンプルに考えられる、要は限られた時間しかないので限られた時間の中でマルチタスクをこなしていくと、最終的にだけど、やればやるほど物事の本質が見えてきてマルチタスクをやるからゆえに、物事をシンプルに捉えられて本質眼が鍛えられて、その延長線上でマルチタスクができるようになっていく。そのスパイラルに入ってくるといくらでもマルチタスクできるし、逆にマルチタスクやってないと怖いというか、マルチタスクをやっているといろんな視座や視点が持てるので。本当はタスク A、B、C があって ABCそれぞれプライオリティーを決めてやるとAができてBができてCができるってなるんだけど、マルチタスクだとAをやるつもりがBやCのエッセンスが入ってきて、A’とかA’’とか変形して違ったアウトプットができたりする。 B をやろうとしたけど Ba ができたりだとか化学反応が起きたり。そういうのがマルチタスクでは生まれるので面白いところだったりする。普通のワーカーベースの発想であれば ABC あったら優先順位付けて、プライオリティ決めていつまでにスケジュールを組んでってなるんだろうけど、マネジメントっていうのはそもそも自分の頭でやりたい事が出来てると優先順位って全部1位なんで、それをいかに並列的にこなしていけるか、それに突っ込んで耐えられる胆力をつけながらマルチタスクをすればするほど物事がシンプルになって本質が見えてきて、そのためにはどうしたらいいかって言うとスキルを付けるというプロセスをある一定の期間集中してやることこそが実は一番プロフェッショナルへの近道なんじゃないかなと思うよね。
酒井)マルチタスクであればこそシンプルになるって凄い響きました。そうですよね、言われてみれば逆に時間がある時の方が無駄にいろんなこと考えてしまったり、結果アウトプットがそんなにいいものならなかったりとか。30分だけ考えた企画書の方がいいものができたりということもありますもんね。
荒木)そんなんばっかですよ。時間かけたって出てこないものは出てこないし。マルチタスクになると集中力も高まるし、その違った景色の中でやるからこそ新しい発想ができたりするので。 Aだけやるのではなく、ABCをこなしながらやるからこそAも刺激されるみたいな。結局全部同じ時間軸の中でやらなきゃいけないから、”要は何”って言う本質が見えてきたりするので、後はそのプロになるみたいな強い意識、プロになること自体が目標じゃなくて結果としてプロになるっていう成長曲線が伸びていかないと思うよね。
酒井)ありがとうございます。2020年の振り返りもできたので、ありがとうございました。
荒木)お疲れ様でした、でもこの経験はすごい大変な一年だったけど、このポジションで出来たということは、今後またビジネスキャリアや大きな自信につながっていくと思うし、ここからだよね!本当に我々も同じ空間にいていかに新しい形でスポーツ界を作っていくというところに関しては同士なのでね!来年2021年、これが流れる時はもう2021年だろうけど!
酒井)そうですね!
荒木)良い年を迎えて頑張っていきましょう!2021年もよろしくお願いします。
酒井)よろしくお願いします。
≪第33話 終わり≫
■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI
一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
2021シーズンから改称&昇格しJ1から数えて7部相当の、東京都社会人リーグ1部に所属するサッカークラブ「SHIBUYA CITY FC」(元TOKYO CITY FC)にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
SHIBUYA CITY FC 公式サイトはコチラ
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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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