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「生産性を高めること」は本質なのか_後編【実践!スポーツビジネス道場#18】

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ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。


荒木)やっぱりソフトのビジネスというかサービスのビジネスをやっているので、あんまり生産性っていう言葉にこだわらない方がいいんじゃないかなと思っていて。生産性ってものづくりの発想じゃない?生産性の表し方って極端な話、単位時間あたりに決められたものを何個作れますかっていうね、プロダクティビティっていうくらいだからプロダクトをどれだけ単位時間当たり処理できるかっていう。あるいは労働力に関しても単位時間当たり労働時間の中でどれだけ決められたアウトプットをこなせるかっていう。そういう指標がプロダクティビティ・生産性で。
だけど我々のやってるスポーツビジネス、あるいはクリエイティブって必ずしも最初から行き着くものが違うし、100個作っても単位時間当たりどれだけさばけるかということをそもそもしていなくて。短い間にクオリティの高いものをデリバリーできるかっていうことは生産性とちょっと違って。アウトプット出すのに1時間でA作りますっていうのと10時間でA作りますっていうのは、単位時間ではなくて作るのにかかる時間が1時間ですか10時間ですかって話。どれだけ短期間にクオリティの高いAという成果物を出しますかというところ。もともと生産性の話は単位時間は一緒で、どういうアウトプットを出しますかということ。単位時間は不変だけど、それに対してアウトプットが変わるのが生産性の話で。その裏返しがどれだけ短い時間にどれだけ高いものを作っていくかという話。プロセスコントロールじゃない。
そうなったときにサービスソリューション系のビジネスっていうのは単位時間あたりという発想は一旦捨てて、どれだけ短い時間にどれだけ質の高いサービスが生産できるかという。
その時必要になってくるのは会社としてのナレッジシェアとかそれぞれの持っているスキルセットをどう高めていくかを並行的に進めていかないとか、処理を早くするっていうことだけじゃなくて産みだす成果物へのこだわりみたいなもの。単純に単位時間が長ければできるということではないし、1時間でできるAと10時間でできるAは、必ずしも10時間で作ったAの方が品質が高い保証はないわけで。1時間でできないものは10時間でもできない可能性が高いわけ。

酒井)うーん。

荒木)ということは時間じゃないですよね。時間じゃなくてAという成果物に対するクオリティの担保という感覚を重要視した方がいいんじゃないかなと思うんだよね。それって生産性とは違う議論になってしまうね。回りくどくてわかりづらいかもしれないけど言わんとしている事は伝わるかな?

酒井)時間かけたからというよりもどちらかというとアウトプットから逆算してそれに対してどれだけ...…うーん、理解しきれたようなしきれてないような。。

荒木)そうだな。そもそも最初にもっていた課題の生産性を高めたいっていうのはマルチタスクとか処理能力を高めたいとか一人でできる範囲を広げたいってことだったよな。じゃないと一人じゃ回んない!という発想だったと思うけど、それだと本質ではなくて、やっぱり酒井翼という一人の戦力じゃなくてももう一つレイヤーの高い、組織としてのビジネスを考えた時には、一人に依存する形ではなく、質のいいアウトプットを短期間で出せる仕組みを作るということは何だろうかと、そもそも論の発想で組織というか仕事の作り方を考えていく必要があるというのが個人事業主との最大の違いだと思う。そのために教育も必要かもしれないし。人を増やす事においてもさっき言ったような増やし方(事業の要素が)5つのブロックがあったときに自分のバリュープロポジション・強みが3つ目の箱だとしたら1~5を一人ずつ採用しようぜ、全部自分たちでやろうぜってなると5人採用が必要になるので横展開できないモデルになる。どこかがボトルネックになるので、次採用しようぜってなると5人の次は10人採用しないといけなくなる。言うは易くだけど理想的には1~5のブロックの中で自分のバリュープロポジションのポジショニングをどこに持って行くかということと3つ目の箱は我々の最大の強みだってなったとしたら、5人をどう増やすか、もしくはそのほかの(バリュープロポジションの)3以外は外部のパートナーと連携してスケーラブルな組織体制持って行くとか。
そのための会社としてのクオリティ担保の為に…ある程度のクオリティコントロールのできるガイドラインみたいなものをディレクターが上手くディレクションしてスケーラブルな形にして横展開するために外部の環境を増やせるようにする。
だけど自分のコアコンピテンスの領域(3つ目の箱)は社内の誰がやってもクオリティ担保ができるように、場合によっては人によっていろんなタイプができますよっていうバリュープロポジションの作り方もあるけどそういう風な組織設計が大事だと思う。

酒井)そうですね。それを見据えながらいろんなことをやっていく中でバリュープロポジション、強みが何なのかを想定もしつつ、やっていきながら見えていく部分でもあると思うので、そこは双方向なのかな、と今お伺いして思いました。

荒木)でも毎日の仕事に追われてやっていくという時期も大事だし、やってかなきゃいけないし、やっぱりマネージメントとしてはその一方で全体の事業のフレームとか組織のあるべき姿とかも考えてやっていくという事が大事だよね。
俺も今までの経験でもちろん数名の会社から何万人の会社でマネージメントしてきた中で、最初うちの会社は3人でスタートしたけど、やろうとしている事のポートフォリオは明確だったので、何したかというと、あるべき姿に対する理想的な組織を描くこと。これ何が言いたいかというと、3人だろうと30人だろうとやりたいことは変わらない。そうなったときに3人の組織でやることを明確化しないよりは、30人必要な理想的な箱が合って、それをどう回すのかみたいな。それを将来的にはすべてインナーでできたらゴールかもしれないけど必ずしもはじめはそれができないとしたら、30人で全部やるのか、3人で10個やって他の20個は外部にするかとか。。
ロッテの改革の時もそうだったけど、はじめ企画広報部っていうのを作ったんだけど、はじめ一人の組織で3年後くらいには50人くらいになったんだけど、それもやりたい事ところの箱があって外部委託とかで埋めていって最終的には箱のスペシャリティを高めていってそこの数まで高めていったっていくみたいな。目指している目標のどのくらい迄行ったらどうなるとかのイメージを持った上でスタッフを抱えていく等やり方もあるかなと。
そうなると一人でどう頑張ってマルチタスクでこなすかみたいな近視眼的な発想にはならないのでもう少し全体を鳥瞰・俯瞰できる感じになってくるんじゃないかなと思うよね。

酒井)ありがとうございます。
最初個人的な生産性みたいな話をお伺いしようと思ったんですが、そもそも組織に紐づいているところだから、逆算して発想していかないと、というところですね。

荒木)そう、だから今のは会社目線の話をしたので、そこからまた個人に焦点を当てた時に個人の生産性、プロダクティビティというところなので底を高めていく、仕事が早い人とになれるかというところだけど。早い人ってマルチタスクが回せる人というか、マルチな人を巻き込んでという発想になると自分で手を動かすというよりは自分である程度采配できるスキル、多少違うスキルが必要になってくるんじゃないかなと思うけどね。

≪第18話 終わり≫


■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI

一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ

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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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