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大切なのは高い視座と、発信すること〜デザイナーオンライン1日合宿〜

こんにちは、スペースマーケットデザイン部です。今回は7月末に実施したオンライン1日合宿についてご紹介します。
※合宿と銘打ってはいますが、丸一日のオフサイトミーティングのようなものです。

以前の合宿についてはこちらの記事をご参照ください。

エンジニアと合同で開発合宿を行ったこともありました。

なぜやったのか

今回の合宿は、デザイナーがより組織に貢献するために実施しました。日々業務にあたる中でみな課題に感じることがあったため、その解決策をデザイナーの立場から考え提案しようというものです。また、実はチームではちょうどメンバーが入れ替えとなるタイミングで、各々がこれまでよりも一層オーナーシップを持って業務にあたる必要がありました。そのため、話し合いを通じて視座の向上を図ることも重要な目的の一つとして考えていました。

「視座が高い」状態とは?

今回私たちが目指したのは個人の課題だけではなくデザイン部・施策のユニットないしは組織全体の問題解決に向かって積極的に取り組むことのできる姿勢で、それを「視座が高い」状態と定義しました。
問題提議だけに終わらず解決策の提案や実践まで行うことができれば、デザイナーが組織とサービスをより良いものへ導くことのできる存在になれると考えたためです。

視座についての説明はこちらの記事が大変分かりやすく、合宿前に全員で読んで参考にさせていただきました。

オンラインでの実施方法

このような状況でなければいつも通りレンタルスペースを借りて実施したいところでしたが、リモート体制をとり、話し合いはすべてzoomで行いました。また今回は新たにmiroを利用してみました。

これまでの合宿では、それぞれが付箋に意見をメモをしてホワイトボードや画用紙に貼りながら内容を整理していました。

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miro上の付箋を使うことで、それに近い感覚で取り組めたように感じます。操作も直感的に理解できましたし、動きも滑らかで動作が中断される印象はまったくありませんでした。

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タイムスケジュール

以下の流れで行いました。

0. アイスブレイク
1. 現状の課題抽出とグルーピング
2. 軽く話し合い
3. 個人ワーク
4. プレゼンテーション(一人5分)
5. フィードバック・ディスカッション
6. まとめ

アイスブレイクは毎週2回、朝に開催しているチェックインで印象に残った回のふりかえり・また新テーマ「今までみんなに話したことのないこと」について話しました。チェックインについての詳細はぜひこちらの記事をご覧ください。

今回の振り返りでは、おすすめされた漫画をさっそく読んだ!という報告や「思いもよらないエピソードを知れて面白かった」という意見が聞けました。また、パーソナルな部分を知れるとより仲が深まるので今後は趣味嗜好を掘り下げるテーマを重点的にやっていこう、ということになりました。

まずは前期の振り返りから

ここから本題に入ります。まずは前期の施策を通して組織においてどんな課題があったか考えます。またここでは、デザイナーにとってだけではなく関わりの深いエンジニア・さらに他部署の人にとってはどうかも考えました。

その結果、大きな課題として共通で挙げられたのが「開発組織体制(ユニット)」「仕様の決定と共有のフロー」についてでした。

プロジェクトはすべてアジャイルで回しているのですが、短いスパンの中プロジェクトマネージャーとなるメンバーが上流タスクにばかり追われなかなか作業リソースが確保できなかったり、また人数が増えてきたこともあってユニットメンバーへの仕様の伝達・変更についての共有がうまくいかないことも何度かありました。また原因は体制のせいだけではなく、仕様書自体にも課題がありそうでした。

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これらを踏まえ、変化に対応しやすく、今よりもスムーズにプロジェクトを進行することのできる体制や方法があるのではないか?というのが、全員一致で今回考えるべき本質的な課題となりました。

個人発表

今回はチーム全体での話し合いの前に、個人で具体的な解決策を提案する時間をとりました。これは冒頭で書いた通り一人ひとりの視座を向上させることが目的の試みです。2時間ほどの短い時間ではありましたが、それぞれが現状の課題をよく整理し、自分の考える解決策を提案することができました。以下は各自の発表資料の一部です。

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課題と解決策

発表・話し合いを経て提案された具体的な解決策を紹介します。

課題:「仕様についての記載が点在してしまっている」

特にFigmaを利用しているとコメント機能が便利で、つい追加・変更した仕様の内容をzoomで話し合い→Figmaのコメントにメモするだけで完結してしまうことがありました。そうすると話し合いに参加していないエンジニアが多くのコメントの中からその仕様を見つけられず、把握している情報に差が出てしまいます。

この問題においては、仕様書の刷新が解決策の一つとして挙げられました。

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フォーマットをデザイナーから提案し、エンジニアやPMの意見を取り入れてより使いやすく参照しやすい形を目指すこととなりました。仕様書をどの施策も共通のフォーマットで常に正として更新することで「最新の仕様がどこに書いてあるかわからない」「Figmaでコメント探すのが億劫」といった問題は解決されます。

「やってもらう」ことを期待するのではなく、私たちが構造から変えていく

スペースマーケットのメンバーは皆、サービス愛と責任感をもって業務に当たっています。もちろんそれはデザイナーと密に関わるプロダクトマネージャーやエンジニアも例外ではなく、そのオーナーシップをあてにして些細な部分で「分かってくれているはず」などとつい頼ってしまう場面がありました。それでは伝わらない部分が出てくるのが当然ですよね。

またデザイナーが「やりたいこと」も、このままではエンジニアとっては負担になってしまうのではないか?といった意見もありました。これについて具体的に紹介します。

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今現在、スペースマーケットではこのような流れでリリースまで作業を行なっています。上記の図の通りプロダクトマネージャーが大まかな仕様を考えますが、細かい仕様はデザイナーが考えています。エンジニアへの共有はzoomでのミーティング、もしくはSlack上などで行います。しかし、いつもデザインができる頃・もしくは実装の途中で相談することが多く、これでは効率が悪いのではないかという意見が多くありました。もっと早い段階でエンジニアからの意見や思いを取り入れられるフローへ見直す必要があります。

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しかし、単に現フローに「相談させて欲しい」「意見が欲しい」などこちらからの要望ばかりを載せてしまうと、他部署のメンバーは「手間が増えたな」という気持ちになるのが自然です。
そこで、そもそもの構造を変えることでお互いに取り組みやすい体制を目指すという手法を考えました。

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まず、大まかな仕様をデザイナーがモデル図として共有します。

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次に、認識が合ったところでWF・プロトタイプの作成を行います。この段階で改めてレビュー・相談を行います。

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このように、実現可能かどうかの確認・作業工数を見積もる時間を含め、段階ごとに話し合いのタイミングを設けた体制を考えました。

仕様を作成する初期段階でもエンジニア目線での意見を取り入れることでお互いに納得感が生まれ、かつさまざまな視点から考えられることで何よりユーザーにとってより良いUIができるのでは?という狙いがありました。これも実は、冒頭の課題出しでデザイナー全員が挙げていた希望でした。

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また、都度レビューを挟むことで、認識の相違や想定していないUIが急に共有されることを防げます。

新たなフローは一見手間に見えるかもしれませんが、多くのメンバーが関わる大きなプロジェクトで仕様やデザインが確定してしまった後に色々な問題が発覚する出戻りリスクを考えると、試してみる価値はあるのではないでしょうか。もちろんこれはまだデザイナー目線での提案に過ぎないので、他部署と相談しながらより良いフローを確立していきたいと考えています。

結論:待たずに、できることから即反映していく

今回の合宿で重要視したのが「やって終わりにしない」ということです。例えば「じゃあ今からこの提案たちをコンフルにまとめて、マネージャーに提案書として提出します」というフローも決して間違いではないのですが、果たしてそれは「デザイナーから組織を変えていく」ことと言えるのでしょうか。デザイナーが改善案を生んだのに、その判断を上司に任せるのはあまり良い方法とは思えませんし、スピーディーでもありません。
また、デザイン部のミッションにある「ハブとなる」ことや「当事者意識」に欠けているように感じます。

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もちろん中には相談した上で運用していきたいものもあるので、すべてを完全な状態で即採用・反映というわけにはいきませんが、できることからすぐに、それぞれが属しているユニットで試していくことにしました。
例えば、前述した共通の仕様書フォーマットはチームの代表者からその日の夜に上長に内容を共有しました。

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ちょうど作成を考えていたとのことで、次の日には作成されていたたたきを見ながら話し合いを行うことができました。

もちろん他の取り組みについても、小さな施策から試験的な運用を計画しています。プロジェクトのユニットにはデザイナーが1人〜2人ずつ配属されているので、進捗や状況は毎週実施しているデザイン部定例会議で各自が報告することで確認し合っています。

視座をあげるということはプロジェクトを「自分ごと」にすること

また、視座を高める目的で企画された合宿でしたが、話し合いながら感じたのは「我々の視座はすでに高かった」ということでした。いざ合宿をしてみて、皆日々組織を良くするために何ができるか、課題をしっかり自分ごととして考えていたことが分かりました。また振り返りで「自分が持っていた悩みが実は皆と共通していて安心した」という意見もありました。

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しかし振り返りを終えた今でも、これは話さないと分からなかったと改めて思います。部内でも組織に対しても、今まで足りていなかったのは「発信すること」で、おそらくこれが一番大切なことでした。

何より、発信することの大切さ

良い提案も共通のはずの認識も、思っているだけでは伝わらないので意味がありません。今回は合宿という機会を設けましたが、提案実現のためには日々臆せず、積極的に気づきを発信していく姿勢が必要であると強く感じました。リモートの状況ではつい話し合いを後回しにしてしまうこともありましたが、デザイン部のメンバー一人ひとりが改善を実施していくこれからは、より多くのコミュニケーションと共有・相談がより大事になっていきそうです。
これからもデザイナーの立場からスペースマーケットの組織をより良いものにしていけるよう、積極的に声を上げていこうと思います。

長くなりましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました!