「本とうの話」 恩田陸作品が繋いでくれた春
高校一年の春。不安と期待を胸に顔を合わせたクラスの自己紹介で出席番号が最後だった彼女が好きなものとして挙げたのが小説、そして恩田陸作品でした。中学校までの私にとって本というものは自分しか知らないもので、時に自分を守るためのものでした。ましてクラスメイトが自分の好きな作家について自己紹介で話すなんて考えられませんでした。だからこそそのことがとても嬉しく、選択授業の移動で勇気を出して話しかけたのをよく覚えています。恩田さんの描写力が素晴らしいこと、登場する女の人がとても素敵なこ