「Spir」という社名に込めた想い【Spirは何を実現しようとしているのか②】
こんにちは、Spirの大山です。前回はなぜSpirが「日程調整ツール」を始めることになった経緯をお伝えしました。
今回は、Spirという社名に込めた想い、そして日程調整ツールの先に見据える世界についてお伝えします。
創業への想いや提供する価値を伝える社名探し
起業すると決めて、まだプロダクトが決まっていないうちから、まずは名前を決めようと、フィットした言葉を探し始めました。
最初からサービス名と会社名は同じにするつもりでした。でも、「スマート○○」とか「△△テック」というようなネーミングをするつもりはありませんでした。そういうサービス名はわかりやすくて、マーケティング効率的にはいいですが、日本語のダジャレみたいで個人的に好みではない。
一方で、Slackのように特に意味のないネーミングで、世の中に広く普及しているものもたくさんあります。
僕は社名やサービス名には、創業への想いや提供する価値を伝える意味を持たせたかった。イメージとしては、ラテン語の「商いをする」からネーミングしたmercari(メルカリ)が近いですね。
呼吸するように創造性を解放する
いろいろな言葉を探していく中で、creativeとかInspirationというワードの語源をあたっていくうちに、出合った言葉が「spir」でした。
spirはラテン語の語根で、「息をする」という意味があります。spirを語源とする言葉には、inspire(激励する)、inspiration(ひらめき)、respire(呼吸する)、sprit(精神、魂)というようなものがあります。
Spirのミッションは「創造性を解放する」ことです。創造性を解放するとは、人々がもっとクリエイティブになれるということ。社名を考えるときは、まだこのミッションをはっきりとは言語化できていませんでしたが、起業を決意したときから自分の中に想いとしてあったことです。
自分たちのプロダクトは、「創造性を解放するもの」で、かつ「グローバルに使われるもの」にしたい。そう考えたときに、「息をする」というspirのイメージがぴったりだと思いました。息をするという行為は、性別、人種、年齢関係なく、世界中の誰もが無意識に行っていて生きる上で欠かせない行為だからです。ダイバーシティの観点にもはまっています。
もちろん、サービスの価値を表現することも重要です。我々の日程調整ツールを使えば、簡単に人に会えて、inspiration(ひらめき)を得る機会を増やせます。この点でも、spirという言葉がしっくりきました。
煩わしさを排除し、誰もが呼吸するようにクリエイティブな創造性を発揮できる。Spirという社名で、そんな創業への想いと我々の生み出す価値を表現できたと思っています。
日程調整で短期的売上確保より、その先の目指す世界へ
社名も決まり、α版、β版と順調にリリースしていく過程で、2021年はターゲットユーザーをどうするか、試行錯誤していた時期でもあります。
日程調整ツールのニーズが高いのは採用や営業ですが、調整ツール単体ではマーケットはそれほど大きくないのが実状です。
採用では日程調整だけを業務委託するケースもありますが、現実にそこまでやる企業は多くありません。年間100人ペースで採用する成長期のスタートアップなどを中心に、せいぜい2,000社ほどが限界です。たとえ日程調整ツールで2,000社を獲得しても、成長の限界も見えています。
もちろん、それは短期的な売上にはなりますが、そういうことをやりたくて起業をしたわけではない、という想いが強くありました。一般的なSaaS系スタートアップでは起業したらまずは売上を確保して、小さな成功を目指すのが一般的かもしれません。
しかし、売上先行で走り出せば、どうしても国内に最適化するサービスになることもわかっていました。その点においても、最初から世界を目指すSpirの目標とズレてしまいます。
Spirが今目指しているのは、日程調整ツールを提供することではなく、あくまでもビジネスパーソンのデータベースを構築することです。
日程調整ツールは、ビジネスパーソンのデータベースを構築する目的において大きな可能があるからこそ提供しているのです。
目指すのは数千億円規模のマーケット
NewsPicks、SPEEDAに関わってきた経験上、ビジネスパーソンに毎日アクセスしてもらうプロダクトをつくるのが簡単ではないことは知っています。その点、カレンダーは多くのビジネスパーソンが1日に何度もアクセスするもの。誰とどんな頻度で会っているのか。それらのデータを自動的に入力してもらえる、それがビジネスカレンダーであり、日程調整ツールなのです。
日程調整ツールによってビジネスパーソンのデータベースが構築でき、採用に結びつけることができれば、国内だけでも数千億円規模のマーケットが広がっています。また、広告ビジネスなどデジタルマーケティングへ活用できれば、さらに大きな―ケットが広がっています。
Spirが目指すのは、日程調整ツールの先にあるデータによって広がるマーケットにあります。将来的にそのマーケットに参入するために、今は日程調整ツールでマーケットシェアを取ることに注力している段階だと捉えています。