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『天国、それともラスベガス』―ガジェット多めとすっきりを両立させた、世界に向かうデスクチューンの企画と実装

「デスクに向かう」という表現が好きです。デスクに座るでもデスクを使うでもなく、「向かう」。デスクに身を置きモニターやスピーカーを見て過ごす時間は、どこか遠い場所から吹いてくる風を受けること、どこか違う世界に向かって進んでいくことと、確かに似ていると思うんですよね。

今回のデスクチューンのきっかけは、2020年春に訪れたあのウイルスとリモートワークでした。昨年転職したりと個人的にも太めの節目を感じていた20年代の始まりに、さらに世界は災厄に見舞われ、人と人との触れあいは禁忌になり、あんなに世界の空を飛び交っていた飛行機も多くが欠航、そして会社員(ゲーム企画系)の僕には自宅でゆっくり考える時間ができたのです。

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急に職場を兼ねることになった自宅で仕事をしながら、じっとデスクを見る。ガジェットが好きで、自宅の環境もそこそこ整えていたつもりでしたが、これまでと全く様相を変えてしまったこの世界と自分の目、そして自分の気持ちであらためてデスクを見つめなおしたら、それはなんだかすっかり着古してしまった、時代遅れの洋服みたいに見えてきました。

うん、これは再構築が必要だ。仕事でもプライベートでも、20年代の世界にしっかり向かえるデスクをチューンするしかない。

このnoteは、そんな折にGo Andoさんの「デスクをすっきりさせるマガジン」出会って猛烈に触発された僕が、ガジェット多めの自宅デスク環境の再構築を企画し、チューンアップしていった考えと気持ちの記録です。


1. 天国、それともラスベガス

デスク環境のチューンアップを考えたとき、最初にイメージしたキーワードは「天国」と「ラスベガス」でした。

「天国」は文字通り、自分にとって最高に居心地のいい場所にしたいという意味です。そして自宅のデスクが居心地のいい場所であるためには、単に身体的に楽なだけではなく、デスクの景色がすっきり美しいこと、そしていつまでも飽きることなく過ごせる機能とシステムが必要です。

「ラスベガス」はカジノで有名なあの街のことです。そしてラスベガスはカジノの街であるのと同時に、年に1回「CES」とよばれる世界最大のエレクトロニクスショーが開かれる場所でもあります。

僕も2019年に現地を訪れたのですが、ラスベガス市内のコンベンションセンターや大型ホテルなど3エリアをシャトルバスで結んだ広大な会場には、世界中から集まった4,500社ものメーカーがひしめいていました。そして自動運転車からスマホケースに至るまで多種多様なガジェットが星の数ほど出展されていて、街全体が世界のガジェットの祝祭になっていたのです。

自宅のデスクは、天国のように居心地のいい場所にしたい。そしてCESのラスベガスのように、デスクに集まった様々なガジェットが生き生きと個性と機能を発揮して、そこから世界を感じられる場所にしたい。

悲しいけれど、当面のあいだは以前のような気軽さで海外に行ったりできそうもない状況だからこそ、このデスクを通じていつでも世界に向かい、世界とつながり、世界を感じられるようにしたい。そんなイメージを描きながら、デスクのチューン作業に乗り出しました。


2. デスクを初期化

最初のステップとして、まずは全ての基盤となるデスクを買い替えました。デスクのイニシャライズです。物理フォーマットです。

長く使って歪みが出ていた古いデスクは処分して、新たに選んだのは「かなでもの」のラバーウッドテーブル。幅と奥行きをセミオーダーでサイズ指定できて、部屋の形に合わせやすいのは良いですね。

ただここで残念なことに、届いた商品に同梱されたネジやボルトが全然足りなくて組み立てられない、というトラブルが発生しました。箱に入っていたパーツ入りビニール袋が破れていて中の部品が散乱、なんとかかき集めたボルトも説明書と形状が違っていてネジ穴と合わない。あいにく指定したお届け日は土曜日で、サポートにメールで連絡したけど土日は返事なし。

週末の楽しみにしてたのに詰んだよね…。呆然としながらその話をSNSに書いたら、会社の仲間が「お店に再送させると時間もかかるだろうから、『ネジの永井』に行ってみたら?」とアドバイスをくれました。

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そうだ「ネジの永井」だ! 「ネジの永井」は、自宅の近所にあるプロ向けのネジ専門店です。車で何度も前を通りながら、いつか行きたいと気になっていた店のひとつ。この魅力的なファサード、独特のバイブスがあります。いままで用がなくて入ったことがなかったけれど、今回まさに喫緊の用事が発生したわけです。これはむしろ、チャンスなのでは?

月曜日、朝9時から営業している「ネジの永井」にバキュンと到着。店に入るなりこの期待以上の景色。胸の高鳴りが止まりません…。

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欲しいネジをみせて相談すると、優しいスタッフの方が慣れた手つきでぴったりのネジをよどみなくスッと出してくれました。この世界にはいろんな専門店があり、プロフェッショナルがいる。感動しました。

帰宅後は、入手したネジでスムーズにデスクを組み立てられて、これで無事に初期化が完了です。トラブルは残念だったけど、そのおかげで本物のプロフェッショナルに会えたし、最終的にはとても楽しい経験ができました。

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デスクが広いっていいですね。僕の場合は背中あわせに妻のデスクがあるので、奥行は最も短い65cmでオーダーしましたが、それでも古いデスク(奥行45cm)よりぐっと広くなりました。ディスクもデスクも容量が大きくなるのは嬉しい。多くのガジェットを置いても見た目をすっきりさせるため、広さは大事です。さあ、このキャンバスに、天国とラスベガスを描きますよ!


3. 大人の翼、ThinkPadで飛び立つ。

「デスクをすっきりさせるマガジン」に掲載された皆さんのデスクをみていると、圧倒的にMacが多いことに気がつきます。

Apple製品のミニマルな佇まいは、デスクをすっきりさせたい皆さんの美意識と親和性が高いのかなと思いますし、そんなMacユーザーの皆さんが作ったデスクの素敵な仕上がりや工夫のアイデアは、とても参考になりました。
 
一方、僕が使っているのはMacではなくWindowsで、もうかれこれ7年連れ添っている相棒、香港に本社のあるレノボのThinkPad T430sです。これは決して逆張りみたいな話ではなくて、Macの皆さんがApple製品を愛しているように、僕もIBM時代からずっと「大人の翼」(*96年頃のCMコピーです)ことThinkPadシリーズを愛してきました。このT430sで三代目です。

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松花堂弁当の弁当箱から着想を得た漆黒のボディ。指になじんだ真紅のトラックポイント。打ちやすいキーボード。メンテナンスマニュアルが公開されていて、普通のドライバーで冷却ファンも交換できる整備性の高さ。愛する理由はいくらでも挙げられます。まだまだ愛していきたい。

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ThinkPadは、僕が世界に向かうために開く最初の窓(Window)であり、デスクチューンの起点です。Windowsだって、Macの皆さんに負けないぞ!


4. スタイルの設定。Windowsでノームコア

「負けないぞ!」と意気込んではみたものの、実際着手してあらためて感じたのは、WindowsとMacはやっぱり違うこと、WindowsのあるデスクはMacと異なる世界観になることでした。たとえば、Macなら醸し出せるあの凛としたモード感が、Windowsではどうにも出ない。ハードとOSが密接してデザインされたMacの統合感は、ThinkPadとWindowsにはないものです。

だったらThinkPadに似合うスタイルは何だろうとあれこれ考えた末、僕はWindowsの「雑種感」に解決の糸口を見いだしました。

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僕はThinkPadを愛していますが、入力機器にはMacにおけるMagicシリーズのようなThinkPad純正の何かではなく、Windows/Mac/Linux用としてデザインされたスイス生まれのロジクール製日本語キーボード・MX Keysと、レーザーマウス・MX Anywhere 2Sを使っています。ロジクールのマウスを乗せているマウスパッドは大阪のエレコム製。

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4K液晶モニターは米南部テキサス州から来たデルU2718Qで、それを支えるモニターアームは米北部ミネソタ州生まれのエルゴトロンMXV。もちろんMacでも同じことは出来ますが、サードパーティ製品を寄せ集めていく雑種感は、Windowsにとってより普通でスタンダードな世界です。

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そもそも世界中からガジェットを集めてシステムを作る僕のデスクは、自ずと雑種感で溢れるのでした。一切の無駄を削ぎ落としたモードの雰囲気には憧れるけど、僕のデスクに似合うスタイルではなさそうです。

なので僕はミニマルなモードではなく、雑種感というWindowsの普通を貫く「ノームコア」のスタイルで、Windowsにとってもそれを使う僕にとっても自然な形のデスクを考えることにしました。その上で、僕なりの世界観やストーリーを描いていこうと思ったのです。


5. 最高のサウンドシステムをめざす

僕のデスクに統一された世界観やストーリーを持たせるなら、それは「音楽」から始まるものにしたいと考えました。

僕のデスクの使用目的第1位は音楽を聴くことです。Spotifyでプレイリストを組むにしろ、OTOTOYで購入したハイレゾを聴くにしろ、BeatportBandcampで入手したwav音源でDJするにしろ、そしてリモートワークで集中するにしろ、僕のデスクにとって音楽は最重要の機能です。僕は音楽が好きです。そして音楽を通じて、世界を感じています。

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世界中のアーティストが自宅のDAW(作曲・編曲ソフト)で音楽を作り、SoundCloud等を通じて互いの音楽にアクセスし、影響を与えあい、距離を超えて共同作業しているのを見ていると、もともと世界中の研究者が互いの論文を参照しあうために始まったWorld Wide Webの出自と重なるようでぐっときます。初めてWebに出会ったときの感動が、音楽にはあるのです。

まだまだ面白くなっていきそうな音楽で、僕は世界を感じたい。そのために僕のデスク環境には、低音から高音までくまなく鳴らす最高のサウンドシステムが必要だと考えました。特に最近の音楽は低音が濃密で、世界中のアーティストが様々な手法を試しているホットスポットになっているので、低音は絶対絶対、絶対絶対ばっちり鳴らしたい。

僕のデスクにとって音は添え物じゃなく、むしろメインディッシュだ。PCのために大きなディスプレイを用意するくらい、音についても大きな場所を割いていこう。もちろん予算に限りはあるけれど、このデスクには僕ができる限り最高のサウンドシステムを組み、世界のアーティストやプロデューサーの挑戦をしっかり受け止めたいと思ったのです。


6. 集結せよ、アベンジャーズ

それでは、最高のサウンドシステム実現のためにデスクの上に組織した、僕のガジェットチームを紹介します。個性豊かで様々な能力を持つサウンド系ガジェットのアベンジャーズが、世界から僕のデスクに集まりました。

MOTU M2 |マサチューセッツ州ケンブリッジ(アメリカ)

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米ケンブリッジに本社を置くマーク・オブ・ザ・ユニコーン(MOTU)のオーディオインターフェース・M2。最高24bit/192kHzでレンダリングする繊細で上質な音を、120デシベルものダイナミックレンジで生成し、サウンドシステムへと行き渡らせる夢幻の心臓部です。本体前面で光るボリュームメーターから、システム全体の脈動を視覚的に感じられるのも嬉しい1台です。

Focal Shape 40 |ロワール県サン=テティエンヌ(フランス)

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システムの最終段で電気信号を空気振動に変える重要な役割を担ってくれるのは、サン=テティエンヌの音響機器メーカー、フォーカルのパワードモニタースピーカー・Shape 40。透明感があってふくよかなサウンドの特性はもちろん、デスクに置いた時にいかにもスピーカーですオラオラみたいな圧を感じさせない、コンパクトで優しい見た目も気に入っています。

土台にしているのはホワイトアッシュ材をオーダーカットしたもの。隠れていて写真では見えないですが、上に東京・町田市のオーディオテクニカのインシュレーター・AT6098、下に埼玉県・朝霞市にある東京防音の防振ゴム・C-360を入れて、デスク面の共振を抑えるようにしています。

Fostex PM-SUBn |東京都昭島市(日本)

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東京・昭島のフォステクスからは、賃貸の集合住宅に許される限界まで低音を鳴らすためのサブウーファー・PM-SUBnをデスク下に設置。左右のShape 40の出す低音と自然につながるように、ローパスフィルターのカットオフ周波数を念入りに調整しました。これでスピーカーは3台体制です。

Fostex PC-1e(左)、PC-2LIVE(右) |東京都昭島市(日本)

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そしてデスクの上には同じくフォステクスのボリュームコントローラー・PC-1eとPC-2LIVEを用意。PC-1eでサブウーファーと左右スピーカーの音量バランスをとり、PC-2LIVEではシステム全体の音量コントロールと2つの入力(PC+コンポ)を切り替える、という役割分担です。

音楽を聞くとき、周囲の状況や音楽の特性にあわせて適切な音量に調整することはとても大事です。なので、音量の制御はPCのマウス操作やキーボード操作とは独立させて、手を伸ばせばすぐ届くところに物理ツマミを置き、いつでも直感的にコントロールできるようにします。

Faderfox DJ3 |ハンブルク特別市(ドイツ)

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USB接続のMIDIコントローラー・Faderfox DJ3。PC用DJソフト「Traktor」をコントロールするための装置です。フェーダーフォックスは旧東ドイツ生まれのMathiasさんがハンブルクで一人でやってるメーカーで、DJ3は金属製のホワイトパネルの質感とハンドメイドな味のある無骨なノブやボタンが格好良く、見ても触っても楽しい気分になれる素敵コントローラーです。

ONKYO X-T1 |大阪府寝屋川市(日本)

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かつて寝屋川市に本社があったオンキヨーのCD/MDコンポ・X-T1。2006年生まれの古い機材ですが、メタリックな質感と未来的なフォルム、そして青く光るVFD(蛍光表示管)の表示部による、今から見るとまるでクラシックカーのような情緒が魅力的で、去年中古で探して手に入れました。

CDやMD、そしてラジオといったレガシー系のメディアはこれで再生して、外部出力からPC-2LIVE経由でShape40とPM-SUBnに音を送ります。

渡辺教具製作所 小型地球儀 WS(行政) No.1204 |埼玉県草加市(日本)

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地球儀です。もちろん音の出るガジェットではありませんが、アーティストやレーベルについて調べていて出身地や活動拠点の話が出るたびに空間的に正しく確認できる、世界を感じるための大事な機材です。この地球儀を作ったのは昭和12年創業の老舗・渡辺教具製作所で、僕が以前勤めていた会社の後輩の実家でもあります。お世話になりました。ありがとう!>渡辺くん

こうして、最高のサウンドシステムのためのアベンジャーズが僕のデスクに揃いました。次は彼らをケーブルでつなぎます。「デスクをすっきりさせるマガジン」でも最重要トピックのひとつ、ケーブルさばきの時間です。


7. アベンジャーズの絆(ケーブルさばき)

最高のサウンドシステムのためにどれも不可欠なガジェットたち。僕はそれら全ての機器を、機器の数と共に増えていく何本ものケーブルでつなぐ必要があります(地球儀はケーブル不要です)。その接続図がこちら。

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図のように、USBケーブルが2本、アナログケーブルが7本、それに電源ケーブルが5本。計14本。これらを上手に配線して、極力美しく見えるようにしていきます。デスク、すっきりさせていきましょう。

今回の配線で特に問題になったのは、いつでも音量を調整できるように用意した2つのボリュームコントローラーでした。ボリュームをデスクの手の届く場所に置くということは、そこにつながるケーブルがどうしてもデスクの表に出てしまう、見えてしまうということになります。

そして接続図にある通り、PC-1eには3本、PC-2LIVEには4本ものケーブルが集中してしまうのです。どうする? このケーブルをどうさばこう?

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デスクをすっきりさせることを考えたとき、乱雑になりがちなケーブルは徹底的に隠すのが王道ですし、僕も基本的にこの方針です。でもここで、ひょっとしたらケーブルを局所的にチラ見せすると、ガジェットたちの生命感や息づかいを感じさせることができるのでは…という考えが浮かびました。

僕と同世代なら知ってる人も多いと思いますが、TVアニメ「機動戦士ガンダム」に登場する「ザク」というロボットメカは、顎や腰回り、膝の関節部に動力パイプとよばれるケーブルがあしらわれていて、それがメカとしての説得力と生命感を表現していました。そうだ、あの演出をやってみよう。

こうして僕はボリュームにつながるケーブルを、隠すのではなく、逆にデスク上で「チラ見せ」する戦略を採用しました。

とはいえ、見せたケーブルがもしもヨレヨレだったら台無しです。ここは人によって好みの分かれるところだと思いますが、僕はよくあるオーディオケーブルの、妙にツヤのある硬くてヨレた質感が正直めちゃくちゃ苦手です。

そこでボリュームコントローラーにつなぐケーブルは、線材の動きが柔らかくしなやかで、皮膜表面のマットなダークグレイが美しい、ベルリンに本社を置くノイマンの線材で揃えました。

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ボリュームから伸びたケーブルの平行を自然に保って流すため、ケーブルを奈落に落とすデスクの端ではヤザワのケーブルクリップを使用します。

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デスク下には、岡山に本社のあるサンワサプライのケーブル配線トレーを設置。これも「デスクをすっきりさせるマガジン」では定番ですよね。ここにUSBのハブや電源タップなどを収納します。

購入したケーブル配線トレーはもともとシルバー(グレー)だったのですが、デスクの脚まわりの黒と色を揃えることにしました。ここでは吉田勇太さんの「DIY経験値ゼロの人が作る自作デスク」を参考にして、ベランダに段ボールで即席のボックスを作り、ホルツの自動車用塗装スプレーで塗装。

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電源などのケーブルはこのラックに容赦なくまとめます。ただ、サウンド信号を運ぶノイマンのケーブルだけは、隠すというよりはケーブルの柔らかさを活かしてゆるくカーブをつくり、S字フックでラックにつるしました。気分的な問題で、オーディオケーブルにあまりきついテンションをかけたくなかったんですよね。それでも、足下は大分すっきりしました。

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さらに、デスク上で向かって右手に置いてあるM2にヘッドフォンを直接つないだとき、ヘッドフォンのケーブルが目の前を横断して邪魔だったので、ここには延長ケーブルを増設して解決します。

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M2からL字端子で右に出した延長ケーブルを、デスクの後ろに落とし、デスク下のラックを這わせて左側に伸ばし、ケーブル先端の差込ジャックを鋳造アルミのパイプステーでデスク裏に固定します。固定は3Mの両面テープ。このステーはバイク用のもので、重量感があって頼もしいのです。これでヘッドフォンのケーブルが、デスクの左から出るようになりました。

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こうして全てのガジェットが接続できました。地響きみたいな低音からきらめく高音まで鳴らし、立体的な音のジオラマがクリアな解像感で目の前に出現する、僕にとって最高のサウンドシステムの完成です。

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デスク上に構築したこのサウンドシステムのために、Spotifyのプレイリストも組みました。実際に僕がデスクでよく聴いている曲で構成したものですが、いろんなジャンルの曲を統一した雰囲気と流れでセレクトできた、自信のプレイリストです。

「こういう曲を鳴らしてうっとりしてるのか」「そりゃ低音も出したいよね」なんて想像してもらえたら嬉しいです。プレイリストは全15曲で63分なので、リモートワークでガッと集中して一区切りつけるまでのBGMとしても便利だと思いますよ。ぜひ聴いてみてくださいね!

※このプレイリストの全曲紹介も別途こちらのnoteにまとめました。


8. 翼よ、あれがラスベガスの灯だ

働き方改革が叫ばれた近年のホワイトな職場のデスクとは異なり、自宅のデスクで過ごす時間は日中に限らず、36協定にも縛られません。なんといっても自宅ですから、リモートワークの仕事を切り上げたあと、そのままなんとなく夜更かししていつの間にか午前3時、みたいな深い時間もあります。

そんな夜でも、ゆっくりと心穏やかな時間を過ごせるように、今回のデスク環境チューンではデスクの「夜景」も企画しました。街のランドスケープに昼の魅力と夜の魅力があるように、デスク環境にも魅力的な「室内夜景」があるんじゃないかと考えたのです。こんな感じで。

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この夜景を作るため、ThinkPadを置いたキングジム(東京・東神田)のデスクボード裏側に、東京・東池袋のタイムリーの蛍光灯型LED照明を両面テープでセット。そしてもう1灯、デスク左にも東京・南池袋のオーム電機のLEDクリップライトを下から上に向かってセット。

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舞台照明でいうところのロワー・ホリゾントライト、夜景でいえば地上の街明かりを置くことで、主役のThinkPadをはじめ各ガジェットのシルエットがドラマチックに浮かび上がります。そして、モニターに映し出されたソフトウェアの移り変わる画面や、各ガジェットの電源ランプ又は表示部がイルミネーションのように光る、うっとりするような「室内夜景」ができました。

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そしてこの夜景では、鉄道ジオラマ用の模型が活躍してくれます。

こうしたミニチュア模型がデスクの奥の方にあることで、デスク上に遠近感が生まれます。その結果、たった150cm×65cmのデスクなのに、「街」のスケールを幻視させる夜景のランドスケープが展開するのです。

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デスクの夜景、最高です。しかもこのデスクでは、同じく最高のサウンドシステムがいつでも心地良い音で包んでくれます。目に耳に、そして身体に響く低音に、天国みたいな気持ちで過ごせるデスク環境ができました。

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…ところで、こうした室内夜景を楽しんでる人って、実は世の中に結構いるんじゃないかと思うんですよね。もし室内夜景にこだわってる方がいたら、ぜひ「#室内夜景」のタグつきで紹介してください。楽しみに待ってます。


9. 世界を感じ、世界に向かうデスクの世界

朝から深夜まで心地良く、自分にとっていつでも最高の音楽とガジェットを楽しめて、そこから世界を感じられる自宅のデスク環境。リアルに天国、しかもラスベガス。これで一旦、満足のいく形になりました。僕はこのデスクに向かって、20年代以降の音楽とガジェットに世界を感じ、そんな世界に少しでも恩返しする気持ちでリモートワークしていきたいと思います。

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最後に、世界中から僕のデスクに集まったガジェットやサービスの出身メーカーを全てGoogle Maps上にプロットした地図をご紹介します。

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この地図をみるとあらためて、東京のデスクに居ながらにして世界各地につながっているような、愉快な気持ちになれます。モノが多ければ多いほど「デスクすっきり」から遠ざかりがちですが、モノが多いからこそ実現できることもあります。そして僕は「デスクすっきり」と「世界を感じる」を両立させたかったのです。その試みは成功しているでしょうか?

以上、ガジェット多めの自宅デスクをチューンし、機材や音楽を通じて世界と向き合う場所を作っていく話でした。よかったらぜひ感想を聞かせてください。このnoteが、皆さんのデスク環境作りの参考になれたら幸いです。

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寺本秀雄(spinnage / spinn)
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