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スメタナ:交響詩「わが祖国」

スメタナ:連作交響詩「わが祖国」
指揮:ラファエル・クーベリック
演奏:バイエルン放送交響楽団
収録:1984 年5月3-4日  At:レジデンツ・ヘルクレスザール、ミュンヘン
   0:33  第1曲:ヴィシェフラド 
 16:19  第2曲:ヴルタヴァ(モルダウ)
 28:13  第3曲:シャールカ
 38:16  第4曲:ボヘミアの森と草原から
 51:33  第5曲:ターボル
 1:04:16  第6曲:ブラニーク

毎年行われるプラハの春音楽祭にて、オープニング曲として演奏される、
チェコ・スロバキア民族、誇りの曲です。
特に第2曲「ヴルタヴァ(ドイツ語ではモルダウ)」は非常に有名で、ボヘミアに流れる大河モルダウを象徴し、ボヘミア民族の心の支えとなっている
曲です。Wikipedia によりますと、以下のような解説があります。

この曲は、ヴルタヴァ川の流れを描写している。ヴルタヴァ川は、Teplá Vltava と Studená Vltava と呼ばれる2つの源流から流れだし、それらが合流し一つの流れとなる。そして森林や牧草地を経て、農夫たちの結婚式の傍を流れる。夜となり、月光の下、水の妖精たちが舞う。岩に潰され廃墟となった気高き城と宮殿の傍を流れ、ヴルタヴァ川は聖ヤン(ヨハネ)の急流 (cs) で渦を巻く。そこを抜けると、川幅が広がりながらヴィシェフラドの傍を流れてプラハへと流れる。そして長い流れを経て、最後はラベ川(ドイツ語名:エルベ川)へと消えていく。

我が祖国(スメタナ):Wikipedia

「ボヘミア(Bohemia)」という名称は、概説すると、中央ヨーロッパにいた鉄器時代のある部族、ボイイ族(ラテン語: Boii )を意味する”boio” と、昔のゲルマン語で「故郷」を意味する *haimoz を組み合わせた語で、「ボイイ族の故郷」を意味していると謂われています。
同時に、この地域は古代ケルト人が居住していたハルシュタット近郊文化圏でもあり、地域の遺跡から出土した金石文には、ケルト語派の言語が使われていたことが判明しています。
ある意味では、古代ケルトの文化を胸に刻み続けている民族であり、地域でもあるのでしょう。

現代の「ボヘミアン」という言葉は、芸術家や作家・世間に背を向けた者
など、伝統や習慣にこだわらない自由奔放な生活をしている人のことを象徴しますが、弊記事【ヨーロッパ音楽の源流を求めて (3):幻の民 ケルト】
つながる、古代のロマンとメロディに満ち溢れた言葉でもあります。

その意味からも、私スピンの愛する曲の一つでもあります。


ご案内する映像は、チェコ出身で、ドイツを中心に国際的に活躍した指揮者で作曲家のラファエル・クーベリック(1914年6月 - 1996年8月)による、
歴史的名演です。

第2次世界大戦終結後の1948年にチェコスロバキアにて、チェコスロバキア共産党を中心とした政権が成立する際、チェコの共産化に反対したクーベリックは、同年のエディンバラ音楽祭へ参加するために渡英、そのままイギリスへと亡命する苦難の歴史を歩いた方です。

1989年にチェコで民主化革命「プラハの春」が起きたのを契機に、当時の
ハヴェル大統領の強い要請で亡命先のイギリスから帰国し、翌1990年の
「プラハの春」音楽祭でチェコ・フィルを指揮してスメタナの『我が祖国』の歴史的演奏を行い、復活なさった方。

いかにも、ボヘミアンらしい方であります。

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