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13足目:13年間履き続けている1足
このマガジンでは、スピングルユーザーさんと「お気に入り」の1足を紹介していきます。飾らず、気負わず、そのままの好きになったきもちをお届けできたらと思っています。
今回は、サンプル設計の底周りを担当する、木村さんにインタビューしてみました!
「かなり前のモデルよ~。品番も何だったかなぁ。」との言葉を受けて、カタログを調べること10分。木村さんのお気に入りは、2009年春夏シーズンのモデル「SPM-770」Black であると判明しました。13年間大事に履いている靴から始まるエピソード、さて、どんなお話が飛び出すのでしょうか。
-お気に入りの理由は何ですか?
「特に何がってことはないんだけど、全体的に…かなぁ?気に入って、プライベートでもうずっと(履いています)。ちょっと身長高く見せたい時とか、インヒールだから身長も高くなるしね(笑)。」
「仕事では糊を落としたらいけないから、なるべく履かないようにしてるけど、やっぱり年期入ってるね。裏がまあまあすり減ってる(笑)。」
-木村さんのお仕事は、何をされるお仕事ですか?
「簡単に言うと、(展示会ごとの)サンプルの底回りをつける仕事ね。ゴムのフォクシングテープと靴底が私の担当。釜に入れる前の最後の工程だから、私が失敗したらこれまでの工程が全部パーだからね。緊張するよ~!」
SPINGLE COMPANYが採用するバルカナイズ製法は、ゴムの化学反応の力を利用してアッパー(靴の上部)と靴底を接着させる製法です。ラストと呼ばれる靴の型を使って、アッパーとフォクシングテープ、靴底(柔らかい粘土状のゴム素材)を成型し、加硫缶と呼ばれる専用の釜で熱と圧力をかけて接着させます。
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「とにかくどんなモデルでも、釜から出るまではいちばん気を遣ってます。サンプルって商品見本でもあるから、(これしか現品がないという部分で)展示会までに必ず間に合わせる必要があるからね。釜に入ってしまったら、やっぱり出して確認して(もう一回入れて)というわけにはいかなくて、特に新しく色出ししたゴム材料の場合は祈るような気持ち(笑)。」
-木村さんの担当ならではの緊張感がすごく伝わってきます。色んな思いを抱えながら、時には祈りながらサンプルを釜に送り出されているんですね。
「そうそう。手間がかかった製品が、釜からきれいに出てきた時がやっぱり一番嬉しいね。”けっこう持ちこたえてくれたねぇ”とか、”やりぃ!”って思いながら靴のラックから靴を外してるわ。」
「あと、デザイン関係なく、手間がかかったかどうかで私はサンプルに愛着がわくところがある。“最初は好かんかったけど意外にべっぴんやなぁ“ とか(笑)。心の中で靴に話しかけてしまうよね。誰にも言えんけど(笑)。」
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靴を大事そうに眺めながら、愛情のこもった何とも言えない表情をされる木村さん。その理由が何となく分かった気がしました。
-木村さん、ありがとうございました!
「わたスピ」取材班として取材を重ねるほどに、伝えたい気持ちが自分の中で日に日に大きくなっていくのを感じます。取材中、楽しくお話しているうちに、あっという間に時間が過ぎ去っていくのが悩ましいところ(笑)。取材の後は、自分の文章力との闘いが待っております!日々精進・・・!
それでは、次回の「わたスピ」も楽しんでいただけると嬉しいです♪
次回はどんな靴に出会えるのでしょうか。
See you next kicks!
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
【My Favorite SPINGLE 13足目】 SPM-770 Black