見出し画像

女性の話が長いってホント?

炎上した森氏の発言に関するニュースを見ていたら、妻が「でも女性の話って長いよね」と言った。妻によれば中国のネットでは、同じように同情的なコメントも多いという。

ふーむ。森氏に女性蔑視の信念があるかどうかは知りようがないけれども、「平均すると女性は男性より話が長い」のような統計データが背景にあるかどうかくらいは分かるかもな・・・と思い、少し調べてみた。
まず次の記事から結論部を引用する。

一般的に男性より女性の方がよく話すと信じられているにもかかわらず、ほとんどの「対話時間」を占領しているのは、実のところ男性だということが、複数の研究で一貫して示唆されているのだ。

この記事はビジネスシーンを想定している感じもするが、少なくとも男性と女性が同席する会議のような場面では男性の方がよく話すというデータがあるらしい。
では妻の実感は何なのだろう。状況によって男性のほうがよく話す傾向を示すこともあれば、逆になる状況もあるということか?
と思って次の記事へ行く。

AT&Tが2001年に調査を開始して以来、携帯電話での通話時間は男性の方が長いとの結果が出ているが、今回の調査で男女差が縮小。男性の月間458分に対し、女性は453分だった。(中略)
調査は、米国の携帯利用者1006人を対象に実施。報告によると、友人や家族との通話に携帯を利用するのは女性の方が多く、男性の携帯利用はビジネス用が多い。(中略)
家庭での固定電話の利用時間は女性の方が長く、男性237分に対し、女性は532分だった。

携帯電話の月あたりの通話時間に関して男女差はほとんどないが、メインとなる利用シーンが異なる。また、固定電話については女性が長いとの結果。

やはり状況によって男女間に傾向差は認められるが、逆に言えば「全ての状況を足し合わせて平均すると若干男性(あるいは女性)の話が長い」といったような統計から、「特定の状況において男性(あるいは女性)のほうが長く話す」という結論を導くことは出来なさそうだ。

つまり「女性のほうがよく話す」という説は既に怪しいが、仮に正しいとしても、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」とは言えない。怪しい説に基づいて怪しい推論を強行するということはやはり何か、現状維持に持っていきたい理由があるんだろうなぁと想像する。

人間には現状維持バイアスというものがあるけれども、これは「人間は新しいものを手に入れる得よりも既に持っているものを失う損を重大視する」という、いわゆる損失回避の法則に支えられている。その失いたくない何かがなければ流石に現状維持は望まない。男性の方が御しやすいってことなのかな。御しやすい人だけに囲まれていたいと。

その生ぬるい均一な空気が、森氏の発言を諌める人が育つ機会を奪ってきたのだとしたら・・・やはり女性を増やしたほうがいいような気もする。
男性だって価値観は多様になってきているし、いつまでも御し易いままでいてはくれないだろう。

最後に、諌めることに関して良い記事があったのでご紹介しておく。リーダーや、リーダーを支える人は肝に銘じておきたい。

人は誰でも自分に心地よい人物は近づけても、
嫌なことを言う人物を避けたくなるのが当たり前。
しかし、”良薬は口に苦くして、病に利あり”。
太宗は敢えて諫議大夫を置き、諫言が言える人材を優秀としたのです。

リーダーを支える人にとっては、諫めることがリーダーのためになり、結局は自分のためになる。リーダーにとっては、自らを部下に諌めさせることがリーダー自身のためになる。

多様な意見を取り入れることは確かに面倒くさいが、それはより広い諫言を集めることである。本当にマイノリティーを頼りにしたいなら、まずは同じ土俵に立ち、相手の作法を学びつつ共同作業をしなければならない。頼りにしたくないなら、そのようにハッキリ言うべきだ。

だましだまし、都合のいい関係性を続けようと考えてはいけない。それが差別全般に言えることではないだろうか?

ではでは。

ちょび丸(1歳)の応援をよろしくお願い致します~😉