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幸せって、なんだっけ?

大学生のころ、道端で不意に呼び止められて、「あなたは、幸せですか?」と聞かれたことがある。なんじゃそれ?と思ったけれど、特に急いでもいなかったし、その人がとても思い詰めた雰囲気だったので、私は立ち止まって答えた。「私はまぁ幸せやと思います。あなたは?幸せですか?」

別にその人が幸せかどうかを知りたい訳ではなかったけれど、自分で呼び止めたくせに私が立ち止まると驚いたような表情をしたので、思わず尋ねてしまった。彼女が私の質問に答えなかったので、私はそのまま立ち去ってしまい、ただそれだけの出来事なのだけれど、今も記憶に残っている。

忘れられないのは、その時言った「私は幸せ」という自分の言葉の意味を、今も考え続けているからだと思う。そもそも、幸せってなんだっけ。

以前どこかで聞いたことのある、ハーバードの幸せ研究。724人の人生をつぶさに観察して、ヒトの幸福と健康の維持に本当に必要なものは何か、を導き出すという興味深い取り組み。1938年に始まった研究の、4代目研究責任者となったロバート・ウォールディンガー教授のTEDスピーチを、YouTubeで見つけた。

研究対象となったのは、ハーバード大学二年生の男子学生たちと、ボストンの極貧環境で育った少年たちという2グループ。その時点で全く異なる世界に生き、既に人生の勝負がついているかのようにも見える、二つの集団の調査分析だ。

研究者たちは、まず、ふたつのグループのひとりひとりにの健康状態を調べると共にじっくり話を聞き、その両親にもインタビューを行い、つぶさに記録をとった。そして、その後75年にわたって、彼らがどのような人生をたどるかを観察し続けたという、実に大掛かりな研究だ。

途方もなく膨大なデータの蓄積から明らかになったのは、シンプルな結論。ヒトの健康や幸せは、他者と良好な関係を築けるかどうかにかかっている。大勢の友達がいることより、身近な人との信頼関係を築くことが大切。逆に孤独感は心身の健康を蝕み、脳の働きにさえ大きな影響を与えるという。

幸せを感じるのは、人間との関係だけじゃない。こないだ読んだ本には「幸せになりたいなら犬を飼いなさい」と書いてあった。ネットの記事には「幸せを感じるには猫と暮らすこと」とあった。人間とでも動物とでも、誰かと心が通い合う関係は幸せなものなんだな、と思う。

という訳で、実は実は、今年ついに念願だったワンコとの暮らしを実現することになった。ああ、仔犬を迎えに行く日が待ちきれないよー。


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