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古民家再生はじめました ~竹小舞だけでなく、木小舞というのもあるそうな~
月末に行政チェックを控え、にわかに現場が慌ただしくなっているらしい。保存事業は外観と躯体だけが対象なので、そこが仕上がっていればよいのだけれど、土壁作業に必要な左官職人さん手配とか、どうやら大わらわだ。
…で、現場進行には全く貢献できないワタシは何をしているかというと。
こうして着々と修復が進んでいく「古民家再生&活用プロジェクト」をなんとしても抜かりなく進めなければ!という思いが募りに募った挙句、なんと地域の創業支援センターが募集していた「なんちゃらビジネスコンテスト」に、勢いでエントリーしてしまったのである。しかも、ビジネスプラン提出期限は来週なのだ。これはやばい。
以前は小間物屋を営んでいたという二間町家の我が家は実に狭く、あちこちで紹介される「古民家カフェ」とかに比べ、明らかにこじんまりした空間だ。それをどんなふうに魅力的な場所として活用して事業を成立させられるかが問われることになる。そんなこんなで、note更新も滞っていたわけだ。
まあそれはさておき、今日は「小舞壁」の話である。
「竹小舞」というのは聞いたことがあったが、どうやら「木小舞」というのもあるそうな。それが我が家の正面上部の壁に採用されたという。
冒頭で、「行政チェックの対象は、外観と躯体部分」と説明した。つまり、旧街道から見える外観を復元して町並みを整えることと、当時の材料や躯体構造を修復保存することが大切なのだ。
もちろん、安全性はおろそかにできないから、強度を高めるために、コンクリート基礎を新設したり、耐震壁や耐火材料を採用したりはする。しかし、継続使用可能と判断されたものは残さねばならない。そして、可能な限り、元の姿に近いやりかたで復元するのである。
いま急ピッチで進められているのは、部分的に傷んだ柱を補修したり取り換えたりした時に崩れてしまった土壁をもとに戻す作業だ。既存の「竹小舞」を補強してから、元通りに壁土を塗って仕上げていく、いわゆる「竹小舞荒壁」である。
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行政との調整を一手に引き受けて下さっている建築士さんによると、「これがきちんと復元されているかどうか」は、かなり重要なポイントらしい。
土壁は乾くのに時間がかかるので、検査時にそれなりの状態になっているためには、早めに仕上げておく必要があるという話だった。間に合うのか?
それとは別に、前の持ち主さんがリフォームしていた正面部分。建築当時の姿とは違うので元に戻すべし、という指導があり、漆喰壁を再生するために「木小舞」で仕上げることにしたらしい。
早速調べてみると、「木小舞」は「木摺り」ともよばれる、明治から大正時代にかけて広がった手法である。2~3cmの厚みの木材を目透かしさせて壁に取り付け、その上に漆喰を塗るやり方だそうだ。
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木小舞仕上げは、自然素材100%で産業廃棄物も少なくエコなうえ、結露やカビの心配もなくて安心、という嬉しい解説も見つけた。
さらに、断熱効果や耐震強度にも優れた手法なのに、現在はほとんど採用されてないのだという。理由は、まず今や小舞職人が少なくなっていること。そして、コスト&工期がハードルになってしまうから。
こういう手法を採用するからこそ、伝統的建築物保存事業としての意味があるんだよなあ、としみじみ思う。
…あと少し。ワタシもビジネスプラン作成を頑張るなり~!