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古民家再生はじめました ~室内空気の質を良くしたい:壁材編①~

古き良きものは保存して次世代に伝えていきたい…と願いつつ、できることなら「快適性」も失いたくない…。そんな、ひ弱なわが家の古民家再生にあたって、優先度が高い項目のひとつに「室内空気の質」がある。

前回説明したとおり、小屋裏に「熱交換式換気システム」を採用することにした。常時換気しながら、外気の寒さ暑さを取り込まないようにする仕組である。温度湿度コントロールには有効だけれど、当然ながら常に電気が必要で、メンテナンスもそれなりに面倒らしい。

いろいろ調べてみると、動力不要でメンテナンスも簡単なやりかたとして、「通気断熱WB工法」というのもあるらしい。但し、これは壁に形状記憶合金を採用してふたつの通気層をつくる工法だ。両隣とガッツリ近接した町家づくり古民家の土壁構造とは、どうやら共存できそうにない (;^_^A

木造建築なので、旧構造の土壁以外の増築部分の壁は、構造用合板ベース。一般的な外部通気工法だ。これに外壁材として主にサイディング、内装仕上げは壁クロスを採用していくことになりそうだ。

スタートしてみると、これらはとにかく選択肢が多い。ひとつづつ調べながら納得して決めたいワタシにとっては楽しい作業だけれど、とにかく時間がかかるし、正直だいぶ混乱してしまった…  (;^_^A

混乱の真っ最中ではあるけれど、あとから判断の道筋を振り返ることのできるよう、改めて情報整理しながらここに書いてみることにする。
(勘違いもありそう…。誤りを見つけたら、どうかご指摘ください!)


① 壁自体の材料(今回のメインテーマ)

母屋は土壁

まず、壁そのものの材料について。

母屋は基本的に土壁だ。構造体は「伝統的建築物保存事業」の対象なので、両隣と接する古い土壁は、可能な限りそのまま残した。構造補強を行う際に崩れてしまったところは同じやり方で修復し、以前の持ち主さんが行っていたリフォームからの復元も、伝統的手法を用いて行った。

土壁だから新しい工法は採用できない、と冒頭で少しネガティブに表現したけど、調べてみると、土壁というのは非常に優れた材料だ。

まず、日本の気候に適している。

「調湿性」「通気性」に優れており、夏涼しく冬暖かい。
土は自然素材だから、化学物質に起因するシックハウス症候群とは無縁。
「消臭効果」「防音効果」も期待できるらしい。

グラスウールなどイマドキの断熱建材に比べると、断熱性能自体は1/10~1/20 だけれど、「蓄熱性」が高く、昔は土壁が竈の暖かさを保持することで、人々を寒さから守っていた。この性質をうまく利用すれば、エネルギー効率を高めることもできる。

更に、土壁は正しい施工により建築法上も防火構造と認められる。火事でも温度が上がりにくく、有害物質を発生させにくいメリットがある。

見過ごされやすいのは耐震性だ。衝撃に対する柔軟性があり、強い揺れには、土壁が崩れることで構造体そのものの倒壊を防ぐ役割を果たす。

…良いことばかり挙げたけれど、もちろんネガティブ要素もある。

まず予算面のハードル。
特に、新たに土壁の家を建てる場合は、手間がかかる分だけ費用もかかる。
経験豊富な左官職人さんの数がどんどん減っているという問題もある。

ウチの場合は古い土壁の維持が課題なので、心配なのはメンテナンスだ。
これは、外壁・内壁それぞれについて、次回以降お話したい。

増築部分の壁は構造用合板

増築部分の壁は、イマドキ一の般木造住宅と同じである。上述したとおり、構造用合板に断熱材等を重ねた、通気層ひとつの外部通気工法だ。

この記事を書いている最中に、工事監理もして下さっている建築士さんから通気工法の胴縁部分の写真が届いた。工事は着々と進んでいる。

通気工法の胴縁部分(!)

これから通常の注文住宅と同じように、外壁材と内装仕上げについて、ひとつひとつ決めていかねばならない。

あれこれ調べるのはワタシにとって喜びなのだけれど、選択肢が予想以上にたくさんある。全てを調べ尽くすのは難しそうだ。ふぅ。

② 外壁(次回)

外壁材については次回。
増築部分のサイディングと、母屋の裏側に採用した焼杉材など。

③ 内装仕上げ(次々回)

土壁を漆喰塗りにしていただくところ以外は、ほぼクロスを採用する予定。悩みまくりの現状を、次々回まとめ予定!


最後にパナソニックグループがCES2025で発表した空調システムの記事。

真夏のラスベガスとか、冷え冷えの室内凍えてる人は多いはず。断熱性能を高めて省エネにつながるのは、地球にやさしくて良き!



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