君の小宇宙(コスモ)は燃えているか?2020
一度でも小宇宙(コスモ)を感じようとしたあなたは、即「買い」案件。
NETFLIXの「瞬の女性化問題」について、何も賛成も否定もないところは圧倒的な広告記事感なのですが、その代わりに資料価値がすごい。メインの語りは地上波TVアニメシリーズ(ポセイドン編まで)なので、「あの」聖闘士星矢の世界観が楽しめる。「完全保存版」の文字は嘘じゃないです。
登場人物紹介が細かすぎて、シャイナさんやジュネさんの素顔まで拝める。星矢が育った星の子学園の美穂どころか、アキラ・マコト・タツヤまで登場。これは胸が熱い。
圧巻は見開きで紹介される、全114話分のタイトル画コレクションだ。DVDを持っている人も、この表示は初めて見たのでは。第一話は「よみがえれ!英雄伝説」に始まり、最終的に「輝け友情の星よ!永遠の少年伝説」まで。「敵か味方か!スチールセイント」「ああ紫龍!星となって消ゆ」……読み上げていたらキリがないのでやめておきます。
このタイトル画コレクションを見ているうちに、『聖闘士星矢』は昭和時代の集大成であるという考えに至りました。原作は1985年に『週刊少年ジャンプ』で連載開始。アニメは1989年、原作は1990年に完結しています。
貧しい生い立ちの主人公が己のチカラで出世し(そしてそれは運命づけられていた!)、友情と愛と拳のチカラで世界に平和をもたらす。戦う女性もいるけれど、最終的には20世紀のフェミニズムに支えられている。そもそも城戸翁って100人の息子を産んだわけですからね……。グローバルな展開を見せているけれども、それはあくまで日本から見た世界。そしてギリシア=太陽の国=日本を結びつける文化論を受け入れる風土。
アニメ版でオリジナルの話が詰め込まれているので、すべてを語ることはできませんが、むしろアニメだけでも『聖闘士星矢』が昭和の集大成であることが理解できる。それを俯瞰できる一冊です。(796文字)