カレ〜の大先輩・水野仁輔さんに教わる、みんなで楽しむカレービジネス論③
カレーといえば、やっぱり水野仁輔さん。
カレーの起業塾「POP START」を立ち上げるにあたり、カレーを“コミュニケーションツール”に、事業を立ち上げる悩みをご相談させていただきました!
初回はこちらからどうぞ。
——仁輔さんが、ジャンルにとらわれない様々を混ぜて、一緒にスパイスカレーをつくってきたからこそ、こんなにスパイスカレーは自由で、楽しそうな空気感で、広まっていったんですね。
仁輔さん:なんか嫌ですね〜! 多少、自覚はしているんですよ。スパイスカレーの火付け役とか、生みの親、第一人者として、取材させてくださいっていうことがすごく多いんです。でも、全部断っているんです。どんな顔して出ていったらいいの? スパイスカレーの生みの親ではありません! みたいな。誰かほかに出て来てくれたいいんですよ、俺がやったっていう人が。
——水野さんを差し置いて、出られませんよ(笑)。それにしても、飽くなき探究心に感心します。
仁輔さん:カレー飽きないですね〜。カレーの中では、細かく飽きてるんですよ。すげー盛り上がって、夜も眠れなくなったりしたけど、そろそろもういっかみたいな。全体として、お釈迦様が生み出したカレーのことで悩んで、手のひらで転がされているだけ。
これから40年、50年がんばったところで、5%も解明できないぐらいなんですよ、ほんとに。僕が大事にしていることはカレーへの探究心だけ。それを誰かに奪われちゃったら、生きていていいのかな? と思うぐらい。
自分が届けたいことと受け取ってもらいたいことは一緒にしない
——「POP SATRT」を外に向けて伝えていく上で、悩んでいることがあります。この企画の狙いはカレー屋をつくろうではなく、仁輔さんがお話してくださった通り、プレーヤーをつくろうなんです。でも、ダイレクトにいっていいものなのか、悩んでいます。
仁輔さん:僕は好きなことを共感するというよりも、自分のジャンルとか好きなものとかが、居場所やジャンルが違っても、見ているものが一緒であれば、共感できると思っているんです。
例えば、カレーはぜんぜん好きじゃないけれど、僕の言っていることに共感できる人はいるみたいな。「カレーの学校」で校長先生していて、授業のなかで、これ、カレーじゃなくてもいいって、僕からは言わないようにしているんです。
僕は世の中のことをカレーでしか見れないんですよ。受け取る側が勝手に得意なものとか好きなもののフィルターを通して話していることを受け止めるし、わかる人は受け止めてくれると思う。だから、そこを大事にしています。
ターゲットは事業理念をしっかり決めて、伝えるのがいいんじゃないかな
——ターゲットは誰なの? とよく聞かれるんです。でも、僕としてはできるだけ多様な人に参加してもらって、混ざってもらいたい。どう伝えていけばよいのでしょうか?
仁輔さん:それね〜! めっちゃくちゃ難しいんだよ。悩む気持ちはとってもよくわかるんですよ。僕もそれで悩んだから。なんとなくだけれども、カレーの学校というと、模範としている像があるといえばあるんですよ。けれども、こういう人求む! と伝えたら、僕がその表現でカバーしきれていないおもしろい人が、私じゃないんだって思ってしまう。かといって誰でもいいです、というのも違う。
やってみて思ったのは、やり続けていくと、授業の中で僕が望んでいる人たちはこういう人なんだな、ということが生徒さんたちにも届いていくし、まわりにも、なんとなく伝わっていく。僕の場合は「カレーの学校」が自分の事業じゃないから、細々と続けていければいい。これが事業でとなったら、もうちょっと、ダイレクトに伝えなくちゃいけないと思うから、そこは難しい。
——やっぱり難しいですよね。
仁輔さん:事業理念とか必要になるじゃない。それを決めるのがいいんじゃないかな。「POP START」の校長先生が考えるプレーヤーはどんな人ですか? それがわからないと、生徒たちにプレーヤーになれ、といってもわかんない。
僕が考えるプレーヤーは、自分がおいしいカレーをつくれるようになったり、自分でおいしいカレーを食べられるようになったら、その先にあなたは何をしたいんですか? と考えることができる人。
誰よりもおいしいカレーをつくれるようになりました、で止まっていたら、プレーヤーではない。むしろそこまでのレベルではないとしても、このカレーでイベントをやろうとか、それこそお店を開くとか、何か次のことを考えられる人がプレーヤーです。一平ちゃんが一番悩むべきところ。理念的なものが、すごく難しい問題になってくると思います。そして、とっても大事だなと思います。
——確かにそうですね。もっと詰めて、考えます! 最後に、カレーはなぜいろんな人が混ざったり、新しいものが生まれることが多いと思いますか?
仁輔さん:カレーが正解のない世界だからだと思います。これって、ほかの料理はそうでもないんじゃないかな。カレーの世界でも、インド料理は一定の正解があるんです。それはインド人がつくるもの。そういう世界は混ざりにくい。けれど、日本のカレーはみんなに平等なんです。誰がどの立場でいっても、受け入れてもらいやすいから、あらゆる人が混ざりやすいのかな。
会場は「6curryKITCHEN」にて。
「グループに分かれない、みんなが向き合うカウンターがいいね!」とのことでした^ ^
仁輔さん、親身になって相談にのっていただき、本当にありがとうございました!!