[KAMOME] 場所のこと
<記事のまとめ>
●KAMOMEの場所は実はもともとはXXXだった!
●新しいものを買わない、を目指した開店準備
●この場所には私たちだけではなく、地域の方たちの大きな温かい想いが詰まっている
無骨、だけど温かみのある感じ(自画自賛)のKAMOMEの店内、実は元はこのカルチャーセンターのボイラー室でした。
その頃の姿を私たちは知りませんが、オーナーである富樫さんがこの場所の再建を覚悟し、ボイラー室をこのようなお店につくりかえて下さいました。
私たちが出会ったとき、この場所はすでにボイラーなどは撤去され、壁はきれいでしたが、地面はまだ穴だらけ(レイアウトが決まっていないので、排水のパイプがそのまま出ていました)。(このお店との出会いは、『カルチャーセンターとの出会い』をお読み下さい。)
そこからご縁があり、KAMOMEの出店が決定しました。
私たちSPICEにとって、初めての”自分のお店”。
何をしなければならないのか、インターネットでの情報収集から始まりました。
内装・キッチン器具・備品などハード面の準備から、レジ・メニュー・食材の仕入先・イベントの企画などコンテンツの準備まで、不備のないように細かく細かく確認しながらの準備です。
食器を選びながらあーだこーだ言ったり、メニューの試作をしながら熱い議論を交わしたりと、わくわく・どきどきの準備は進みました。
そしてその中で私たちが大事にしていたのは、”なるべく新しいものを買わない”ということです。
”Less Waste(なるべくゴミを少なくする)”という考えはもともとありましたが什器となると・・という懸念がありましたが、『鉄筋やコンクリートを使う世界だが、なるべく負荷の低い建築をしたい』とぼそっと呟いた富樫さんの一言を聞き逃さず、色々とご相談しました。
まず、現在お店のメインビジュアルとも言える、カウンターテーブル。
こちらはなんと古い海産物問屋さんの番台だったものを、富樫さんが取り壊しの際にレスキューしてくださったもの。驚きなのは、もともとついていたパタパタ扉までぴったり、測ったような幅で私たちの店に収まったこと。
そしてカウンターテーブルらしく上部に高さのある棚をつけ、一枚板を設置し、それはそれは立派なカウンターテーブルとして新たな使命を得ました。
こちらに合わせ、同じ問屋さんで活躍していた照明も、ぴったり収まりました(一部割れているのですが、そこにもなんだか思いを馳せる歴史があります)。
そしてこのテーブルに合わせる椅子。これはさすがにスツールを購入か・・せめてリサイクルか・・と思っていたところに富樫さんの神の一声。
”前に廃校になる小学校からもらってきた椅子があるけど使う?”
”えっ、いいんですか!!(キラキラ)”(あ、で、でも、小学校の椅子ってすごく低いよね・・)
そこはもちろん、考慮済みです。
なんと、スツールの脚に、鉄職人さんが鉄で脚を溶接し付け足してくれるという技で、見事にカウンターにぴったりの高さのスツールになりました。
それ以外にも、テーブル席のテーブルは、よく見ると、昔の電話台に板を固定したものです。メニューを書いている黒板だって、アップサイクル。
キッチンの冷蔵庫や流し台も、一部を除き、リユース品でまかなっています。
さらに、鍋や調理器具も、リユース品で揃えました。(もちろん、きれいに洗い、消毒してつかっています。)
私たちがお店を始めることでゴミや無駄なものが増え、地球環境に余計な負荷をかけることを極力避けたいと思い、このような準備をしました。
でもなにより、函館の西部地区という、歴史の深い街にお店を持つということの意味を考えたときに、これまでの先人の方々や街のすみずみに溢れる歴史へのリスペクト、そしてそれらを新たな価値観・形でまた”かっこいい”ものとして(展示ではなく)しっかりつかっていくこと、さらにそれをしっかりと伝えていくことが、まず場所をつくる上で私たちにできる意思表明だと考えています。
ただ、やっぱり”かっこいい”は最優先。自分たちの感性を発動し、こだわるところはこだわりました。
そしてそんな私たちの表現に惜しみなく力を貸してくださったのが、オーナーの富樫さんです。”あぁ、ここにこれがあったらいいなぁ・・”と思うと(呟くと?)次の時には現れていた・・なんてことは一度や二度ではありません。
どんどん語るタイプではありませんが、秘めたる想いと溢れ出る行動の熱量たるや、いつだって背筋が伸びる思いです。
そんな富樫さんが、大決断、甚大な覚悟をして挑んでいるカルチャーセンター臥牛館のリノベーションプロジェクト。
その想いはこちら(http://togashimasayuki.info/5180/)に綴られていますので、ぜひあわせてご一読頂ければと思います。