『恋せよまやかし天使ども』1巻発売記念 卯月ココ先生スペシャルインタビュー
卯月ココ先生の『恋せよまやかし天使ども』1巻が、本日、2023/9/13(水)に発売となりました! 卯月先生にとって本作は、初めての『デザート』本連載です。
新刊の発売を記念してスピカワークスでは、卯月ココ先生にスペシャルインタビューを受けていただきました! エピソードの制作秘話や魅力的なキャラクターたちについてもたっぷりと伺ったほか、初の本連載にかける思いなど、盛りだくさんな内容です。そしてなんと最後には、今後の展開に向けたお言葉もいただいております……!!
また今回は卯月先生にご快諾いただき、弊社スタッフの大越と新人編集の小屋がインタビュアーを務めております。もちろん、弊社代表であり編集担当の鈴木@しーげるも登場!
それではインタビュー本編、ぜひお楽しみください~!
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◆コンセプトとエピソード秘話
インタビュアー・小屋(以下、小):『恋せよまやかし天使ども』1巻発売決定おめでとうございます!
卯月ココ先生(以下、卯):ありがとうございます。
小:初めての巻数付き単行本の発売です。今の率直なお気持ちを聞かせてください。
卯:少し緊張しているんですけれど、楽しみです。
小:この新連載が始まると決まった時には、どんなことを思いましたか?
卯:初めに、もちろん「すごく嬉しいな」という気持ちがきて、それとともに「気が引き締まる」感じでした。
小:それは、新連載に向けての心づもりがすぐにできたということでしょうか。
卯:そうですね。「早く描きたい」とはずっと思っていました。
小:それでは、読者の皆さんにとっても待ちに待った卯月先生の新連載。あらためて、『恋せよまやかし天使ども』がどんなお話なのか教えてください。
卯:「学園のマドンナと、完璧男子の話」……です。短すぎますかね?(笑)
小:すごく簡潔に! ありがとうございます(笑)。
インタビュアー・大越(以下、大):今作では、登場するキャラクターの性格の中で表と裏の部分があって、そこの「ギャップ萌え」が一つの軸になっているかと思いますが、連載で描こうと思ったきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
卯:個人的に元々、ギャップのあるキャラクターに惹かれるんです。たぶんどんなキャラクターを作るにしても、なにかしらの些細なギャップは生まれてしまうなっていうのがあって。それならいっそ、「ギャップをメインにしたお話とキャラを描きたい」と思ったのがきっかけでした。
大:なるほど。そこから、「表では完璧を演じているけれど、実は裏の自分を隠しているふたりの物語」が始まったのですね。
卯:はい。キャラクターたちが持っているギャップも物語の中でたくさん見られるので、楽しんでもらえたら嬉しいです。
小:それでは、ここから更に『恋せよまやかし天使ども』を深掘りして、お話を伺っていきたいと思います。
大:今回、1巻の裏表紙や作中でもハートに矢が刺さっている絵がたくさん描かれていますが、これも『恋せよまやかし天使ども』のコンセプトの1つと感じています。どんな理由で作品に出されたのでしょうか。
卯:もともと好きだったのが大きな理由です。『ほてりほてってファーストキス』のep.3『めがねとめがね』で一度使ったので悩んだんですけれど、だいぶ前に鈴木さんが「好きなものは何回でも使って良いんだよ」と言ってくださっていたのを覚えていたので、今回も使うことにしました。鈴木さんには、連載準備がきちんと始まる前から「今回のコンセプトは"ハート"や"天使"にしたい」とお話しした記憶があります。
弊社代表・鈴木しーげる(以下、鈴):そうですね、話したと思います。
小:また印象的だったのは、1話目で一刻くんが初めて「裏の顔」を見せるシーンでした。この見せ場を作るにあたっての制作秘話などはありますか?
卯:一刻の「裏の顔」を見せる瞬間に、ずっと髪で隠れていたピアスホールを見せたいなっていうのがあったので、髪は絶対になびかせようと思っていて。
小:おお〜。
卯:髪を自然となびかせられる場所から逆算して考えたら駅を思いついて、電車がタイミングよく来れば良い感じになるかなって。一刻が口元だけニヤっとするコマがあるんですけれど、そこと「危ないですから」という電車のアナウンスを被せて、「黄色い線の内側にお下がりください」で一刻がおとぎを後ろに引き寄せているシーンをリンクさせて描いたのは覚えています。
小:そうして出来上がったのが、1話目の駅のホームでのシーンなんですね! 一刻くんがニヤっとして「裏の顔」になるところはキュンキュンでした……。あのシーンは、読まれた方はみんな覚えているんじゃないかと思うくらい、すごく印象に残っています。
卯:ありがとうございます!
小:駅のホームの場面では、一刻くんだけでなくおとぎちゃんの「裏の顔」も描かれていて、ふたりの「裏の顔」が出そろったのも驚きでした。
卯:そうですね、一刻はおとぎに比べて「裏の顔」を、そうやすやすとは見せなさそうだなと思っていて。でも、おとぎに対して「自分と一緒だ」という親近感が沸いたら、一刻は見せるかなというのがありました。なので、先におとぎがバッと「裏の顔」を見せて、しかも「一刻のために怒った」みたいな流れになったら、一刻も「おとぎにだったら」と考えるだろうと。
小:最初におとぎちゃんからジャブを打たせた感じですね。
卯:そうですね。でも、おとぎの場合は1話の序盤に描いた絆創膏のシーンで、割と初めから「裏」を見せているので。終盤の駅のシーンに関しては、おとぎの「裏」よりも一刻の「裏」に驚いてもらえる感じになるよう意識しました。
小:いや~、一刻くんの「裏の顔」には驚きました……! そして、一刻くんが「裏の顔」をおとぎちゃんに見せても良いと思うきっかけも、あのシーンには含まれていたのですね!
◆魅力的なキャラクターたち
大:卯月先生は過去にSNSでも、ギャップ萌えをメインにしたイラストを投稿されて大きくバズっていました。今回の二人のギャップの組み合わせは、どうやって決められたのでしょうか。
卯:おとぎは、ギャップから決めたというよりは、描きたい照れ顔の種類から決めたんですけれど……。
一同:おぉ〜。
卯:強がって悔しがりながらも、確実に照れている女の子の顔をいっぱい描きたいなと思ったので、マドンナとしてのプライドを持ちながら、徐々に一刻に惹かれていく気持ちに戸惑うおとぎなら、それを引き出せるかなと思いました。
大:ちなみにおとぎちゃんについて、卯月先生が特に可愛いと思うポイントや、この連載のヒロインとして意識しているポイントなどはどのようなところでしょうか?
卯:う〜ん。ナルシストなんです、おとぎって。ナルシストでめちゃくちゃ自分に自信があるのに、思ってもみない角度からの恋の予感みたいなものに、焦って悔しがって。一刻への気持ちを……恋を認めたくないあまりに、戦闘態勢に入ってしまうところが可愛いです(笑)。
一同:(笑)。
大:一刻くんにドキッとするたびに、「でも……私は負けない……!」みたいな感じなのが……!
卯:そうそう。可愛いです(笑)。
大:続いて、一刻くんについての質問です。美しいビジュアルがかなり印象的でしたが、どうやって考えていったのでしょうか?
卯:一刻に関しては、デビューしたてくらいの時から自分の中で、「いつか連載ができたら、男の子は長髪キャラにしよう」と決めていたんです。その理由がデビュー前の投稿作で、”一刻”という名前の長髪の男の子を描いていまして。でもその時は本当に実力不足というか、上手く描けなかったんですよ。自分が思い描いていたままには描けなくて、ちょっと悔しかった。だからいろいろ経験して、その時より漫画というものを理解してから、もう一回挑戦したいなって思っていました。
小:過去作を踏まえた今回、なんですね。髪型へのこだわりは細かい部分にも?
卯:長髪の中が刈り上げになっているのは、「髪の毛でもギャップが演出できるな」と思ってそうしました。おろしている時と、結んだ時に見える刈り上げっていうのは、やっぱりめちゃくちゃ印象変わるので、すごくいいなと思って。あと顔は、かっこいいというよりは儚さと美しさを兼ね備えた、若干女顔寄りのお顔にしたかったので、下まつげを描いたり、上まつ毛は長めで描いたりしていて……という感じです。
大:ビジュアル設定時のお話を細かく伺えて嬉しいです……! ありがとうございます!
鈴:最初に見せてもらった時から、一刻くんの表情の描き分けがすごく良かったです。顔つきは中性的な顔だけども、表情が男子の表情になっていて。
小:癖とかフェチに刺さるってこういうことなのかと改めて身に染みるくらい、一刻くんが見せてくれる表情や一面の破壊力がすごいですよね。
大:鈴木さんが仰っていた「表情の描き分けが良い」、そこはやはり大事なポイントなのでしょうか?
卯:そうですね、うーん……たぶん表情が1番描きわけないとダメで。たとえば3話みたいに、髪の毛がまとめてあって、見た目として完全に「『裏』の時の状態ですよ」というのが分かりやすかったら、パッと見でも「『裏』だ」と分かると思うんですけれど、2話の、「俺のこと見過ぎな」のシーンあたりでは、髪型は一応「表」の一刻のまま全部おろした状態なので、表情に気をつけて描かないと、「いま『裏』出たな」というのが分かりにくいかなって。なので、表情はけっこう気をつけて描き分けています。
小:「表」だったところから「裏」のシーンになる時の、良い落差、個人的にも楽しんでいるポイントです。「……こんな表情もするの!?」って思いながらどんどん惹きこまれます。
卯:そう言っていただけて嬉しいです。 ありがとうございます。さきほど、おとぎと一刻それぞれの表情のギャップについて話しましたが二人の”関係性”の面でもギャップを持たせたかったので、学校での二人と「裏」での二人の違いも意識して描いています。学校では一刻が副委員長としておとぎを支える側のような、どちらかというとおとぎのほうが、主従関係が上のような感じになっているのですが、「裏」ではそんなおとぎを振り回すのが一刻という……関係性が逆転しているようなギャップもあるんです。
小:なるほど、表情や性格だけのギャップではないのですね……! 場面によって二人の関係性にもギャップを感じられるように描かれているというこだわりを聞いて、また一つこの作品の魅力が再確認できました。読み返さずにはいられません……!
◆1巻制作裏話、そして初の本連載への思い
小:ところでおとぎちゃんと一刻くんが通っている学校は、実際にモデルにした学校があると伺いました。
卯:大阪府にある「宣真高等学校」というところへ取材に伺ったんですけれど、本当にすごかったです。 すべてが宮殿みたいで、トイレまできれいだったので「本当に学校なのかな……?」と驚きました。取材も快く受け入れてくださって。その分、写真をめちゃくちゃ撮りました(笑)。
鈴:たくさん撮りましたね。
卯:1700枚くらい? もっとかな……?
大:作品の構想時から、実際に作中で描かれているようなかわいい校舎を「舞台にしたい」と?
卯:そうですね。初めのころから、おとぎと一刻の「表の顔」は高貴な感じにしたいと思っていたので、それに合う感じの校舎にしたいとは考えていました。
小:取材された宣真高等高校で、一番印象に残っている場所などはありますか?
卯:4話で、おとぎと一刻が話すシーンのモデルになった階段ですかね。屋上に繋がっている階段だったんですけれど、屋上に出る前のところに少しスペースがあったんです。段ボールも少し置かれていて、「二人きりで裏を出せるヒミツの場所として使えそうだな」と思いました。
小:そんなところがあったのですね……! 秘密基地的な。
卯:良いですよね。
小:続いて、単行本1巻のカバーについてお伺いします。今回のカバーにはどのようなこだわりがありますか?
卯:デザイナーの名和田耕平さんと打ち合わせをした時に、「少し目力強めで、挑戦的な表情でいきませんか」という提案をもらったので、二人の表情にこだわって描きました。あと二人が座っている椅子なんですけれど、"密談椅子"っていうもので、スパイが背中合わせで他人のふりをして座れるような椅子らしくて。偶然見つけて、「すごくいい」と思ったので使いました。周りには言えない二人だけの秘密を持っているおとぎと一刻にも合っているし、見つけた密談椅子自体がエレガントな感じだったので、二人の「表の顔」での高貴な印象も増すかなと思って、描きました。
小:そういったモデルにする素材は、どのようにして見つけるのでしょうか?
卯:最初から「椅子は使おう」と考えていて、その時点では「一人一つの椅子にしようかな」と思っていたんです。それで、ポーズは「背中合わせがいいな」といろいろ描いてみたんですけれど、ちょっと距離が気になるなと……。でも、「この世の中に、椅子はたくさん種類があるだろう」と気づいて、合体されている椅子を探してみたら、今回モデルになった椅子が出てきました。ちょうどコンセプトにも合うものだったので、すぐに鈴木さんへ相談したんです。
小:そんな経緯が! 鈴木さんからの反応はいかがでしたか?
卯:「よく見つけてきたね」って連絡がきたような気がします(笑)。
大:卯月先生のカラーイラストは、全体的に淡い色合いで描かれている印象なのですが、そちらもこだわって選んでいるのでしょうか?
卯:そうですね。前作の時から淡い色合いが好評だったのと、読者さんからも褒めていただけることが多かったので、今回もカラーでイラストを描くときには淡い色合いを意識して描いています。
小:少し気になったのですが、キャラクターたちの髪の毛はどのようにして決まったのでしょうか? 初めて見た時にかなり印象的でした!
卯:確か一刻の髪色は、白か銀の間らへんの、若干青みがかった色にしようというのは決めていて、おとぎは「それに合うのは何色だろう」って悩んだんです……。二人が並んだ時に良い感じになる色を探して、最初は水色に近い青色にしようかなと思いましたが、それだと少し華やかさに欠けてしまうかもと考えて、たくさんの色を試した結果ピンクになりました。
小:カップリングとして、二人が並んだ時にしっくりくる色合いを意識されたんですね!
大:今回は初の本連載ですが、読み切りやシリーズ連載との違いはどのように感じていらっしゃいますか?
卯:一話完結ではなく、続きのお話が描けるというところが大きく違うなと思っています。読み切りは「満足感が大事かな」と考えていたので、「きれいにまとめる」という所に気をつけて描いていたんですけれど、連載は続きを楽しみにしてほしいので「この二人がどうなっていくのか気になる」と思ってもらえるように描いています。その辺は、やっぱり難しいですね。
小:主人公の女の子の感情描写を、時間をかけてきちんと描くことができるのも連載ならではです。そのあたりについてはいかがでしょうか。
卯:楽しかったですね。 たとえばおとぎは1話目からずっと、悔しい顔や眉毛が上がりながら照れている表情ばかりを描いていたので、3話で初めておとぎの本当に女の子らしい表情を描くことができたのが楽しかったです。
小:なるほど~! これからもどんなおとぎちゃんが見られるのか、とても楽しみです。そして、いよいよインタビューも終盤となりました。『恋せよまやかし天使ども』、今後の展開も含めた注目ポイントを教えてください。
卯:一刻やおとぎは完璧すぎて、周りからは「何でもできてしまう二人」だと見られがちなんですけれど、今後はそれだけではないところも描いていけたらな、と。楽しみに見ていただけたら嬉しいです。
小:ありがとうございます! この作品を読み始めた時に感じた二人の印象とは、また違ったところをこれから見られるのかもしれないんですね! 最後になりますが、読者のみなさまへメッセージをお願いいたします!
卯:初の本連載で、不慣れな点もありますが楽しんでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
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長編でお送りしました、卯月ココ先生のスペシャルインタビュー! 楽しんでいただけましたでしょうか。
……と、実は今後の気になる展開を、もう少しだけ卯月先生にお聞きしております!
物語の今後の展開、そして二人のどんな姿が見られるのか、とても楽しみです。デザート連載『恋せよまやかし天使ども』、どうぞお楽しみに!♡
そして卯月ココ先生へのさらなる応援を、引き続きよろしくお願いいたします!
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♡卯月ココ先生のシリーズ連載作品『ほてりほてってファーストキス』連載開始記念インタビューはこちら
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