【コラム】星景写真の話|日光の戦場ヶ原で星空を撮る
10月も後半に入り、気温も低い日が増えてきた。東京の街路樹はまだ色づいてないが、アルプスや北関東の一部ではすでに紅葉が始まっている。10/24・25のタイミングで、北関東を代表する紅葉スポットの日光へ向かった。
日光の紅葉といえばいろは坂を登った先にある華厳の滝や中禅寺湖周辺を拠点にする人も多いはず。みんな色づいた景色と壮大な自然を写真に収めたいのだ。渋滞のメッカともいえるいろは坂で、効率的に立ちまわるには当日に向かうのではなく、前日からの待機がベストだ。
25日の紅葉をしっかり撮影するために、前日の夜から目的地周辺の拠点として戦場ヶ原へ向かった。日光東照宮を正面にみた神橋交差点を左に曲がると、中禅寺湖までのいろは坂が始まる。登り切った先のT字路を左に曲がり道なりに進むと、右側に三本松公園の駐車場がある。
この場所に到着する過程で知ったことなのだが、いろは坂は全面片側通行になっていた。以前は対向車も走ってたのだが、渋滞緩和の一環でルール変更されたらしい。久しぶりに向かうと当時のあたりまえもいつの間にか変わっているので気をつけたい。
休憩地点としてゆっくりしたいところだが、カメラが趣味の私には休む暇がない。三本松公園の駐車場に着くと、早々に車のそばで三脚を立て、撮影の準備に取り掛かった。奥日光と言われるだけあり、街灯が点灯してないので真っ暗なうえに、あちらこちらで鹿が鳴いていた。
暗闇の中撮影準備が整い、ピントを合わせて撮影に入る。周りには前景に入れるモニュメントはいくらでもあるのだが、宵闇の中でピントを合わせることの難しいこと。ファインダーを覗こうが背面モニターから確認しようが、焦点が合ってるのかがとても分かりづらい。
一枚撮っては確認し、ずれていたら、ピントリングをほんの少しだけずらして確認し...これの繰り返しである。確認中はピント部分を最大に引き延ばし、星の輝きがくすんでないかをしっかり確認する。ピントが合ってないと撮影した写真は全てぼやけてしまうのでゴミになる。
納得のできる焦点距離を見つけたら、星景写真の撮影に本格的に入ることになる。このとき決めることは2つあり、『点で撮るか』『線で撮るか』である。フォーカスした星の輝度を最大に引き出すために、30秒程度の露光撮影をして、まずは星々を点で撮ることにした。
ピントが合ってれば、宵闇の中で撮影してるので、空中が星だらけになる。一枚撮っては背面モニターで確認し、写り加減の確認をする。30分くらい点での撮影を試み、次は線での撮影に入る。カメラ機能のインターバル撮影を使い、あとで編集して合成する段取りだ。
撮影は、最大露光時間の30秒を30枚連続でおこなう。約15分の星の動きを編集でつなげるのだ。撮影中は地球の自転により、星が移動することになる。動きが遅い地球の自転を肉眼では認知しにくいが、高感度センサーはだまされずにしっかりと星の光をセンサーに刻んでいく。
これを4セット繰り返して撤収した。結果はヘッダー写真の通り惨敗である。星が写りすぎて雑多に見えるのだ。情報量が多すぎてかなりごちゃごちゃしている。暗闇の中で準備をして、ピントを合わせる。撮影を繰り返しながら、焦点と露光時間まで考えなくてはならない。
星の撮影はとても忙しく難しい。露光時間で現れる星々の数も変わってしまうことを新たに学んだ。次回からは日中の明るい時間帯から準備に取り掛かりたいところだが、日中は激混みの日光ということで、次回の紅葉時期もまた夜に向かうことになるのだろうか。
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