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「あなたが青く見えるなら、朝日もりんごも青くていいんだよ」


◆はるか遠い国でも読まれている漫画

映画『ブルーピリオド』を観た。
 
漫画が原作の映画だが、わたしは特に原作のファンというわけではない。
なんなら、原作を一度も読んだことがない。
ファンの方に怒られそうだが、つい最近までタイトルも知らなかったくらいだ。
 
そんなわたしがこの映画を観ようと思ったきっかけは、
NHKの『ドキュメント72時間』という番組。
 
ご存知の方には説明するまでもないが、
この番組は、ある場所に3日間(=72時間)カメラを構え、
そこにやってくる人々の声に耳を傾けるドキュメンタリー。
 
普段からよく見ているのだが、
パリオリンピックが開催されることもあってか、
たまたま見た回の舞台がフランス・パリのとあるマンガ喫茶だった。
 
そこに登場したある男性が手にしていた漫画が、
この『ブルーピリオド』だった。

◆本当は1人で観るはずじゃなかった

この夏に、たまにしか会えない人と会える予定があったため、
映画を観たいなと思い調べていると、
ちょうどブルーピリオドが上映されていることを知った。
 
先述の通り、ドキュメント72時間でタイトルだけは知っていて、
おもしろそうだなと記憶に残っていたため、
これも何かのタイミング、と一緒に観に行こうと誘っていた。
 
ちょっとでも安く観られればと思い、前売りチケットも2枚買っていた。
 
そんなタイミングでやってきた大型の強い台風。
公共交通機関にも大きな影響があり、移動手段がなくなったため、
会う予定をキャンセルせざるをえなくなった。
 
ただし、チケットはすでに購入していたため、
お互いの近くの映画館で観ることにした。
 
元からよく1人で映画を観に行っていたため、
1人映画が嫌いというわけではない。
しかし、当初は1人のはずではなかったため、
寂しさと残念さを感じながら映画を観始めた。

◆「あなたが青く見えるなら、朝日もりんごも青くていいんだよ」

ネタバレになるためここではストーリーには触れないが、
映画の中で印象に残ったのがこの言葉。
 
※少し調べてみたところ、原作では
「あなたが青く見えるなら りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」
というセリフのようだが、たしか映画では「朝日もりんごも」だったはず。
 
このセリフを聞いたとき、
世の中の「普通」や「当たり前」といったレールに沿うことが是とされがちな中で、
自分の価値観を大切にすることを認めてくれる言葉だなと思った。
 
朝日もりんごも、何色かと聞かれると、多くの人は「赤色」と答えるだろう。
でも、それは「多くの人にとって」赤色なのであって、
人によって見え方は違うはず。
 
・多くの人にとって赤色であれば、赤色が「正解」なのか?
・青色に見える人は、「朝日もりんごも青色だよ」と言ってはいけないのか?
・それは「おかしいこと」なのか?
 
これらの問いにも絶対的な「正解」はないのだと思うが、
少なくともわたしは「それは間違っている」と
相手の価値観を否定する人にはなりたくない。
 
「あなたにはそう見えるんだね」と受け止めたい。
受け止められるくらい心の広い人でありたい。
 
自分が「青色」に見えるなら、それは「青色」でいい。
周りに合わせて、青色に見えているのに「赤色」と言わなくていい。
 
「赤色」という人が多い中で、「青色」と言うことは、
きっとすごく勇気のいることだと思う。
けれど、自分の価値観を自分でねじ曲げてしまう方が、
後の自分を苦しめてしまうのではないかと思う。
 
自分の考えや価値観に自信を持てなくなったとき、
この言葉を思い出してみたい。
 
大切なのは、
「自分にとって」それが何色に見えるのか、
ということ。
 
映画もそう。
同じ映画を観ても、人によって受け取り方や感想は異なる。
それらに正解も不正解もない。
 
映画の感想をシェアするのが楽しみだな。

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