12月、はじめましての男
きょうも、
よく晴れた日
となりの男は
(ぜんぜん)起きない。
はじめましての、その笑顔をよく覚えている。
少しだけあげた前髪が、そのとき、たまたま、少しだけ、好きだった人気アイドルに合間って。口角を綺麗にあげて笑う。歯並びがよい、笑顔。
いつも若くみられる自分、よりも3つは若く見えて、3つ上とは。
あ、そうだ、いつもヒトメボレしちゃうんだった。
隣の先輩に遠慮しているんだかしてないんだか、こそこそ連絡先を交換して、
ーーーー何時にでるの?
飲みに行こうよ
そんなことを言われたのだったか。
だってかわいいひとと思ってしまったんだもの。
バイト先を出たら駅まで早足。
「待ってる!」ってかわいいLINEをくれるからうきうきしてしまった。
4つ先の駅で改札を出る。手をつないで寒空を歩く。通り道の公園で置き去りのボールでサッカーして。
招かれたおうちはなんてきれいなマンションだ。話す言葉もそこそこに口を塞がれて、ますます楽しくしてくれるから、興味しか湧かないじゃないか。
たしかに好きになるのは直感だけれどね、
ねえ、こんなふうにほいほいついていったことはないんだよ。
あなたはちがうんだろうけど。
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