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目からビーム!40ないものねだりの子守歌
ゲイの世界では、養子縁組を事実上の結婚とするカップルが少なくないという。入籍し、愛する人と姓をひとつにするのである。
歳の離れたカップルでは相続という現実的な問題も絡んでくる。ゲイではないが、画家の岡本太郎が最晩年、養女として縁組した敏子氏が実質上の妻であったことは有名だ。両親(一平・かな子)の特異な夫婦生活を目の当たりにした経験から、つねづね結婚制度を不毛と言い切っていた太郎だけに、最愛のパートナーに死後の作品管理をゆだねるにしても、結婚という形だけは取りたくなかったのだろう。
ゆえあって「結婚」できないゲイ・カップルでは、苗字の一字を名乗らせて愛の証とすることもあるらしい。先日亡くなったジャニー喜多川氏がゲイであったということは、もはや公然の秘密でさえもないが、彼のパートナーだった元フォーリーブスの北公次(本名・松下公次)の告白本によると、彼の「北」という芸名は、ジャニー氏の「喜多川」のキタからつけられたのだという。同じくゲイとして知られている作曲家の古賀政男は愛弟子にアントニオ古賀(本名・伊東貞行)を名乗らせている。
現在、フェミニズム運動家を中心に夫婦別姓運動がさかんなようである。とりわけ過激な運動家の中には、結婚して夫の姓を名乗ることは「名前を奪われる」「自分の人生とキャリアを否定されるような思い」と言ってはばからない御仁もいる。あるフェミニズム系のサイトによれば、日本の夫婦同姓は女性差別だとして、国連女子差別撤退委員会から改正を求めて三度の勧告があったという。ならば、養子縁組までしてパートナーの姓を名乗りたい一部ゲイの人たちは差別主義者ということになるのか。
むろん、ゲイと呼ばれる人たちの「結婚」観もさまざまだろう。現行の民法がすべての元凶だという論法も成り立つかもしれない。とはいえ、LGBTなる言葉が生まれて以来、なんとなく彼らゲイが、フェミニズムをはじめとした各種左派運動に呑み込まれ消費されていくかのように見えて、僕なんかはひどく違和感を覚えるのだ。
しょせん人間なんて、ないものねだりの子守歌。フェミの別姓も、ゲイの同姓も。
初出・八重山日報
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