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目からビーム!183 ヤングマン!
今、世界が一番注目している男といえば、いうまでもなくドナルド・トランプである。彼は大統領就任一日目で、なんと支持者の前で26もの大統領令に署名してみせた。この中には、かねてより公約に挙げていたWHO(世界保健機構)からの脱退をはじめ、不法移民の強制退去の徹底や国境への軍隊派遣、それに「過激なジェンダー・イデオロギーの見直し」も含まれている。
アメリカ、いや世界はようやく正気に戻った、そう思った瞬間である。アメリカは極端に走るときもあるが、来た道が過ちであると気づくとゆり戻しも早い。大統領制と議院内閣制の違いがあるから単純な比較はできないが、一度法律を作ってしまうと訂正、廃止が容易でない日本から見ると羨ましい限りである。さらにいえば、役人(官僚)がこれほどまでに陰の力をもっている国も珍しいのではないか。「男女共同参画」も「LGBT理解増進」もひと皮むけば利権の腐臭しかしない。
トランプは「ジェンダー(性別)は2つしかない。男性と女性だ」と言い切った。当たり前のことだ。生まれながらの性をないがしろにするLGBT活動家の思想は、この世に生んでくれた親に対する冒とくであり、自然摂理に対する冒とくだ。その上でいうが、トランプは決して同性愛差別主義者ではない。彼が選挙のイメージソングにヴィレッジ・ピープルの『YMCA』を使ったことはゲイ有権者への明確なアピールだと思っている。「若者よ、YMCAで楽しい仲間と出会おうよ」の歌詞を額面どおり解釈したのは日本の某歌手ぐらいのものだろう。就任式のレセプションにも懐かしのヴィレッジ・ピープル(オリジナルメンバーではないが)が登場し会場は大いに盛り上がった。警官、牧童、水兵、レッドネック(作業員)、ネイティヴ、彼らのいでたちはゲイを意識したものだが、同時に米国を底辺で支える重要な構成員を象徴している。ITエリートとそれらブルーカラーが居並ぶというのも実にトランプらしい。
とはいえ、僕はトランプ政権を手放しで歓迎するものではない。むしろ戦々恐々としている。トランプ大統領という人は日本にとって薬にも毒にもなる存在だ。日本に安倍晋三という稀代のリーダーがいたからこそ、彼は良薬となった。果たして現政権はどうか。関税30パーセントを吹っ掛けられて声も出ない赤ら顔の三白眼が目に浮かんできそうだ。
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