『遊星仮面』秘話~え、あのお方が!?
テレビアニメ『遊星仮面』は1966年6月~67年2月まで、TCJ(現エイケン)制作でフジテレビ系で放送された。
地球人の科学者である父と地球の友好星であるピネロン星人の女性の間に生まれた混血児ピーター(遊星仮面)が主人公。ある誤解がもとで、地球とピネロン星の間で戦争が起きてしまう。その原因を作ったのはピーターの父であり、そのために敵星人となった母は強制収容所に入れられ息子とも離れ離れになってしまうのだ。地球と異星人との板挟み、さまざまな葛藤を抱えながら、ピーターは遊星仮面になって、地球の平和のために戦う。♪戦争をやめろ! のフレーズも印象的な主題歌(作詞作曲・三木鶏郎)を含め、当時としてはかなりハードな内容で、主人公が敵宇宙人と地球人の混血という設定はのちの『ボルテスV』の先取りかもしれない。
キメせりふは「人呼んで遊星仮面」。
エイケンの元プロデューサーでミスター・エイケンこと鷺巣政安さんから伺った、とっておきのお話を披露しましょう。
ある日の昼下がり。鷺巣さんが会社の電話をとると、小学生ぐらいの男の子の声が受話器から飛び込んできた。
「ひとよんでゆうせいかめん!」。
電話の奥では、母親らしい品のいい感じの女性が「いけませんよ。そんなことをしては」と子供をたしなめている。
電話を替わったその女性は、「大変申し訳ございません。子供がいたずらをしてしまいまして…」。
鷺巣さんは「いえいえ、こういう仕事をしていると慣れっこなんですよ。お母さんもあまり坊ちゃんを叱らないで、『遊星仮面』応援ありがとうとうと伝えてあげてください」と電話を切ったそうな。
のちにわかったことだが、どうもその電話は東宮御所と同じ住所からかかってきたらしいと。
ということは、そのときの母子は……。
う~む。ありえない話ではないか。
今回ご紹介したエピソードの他、アニメ、特撮、芸能の知られざる秘話が満載。帯文は庵野秀明監督!
あの鷺巣詩郎さんから「叔父の素敵な本を出していただいて、本当にありがとうございます」と言われたときは、涙が出るほどうれしかったです。