すとーりーてらー

子どもに読んであげたくなるような話を考える。

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最近の記事

石垣島のおじいちゃん

石垣島の青い海と白い砂浜が広がる夏の日、シオリは祖父の家に訪れていた。彼女は小学6年生で、毎年この島で過ごすのを楽しみにしている。祖父のタケシおじいちゃんは、島の漁師であり、彼の家にはいつも心温まる雰囲気が漂っている。家の周りには色とりどりのハイビスカスが咲き誇り、風に揺れるその花々が夏の到来を告げていた。 タケシおじいちゃんはシオリが到着すると、にこやかに迎えた。彼の目には、シオリの成長が嬉しそうに映っていた。シオリはタケシおじいちゃんの家に着くと、まず庭の大きなガジュマ

    • 光陰トゲのごとし

      小さな森の端に、ハリネズミのハリスケが一匹で暮らしていました。ハリスケは、背中にあるトゲがあるせいか、他の人に迷惑をかけたくないと思ったせいか、一匹で静かに暮らすのが好きでした。ハリスケはどんなことにも慎重で、毎日が同じようになにごとも平穏なままで過ぎていくのが好きでした。 しかし、ハリスケは最近どこか焦りを感じることが増えてきました。いつもの暮らしが、心地よかった暮らしが、なんだか物足りない……そう感じることが増えたのです。 「このままでいいのかな?」ハリスケは自分に問

      • 石の上にも

        1 サル吉の悩み 森の川辺に座るサル吉は、青空を見上げながら深い木陰の中で思い悩んでいました。川の水は穏やかに流れ、周囲には鳥のさえずりが響いていますが、サル吉の心はその美しい景色には全く無関心でした。 「どうして僕は、こんなにすぐに飽きてしまうんだろう……」サル吉は呟きました。その声には、やるせない感情が滲んでいます。 すると、カメ助がその穏やかな歩き方で近づいてきました。「サル吉、どうしたの? こんなところでぼんやりして。」 サル吉は苦しい表情を浮かべました。「カメ

      石垣島のおじいちゃん