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<3日目~光の山脈~>


<3日目~光の山脈~>

今日のキャンプサイトにたどり着く。

洗濯を済ませて(川で水洗い)、夕飯を食べると

キャンドルに火を灯した。

焚き火ができないときは持ってきたキャンドルを灯して夜を過ごす


街より長い夜をどう過ごすか。

それもキャンプでの楽しみの一つ。


僕の旅の場合まず

今日一日で感じたこと、考えたこと、思ったことを

ノートに書き込んでいく。


火を灯すとなぜか気持ちよく書き物ができる。

光の山脈


ジョン・ミューア・トレイルがあるシエラネバダ山脈をジョン・ミューアは「光の山脈」と呼んだ


その理由の一つが短い夏に咲き乱れる花々。

小さなメドウいっぱいに

静かなせせらぎに沿って

旅人の足元に


ひっそりと確かに咲いている

その間をリスが駆け抜けていく


彼女たちの寿命は短い


強い陽射しと厳しい乾燥が彼女たちを

たった


太陽は恵みであり、死でもある

風はいつも彼女たちを愛でる

旅人は目を凝らし、心を躍らせる

ハチや蝶はせわしく動き回る


花が咲くことで雪は解け、止まっていた時間が流れていく

長い長い冬に彼女たちは根を伸ばし

短い短い春に胸を張って咲けるように

彼女たちは彼女たちの物語を生きている


いったいどれだけの旅人を見守ってきたのだろう


わずかな土に体を任せ

大きな岩陰に命を預け

空に向かって咲き誇っている

まったく枯れることを怖れていない


僕も見習おう

いつか必ずやってくる、その一瞬に

精一杯、咲き誇ってやろう


そのとき自ずと物語は動き出す


一気に書き残して一息つく。


ふと、火は現代人が失ったものの一つだと思った。


星が瞬きはじめたころ(日没は20時)

温くなったコーヒーを飲み干して、寝る用意をする。


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