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春の野良仕事は山菜摘み!


<春の野良仕事は山菜摘み!>

自然農では農作業ではなく野良仕事と呼ぶ人が多い。「野を良くするために、事に仕(つか)える」という意味で、仕事とは「やるべきことをする。与えられた役割を全うする」という意味合いがある。とはよく言うものの、じゃぁ、野を良くするってどういうことだろうか。
私が思うに、野を良くするとは「人間にとって都合が良い野(フィールド)にする」ということ。

ここが大事で、日本の風土で放ったらかしにしていると大変なことになることは多くの人が経験済みだろう。自然遷移が進めば畑には向かない環境になってしまうからだ。自然農の成功条件の一つに「人間が手を入れること」というのがあるように、季節ごとに野良仕事があって、その野の状態によっていろいろ方法がある。自然農でも、栽培方法の違いはあれど、共通しているのは野を良くしているということだ。

土地の状態によってやるべきことは変わってくるし、育てたい野菜にとって自然な状態が変わる。また人によって考え方や好みが違うから、あなたにとって自然な状態を目指していくことになる。だから、過ごせば過ごすほど豊かになるように野良仕事に励みたい。

春の野良仕事といえば、実は「春の山菜摘み」
ただの食糧調達じゃん!というのは間違いではないが、山菜を摘むことで畑の土がどうなるか考えたことあるだろうか?

春の山菜摘みの多くが、新芽や蕾だけをポキっと摘む。この部分だけを摘み取ると面白いことが土の中で起きる。

植物の成長には茎葉を広げる「栄養成長」と葉や実をつける「生殖成長」の二つの段階がある。
栄養成長では主に主根によって得た水分と光合成で得た糖を使って成長し、生殖成長では主に側根によって得た養分を使って成長する。栄養成長と生殖成長が綺麗に別れる植物もいれば、同時に行う植物もいる。

新芽をポキっと折られてしまった植物は「おいおい、ここはもうこれ以上大きくなるわけにはいかないな!生殖成長に切り替えよう!」と。
蕾をポキっと折られてしまった植物は「おいおい、ここはたくさん蕾を作ららないといけないな!もっと生殖成長をしよう!」と。

人間が山菜を摘むと植物は頑張って、側根を伸ばす。この側根には菌根菌という菌と共生することでたくさんの養分を得ることができる。石の中に秘められたリン酸やミネラルなども溶かして養分することができる。また、植物の根が入り込めない隙間にも微生物が入り込み、養水分を獲得する。つまり、春の山菜摘みによって、畑の土の中の微生物がどんどん増えていくのだ。

冬の間に伸ばしていた主根は土を縦の方向に耕してはくれますが、幅広くは耕してはくれない。それでも春に山菜を摘むことで満遍なく土は耕され、しかも微生物が一気に増えてくれる。

これによって、春の山菜摘みが終わる5月にはふかふかの土が完成している。そして、そこに私たちは夏野菜の苗を植えていく。雑草もそれが分かっていたかのように、夏草たちがちょうど芽生え始める。

役目を終えた春草たちの根は土壌生物によって分解され、これまた養分として土に残り、夏野菜に吸収されていく。ただ人間が春の山菜を摘んだだけで肥料をまく必要のない土になっているのだ。

人間の営みが土に影響を与えて、それが人間に還ってくる。
これが「人間が関わった自然の摂理」。自然との調和を実現できれば、あなたには恵みばかりがやってくることになる。さぁ、春の山菜摘みに出かけましょう♪

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