第2話:競馬ファンとゲーム文化
ところで、競馬ファンとゲーム文化のつながりは男性社会においては非常に密である。
それはゲームのプレイヤー名に時として現れる。
「オルフェ(おるふぇ)」、「ディープ」、「コントレイル」、「アーモンドアイ」、「シーザリオ」、「キズナ」など。
枚挙に暇がないほどだ(知ってる人と知らない人の格差が甚だしい、笑)。
これまで私はさまざまなスマートフォン(スマホ)ゲームに接してきたが、プレイヤー名に「名馬」の名前をつける人をいったいどれだけの数見てきただろうか。
対人ゲームともなれば、まるでサラブレッドと戦っているような気分になる。
きっとこうしたプレイヤー名は「私は競馬ファンである」という自己主張や愛の証でもあるのだろう。
なかには、かなりの競馬レベルに達していると思われるマイナーな馬の名前をつけている競馬ファン(良く言えば、達人および玄人。悪く言えば、競馬オタク)もいる。
「ああ、そう言えば、いた、いた!何で?」
ふと不思議な現象であるな、と思ったら答えはすぐ近くで見つかった。
あるGⅠレースが開催された日のこと・・・。
競馬場のスタンド、施設内で見た光景。
いったいどれほどの人(競馬ファン)がスマホゲームに熱中していることか。
前にも後ろにも左にも右にもたくさんいる。
今やネットで馬券を購入することもできる時代だから「ゲーム」という意味では完全に「二刀流」となっている。
前後左右にジャンルは異なるけれども、馬券の予想・購入を手際よく進めながら別のゲームに熱中している多くの競馬ファンを見た。
ネット投票と競馬ゲームの「ガチャ(福引き)」(ギャンブル)に違いはあるのか、と思った。
それにしても、まだ何か変だ。
戦前や戦後間もなくの頃の競馬にはこんな競馬ファンは居なかった。
一昔前における競馬ファンの友達と言えば、「赤ペン」と「予想紙」と決まっていた(耳に赤ペン、ポケットに丸めた新聞紙、ときどきラジオだ)。
では、本物の競馬とゲーム文化はどこでつながったのか。
それはスマホゲームによってある日突然生まれたものだったのであろうか。
「ウマ娘」の力(チカラ)だけ?
いや、そんなことはないだろう!
現在では競馬場に居ながらにして「ウマ娘」をプレイすることもできる。
おそらくそこに行き(辿り)着くまでにまた別の何かがあったに違いない。
(2022.11.18)