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ウマ娘の教科書(#3トウカイテイオー前編)

無敗で制した日本ダービー、親子2代のJC制覇、そして日本中が感動した1年ぶりの有馬記念制覇。3度もの骨折を乗り越え、4つのGⅠを制覇した「奇跡の名馬」トウカイテイオーの足跡(生前編)を振り返る!

DVD『トウカイテイオー:帝王・栄光の蹄跡』(一部改訂)

1990年

12月1日 新馬戦                       1着

12月23日 シクラメンステークス(OP)  1着

1991年

1月19日  若駒ステークス(OP)         1着

3月17日  若葉ステークス(OP)       1着

4月14日  皐月賞(G1)                         1着

5月26日  日本ダービー(G1)                      1着

1992年

4月5日  大阪杯(G2)                                   1着

4月26日  天皇賞・春(G1)       5着

11月1日  天皇賞・秋(G1)       7着

11月29日 ジャパンカップ(G1)       1着

12月27日 有馬記念(G1)                             11着

1993年

12月26日 有馬記念(G1)         1着


トウカイテイオーは1988年4月20日に生まれ、2013年8月30日に没した。

父はシンボリルドルフ、母はトウカイナチュラル、母の父はナイスダンサーという血統であった。

生涯成績は12戦9勝。

主戦騎手は安田隆行(6戦)→岡部幸雄(4戦)→田原成貴(2戦)と入れ替わっている。

トウカイテイオーは「無敗の三冠馬」シンボリルドルフの仔として生まれた(父の愛称「皇帝」に対して「帝王」)。

つい最近まで、

シンボリルドルフとトウカイテイオーは日本の競馬史上もっとも偉大な親子である。親子で顕彰馬に選出されたのはほかにクモハタとメイヂヒカリ、トウショウボーイとミスターシービー、ディープインパクトとジェンティルドンナがいるが、こと競走成績という点ではシンボリルドルフ、トウカイテイオーが際立っている。なにしろ父子揃って無敗のまま二冠を制しているのだ。
三冠馬は過去に七頭しかいないように、無敗で二冠を達成した馬も、三冠馬となったシンボリルドルフとディープインパクトのほかにクリフジ(ダービー、菊花賞)、トキノミノル、コダマ、トウカイテイオー、ミホノブルボンの七頭だけである。この顔ぶれのなかにルドルフとテイオーの父子がいる。

江面(2017: 216)

少なくともコントレイルが出現するまではルドルフとテイオーは史上最強の親子であった。
(ディープインパクトとコントレイルは父子で「無敗の三冠」を達成したほか、コントレイルの顕彰馬入りもほぼ確実である。)

しかしながら、テイオーの血統を語る場合、母トウカイナチュラルの方がより重要な存在となる。

トウカイテイオーの6代前の母ヒサトモ(1934年生)はダービーと天皇賞を勝った戦前の名牝であった。

このヒサトモの凄さは日本近代競馬史上はじめてダービー(第6回)と天皇賞(第3回)を勝った牝馬であるということだ。

(片方ではない。どちらも初だ。)

しかも繁殖生活を送ったのが戦中戦後の混乱期であったので、終戦後まもなく地方競馬に現役復帰し、調教中に倒れて死んでしまったという「悲劇の名馬」でもある。

彼女の後継はブリューリボン(1945年生)というただ一頭の後継牝馬に託された。

だが、その系統もいつしか先細りとなり(リボンからトップリュウ)、その時突然現れた馬がトウカイテイオーの曽祖母にあたるトウカイクン(1966年生)であった。

トウカイクンは400キロ足らずの小さな体で追い込みを得意とした馬だった。

約5年の競走生活で56戦6勝の成績を残した。

馬主の内村正則(大阪でゴム製品製造会社を経営)は最初に持ったトウカイクンをこよなく愛し、北海道浦河町の岡部牧場に預けた。

うまれた子を売らずに自分の所有馬として走らせたのは、

ヒサトモの血統を残したい ―。


という強い気持ちからであった。

かくしてトウカイクンは9頭の仔を産み、5頭の後継牝馬を残した。

「トウカイ」の名=「ヒサトモ」の血を継ぐもの・・・

子孫の中核をなしたのがトウカイクインの次女トウカイミドリ(1977年生)

だった。

トウカイミドリはオークス馬のトウカイローマン、さらにトウカイテイオーの母となるトウカイナチュナル(1982年生)を産んだ。

ナチュナルは脚元に難がある馬であった。

したがって、競走馬としてデビューできず、北海道新冠町の長浜牧場に預託された。

そして、2年目にルドルフが種付けされて生まれたのがテイオーである。

本来ならルドルフは姉のトウカイローマンに配合する予定だったが、現役続行を決断したために、代わりに妹のナチュナルが種付けされたのであった。

(1年後、ローマンとルドルフの間に生まれた牡馬、トウカイテイムスは未勝利のまま引退した。)

このようにトウカイテイオーは偶然誕生した。

そして、「ヒサトモ」テイオーは新たなステージへと向かうことになるのだ。

(だが、母トウカイナチュナルの脚元の難もまた・・・)

第0話「(ヒサトモ)テイオー」



(続く)


【参考資料】

江面弘也(2017)『名馬を読む』三賢社
日本中央競馬会編(2005)『日本中央競馬会50年史』日本中央競馬会編(2013)『第80回 日本ダービー ANNIVERSARY BOOK』日本中央競馬会
日高嘉継(2005)『エンペラーズカップ100年記念 栄光の天皇賞展』馬事文化財団

参考DVD:

名馬コレクションシリーズ トウカイテイオー:帝王・栄光の蹄跡

参考URL:

日本中央競馬会ホームページ

ウィキペディアの「ヒサトモ」、「トウカイテイオー」の項目。

トップ画像:
ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(サイゲームス)

アニメ:
TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season2』(サイゲームス)
の特に第1話(終わり部分)を参考にしました。

(2022.3.6)




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