第1話:ディープインパクトと「ウマ娘」
競馬ファンではなくとも、「ディープインパクト」という名前を一度は聞いたことがある、という人は多いことだろう。
一方で、「ウマ娘」というワードもアニメやゲーム、コミックは知らずとも日常生活で耳にしたことがある人はたくさんいるはずだ。
ディープインパクトは2005年から2006年にかけて日本の競馬界で活躍した「サラブレッド」(※ ウマ科のウマの中の一種)で、当時一大ブームを巻き起こした。
この馬の現役時代の異名は多々ある。
「無敗の三冠馬」、「英雄」、「飛ぶような走り」、「日本競馬の至宝」など、その中でもっとも有名な言葉が「日本近代競馬の結晶」というフレーズ(用語)である。
日本近代競馬は「大衆競馬」(英国は王侯貴族・ジェントルマンのスポーツ、現在でも階級差が存在)として発展してきた。
その過程を経て、現在の競馬環境と日本社会がある。
日本近代競馬の極致が「ディープインパクト」であったとすれば、現在の日本大衆競馬の極致が「ウマ娘」である。
それは疑いようのない事実といってもよい。
例えば、猫娘やネズミ男、狼男、ハエ男などが「ウマ娘」と異なることは今や日本社会全体に共有されつつある。
「ウマ娘」はゲーム会社サイゲームスが作り出した文化であり、思想である。
しかし、いったいなぜこのようなものが日本社会に突如として出現したのであろうか。
実のところ戦前の日本近代競馬の目的は軍馬育成であった。
それゆえ、メディアに描かれる馬も非常に暗いイメージであった。
そこには現在のようなユニークな馬の姿は見られない。
では、その「反転」はいつ、いかなる場所で、なぜ起きたのか。
そのようなことをこれから考えていく。
追記:
三冠馬(牡馬クラシック)とは、皐月賞、日本ダービー(東京優駿)、菊花賞を制した競走馬のことをいう。
日本ではセントライト(戦前)、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイルの8頭が達成している。
うち無敗の三冠馬は皇帝シンボリルドルフ、英雄ディープインパクト、英雄の仔コントレイルがいる。
ウマ娘となっている競走馬は太字(3頭しかいない、これには大きな理由がある)。
ウマ娘では無敗の二冠馬トウカイテイオー(シンボリルドルフの仔、彼女はアニメ第2期の主人公であった。怪我によって菊花賞を断念)の方がディープインパクトやオルフェーヴルよりも、よく知られている。
中高生(特に女性)は2005年の三冠馬や2011年の三冠馬など無縁である。
また、競馬には今でもギャンブルイメージがつきまとう。
よっぽどな競馬一家に育たなければ知る機会はない。
なお、変則三冠馬に戦前のクリフジがいる。
日本ダービー、オークス、菊花賞(戦前における最強馬との呼び声も高い彼女=セントライトよりも遥かに強い)を制した。
※ 本文からタグはつけない。
自分へ、頑張れ(笑)。
競馬もウマ娘も知らない人を想定して書いている。
(2022.11.18)