第26話:ギャンブルはいらない
一般的な競馬のイメージとして「ギャンブル」は常に付きまとう。
これは競馬ゲームとて同じであった。
ゲーム「みどりのマキバオー」シリーズではこのギャンブル要素は薄まっていたが・・・
それは重厚なシナリオが既にマンガやアニメをとおして世に知れ渡っていたからである。
これに沿ってシナリオ(育成)ゲームを作ればよい。
また、漫画「風のシルフィード」においてもギャンブル要素は少なかった。
(「優駿の門」シリーズにもそのようなイメージがある。)
翻って、競馬ゲームの方は育成システムにおいて競馬関係者(プレイヤー)とギャンブルは伝統的に緊密な関係にあった。
賞金を稼ぐという行為(かつ、それを生産に投資して牧場を拡大していく)、プレイヤーが馬主兼生産者(オーナーブリーダー)として活動、アプリゲーム「ダービースタリオン マスターズ」(「ダビマス」)においては「馬券(勝馬投票券)」を買うこともできた。
競走馬育成の成果はレースの「勝ち鞍」(の数と格)と「賞金」(の多さ)で決まる。
これがこれまでの競馬ゲームの王道コースであった。
たいしてゲーム「ウマ娘」はとことんギャンブル要素を削っている(笑)
一生懸命探してみたところで「印」(◎○▲△×)くらいである。
プレイヤー=トレーナーだが、男性の場合は(恋愛対象、アイドル後援における疑似)パートーナー、女性の場合は(スポーツ競技、アイドル活動における疑似)友だちあるいは自身と化す。
それを育てる新しいアイドル・アスリート(恋愛)育成シミュレーションゲームがこのゲームの本質だった。
(奇妙なことに)アイドルホースと人のアイドルはこの世界において符合していた(これについては後述、JRAが作った概念である)。
バートーナー、友だちはレースの「勝ち鞍」(の数と格)とファン獲得(数)を目指し、場合によっては同ゲームを一緒にやっているプレイヤー(ライバル)と争う。
この対人要素は初期においては色合いが薄かったが(AIによる単独参加かチーム戦)、後に激化した(チャンピオンミーティング:通称チャンミという)。
また、所属チーム(ゲーム内部にある)においても仲間意識とライバル心、「推し」ウマ娘によるレースが繰り広げられる。
しかし、それは基本的には温かい世界であり、あまり殺伐としていない。
(トップ中のトップ層のことは知らない、と一応付記。「お金」×「時間」を愛のエネルギーと考えれば半端ないグループ集団である。このゲームは億単位で「課金」している人がたくさんいる、笑)
少し話が長くなってしまった(かつ、雑談に力が入ってしまった)ので、
今回のテーマをまとめると、
これまでの競馬ゲームとの大きな変更点は牧場の拡大や投資、馬券があまり大きく関わっていない点にある。
(競馬ファンの間で流行っているPOG=ペーパーオーナーゲームとも無縁である。)
また、賞金獲得が競馬ファン(サポーター)獲得に置き換わっているところに注目されたい。
なぜこのようなことになっているのか?
それは「ウイニングライブ」(アイドル育成、楽曲提供、現実のライブイベント)の要素があるからである。
これに合わせて「ウマ娘」(「UMAMUSUME PROJECT」)は作られている。
本ゲームの主題も(まさしく)ここにあった!
言うまでもなく、ファン獲得数は多ければ多いほど良い!
育成の結果(ウマ娘=アイドルのランク)に強く影響を及ぼす。
このゲームにギャンブルはいらない!
欲しいのは「お金」ではなく、「ファンの数」であった。
(2022.12.22)