昔の写真がおかしい
20歳のとき、はじめてヨーロッパを旅行した。
2週間くらいかけてバルセロナ、ローマ、パリをまわる旅だった。
憧れのヨーロッパの街は、ただ通りを歩いているだけでもわくわくしたことを記憶している。
あのときの新鮮な気持ちを思い出したくて、旅の写真を見ていたのだが、なんだか様子がおかしい。
まず、圧倒的に写真の枚数が少ない。
当時使っていたSDカードが壊れてデータが消えてしまったため、LINEのアルバムを見ているのだけど、自分で撮った写真は数十枚程度だと思う。2週間の旅行で、だ。今なら数日の弾丸旅行でもそのくらいは撮ると思う。
そして、なんというか「記録」としての写真が多く、自分が写っている写真が少ない。
思い出してみると、あのときのわたしは、写真に写ることが照れくさかったというか、特に、自撮りへの抵抗が強かった。自撮りをするのは陽キャ。わたしはその部類ではないから、と、インカメは極力使っていなかった。
撮った写真自体が少ないのも、そのときのわたしの変な意地によるものだ。写真じゃなくて瞳の奥に焼きつけるとか心のシャッターをきるとかそうゆう方がいいじゃんと、ある種のイキり的なものが邪魔をして、写真が撮れなかった。
今になって思うのは、そんな変な意地は早く捨てればよかったということだ。
やっぱり、写真を見返したとき、自分や同行者が写っていたほうが面白いし、旅行中のことを思い出せる。
それに、写真を撮ることによって、その場で感じる感覚や感情が薄まってしまうということはなくって。むしろ濃くなる気がする。
価値観の変化により、最近の旅行の写真には自分と同行者が写った自撮り写真があるし、
素直に、切り取りたいと思った風景を写真におさめるようになった。
そっちのほうが楽しい。
旅先でいい写真が撮りたいとの思いから、カメラまで買った。
技術やセンスがないため練習が必要だけど、また旅ができるようになったら、道中でたくさん写真を撮りたい。