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【スウェーデンドラマ】カオスドラマだと思ったら、共感が止まらない…(Netflix)

Netflixでスウェーデン発の1話30分ドラマ『ラブ & アナーキー(シーズン1・2配信中)』を視聴し終えた。
 
「ビジネス系ロマコメ」で、体感の構成としては「仕事4:恋愛2:エロ2:家族問題2」という感じ(年齢指定あり)。
 
シーズン1は、経営コンサルタントの40代の既婚女性主人公が、年下の男主とオフィス内で「危ない遊び」を繰り返しながら、互いに惹かれ合うストーリーだ。
 
モラハラ夫、年老いた父親との関係、政治的な正しさと実生活の矛盾、芸術vs大衆……などなど、普遍的なテーマを内包している。

がしかし、それらのテーマの調理法が斬新すぎて、何度もビビる。
 
「スウェーデンドラマの型破り度すごっ!」というのが、アメリカとアジア圏のラブコメ世界に安住してきた私の感想だった。
 
シーズン1の後半、複雑な家庭で育ったであろう(回想シーンは一切ないが、セリフから悲しい少年時代を想起させる)男主の「毒親撃退法」があまりにも唐突で、10秒くらいあぜんとした。ちなみに、シーズン1の第7話。こんな場面、いまだかつてラブコメで見たことない。

一転、2022年配信のシーズン2。
 
引き続きアナーキー(無秩序)な感じが続くのだが、シーズン2は「仕事ドラマ」「社会派ドラマ」として、めちゃくちゃおもしろかった。
 
主人公の仕事場は、弱小出版社。
 
企業としてクリエイターの作品から利益を出さなければならない。しかし、社会構造は変わり、紙媒体は売れない。デジタル化は進み、今までのビジネスモデルではたちゆかない
 
「利益を出す」ことを突き詰めていくと、おのずと文学的な作品の価値が薄れていく。数字が出やすい人気インフルエンサーによる内容スカスカ本(文章はゴーストライターが担当)を批判する人もいるし、児童文学内にCO2を多く排出する乗り物が出てくると環境活動家から厳しい声があったりする。「良い文学とは…」なんてうんちくを垂れる説教臭いシニアは、厄介者扱いされる。
 
つまるところ、大衆に受け入れられて、全方向に正しくて、なおかつ金を生み出せるコンテンツなんて、今や世界のどこを探してもどこにもないのだ。
 
私の働く業界でも、丁寧に取材して何日もかけて執筆した丁寧な記事よりも、有名人のインスタグラム転載記事のほうが圧倒的にPV(閲覧数)を稼ぐなんてザラだし、SEO対策が抜群に上手な書き手に紙媒体出身の文章力至上主義の執筆者が「あなたは読ませる文章術を知らない」なんてアドバイスして疎まれる……みたいなことが起こっているので、このドラマを見ていると、おもわず「うーむ」と頭を抱えてしまう。
 
このドラマは、解決の糸口を示してくれるわけではない。しかし、異文化の中に、類似の課題を見出すことで「ラブ」とは別の次元で共感することが多かった。
 
型どおりではないけれど、「お決まりラブコメ」に飽きてきた大人は、1日30分ずつ視聴してみることをおすすめする。


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