アジア圏のラブコメあるある!「ありえない恋の始まり」7つ
アジア圏の新旧ラブコメを見続けて思った。
もはや、ありえないハプニングでも起こらないと、大人になってガチの恋愛をスタートするのはものすごく難しいのではないか、と。
それくらい、アジア圏のラブコメの恋の始まりはハプニング頼みなのである。
「あるある!」な恋のきっかけとは?
■1:隣人同士になる
なぜか、韓国と中国でよく出てくる、隣人との恋愛。
主人公が引っ越した先は「ちょっとイヤな“アイツ”の隣の部屋だった!」というパターンがよくある。
さらに、女主がバルコニーでボーっとしていると、お隣さんもボーっとしていたり、ゴミ捨て途中にすれ違ったり、ゴキブリが出没して悲鳴をあげたら偶然通りがかったり。
ライフスタイルが多様化して、隣人でさえなかなかすれ違わない現代の叶わぬ夢だ。
■2:飲酒・服薬で意識が飛ぶ
日常生活で何かイヤなことがあった女性主人公。
バーや飲食店で酒の力に頼って、普段は経験したことのない泥酔状態に。
そこに偶然表れる男性主人公。ラブコメ業界では「女性主人公は、酔うと無邪気になる」がテッパンなので、見ず知らずの男主に抱き着いたり、ベタベタしたりする。一晩寝ると、記憶は残っていない。
先日、テレビで放送していた60年前の不朽の名作『ローマの休日』を見ていたら、主人公の王女が薬の影響で路上で睡魔におそわれ、主人公の男性に介抱されていた。恋の始まりとして、昔からの王道パターンともいえる。
しかし、悲しいことであるが、泥酔した若い女性に待ち受けている現実は、映画の『プロミシングヤングウーマン』のほうが近いように思う。
■3:街中で発生するトラブル
町を歩く主人公。颯爽と歩く2人にハプニングが振りかかって人生が交錯する。
ぶつかったり派手に転んだり、シャツに口紅をつけたり、脱げたハイヒールが飛んで行ったり、髪が相手のボタンに引っかかったり、ひったくりの被害にあったり、そんな類のハプニングだ。
いずれにせよ、きちんと前を向いて歩くことが大切です。
■4:他の人のふりをしていたら、運命的出会い
事情があって友達のふりをしていたら、運命的な出会いだった。
つい最近、ネットフリックスで大人気を博した『社内お見合い』もこのパターンだ。
友人の見合いを断るために友人のふりをしたらイケメンがやってきて、あえて変な行動をして嫌われようとしたのに、好かれてしまう。
こんなことが起きる正確な確率を誰か教えて欲しい。
■5:たまたま利害が一致し「契約恋愛」
お互いの利害関係が合致して、「恋人や夫婦のふり」をしてから、本気の恋愛に発展。
男性の場合は家族が「結婚しろ」とうるさい、会社の取引上有利など。女性にとっては経済的なメリットがある、住むところができる、などの理由で。
往々にして男が金持ちで女は貧乏、というケースが目立つ。
経済格差があるにも関わらず、利害関係がドンピシャリと一致するハプニングにお目にかかりたいものである。
■6:「男女の人格」が入れ替わる
天変地異や大きな事故が起こって、男女の人格が入れ替わることが恋のきっかけになることも。
入れ替わることで「相互理解」が深まり、愛し合い、元に戻ってハッピーエンドがテッパンである。
■7:過去に縁があった相手と偶然再開
ラブコメの男主が過去のトラウマを抱えているというケースは多い。
そんな男主が、じつは女主に救われていた、というケースが見受けられる。
過去の交通事故で救助に携わっていた、おぼれたときに助けてくれた、寂しいときに手を差し伸べてくれた、大切なものをプレゼントしてくれた、など。
大人になっても忘れられない相手が、女主だった……。わかった瞬間がその恋愛のピークになりそう。その後のつまらない日常に耐えられるか心配だ。
【考察】恋の始まりが「ハプニング」頼みになる理由
ここまで、ドラマの中で恋愛のきっかけとなる「偶然のできごと」をいくつかご紹介した。
1つ1つの選択にメリットとデメリットがつきまとう現代では、選択に失敗すれば、自己責任となる。恋愛市場においても、同様だ。
相手のスペックでフィルターをかけ、相手選びを間違えたら、見る目がなかった自分のせいになる。そう、恋愛においては合理性が大切なのだ。
そんな状況では、よほどのことがないと、「ドボン」と恋に落ちるのは難しい。
そうした凝り固まった心をガラガラと壊してくれるのが、ハプニングや偶然なのかもしれない。
ある社会学者は、恋愛や友情では「あえて合理を粉砕して、反射や情念の高揚に身を委ねることが正しいこと」もあり、合理性の限界を知ることを「メタ合理性」と呼んだ。
ラブコメで頻発するありえない偶然をバカにしたくなるときもあるが、人の感情や環境がコントロール不能になる瞬間があることを知らしめてくれる存在が、ラブコメのハプニングなのだ。
人は大人になるにつれて、現実の酸いも甘いも苦いもかみ分けて、それなりに傷ついたりして「都合のよい偶然なんてない」ことを知っていく。
だからこそ、ラブコメの偶然をフィクションとしてガハハと楽しもう。
恋愛など関係なく、人間関係で日々発生する小さなハプニングも楽しもう。
「この設定、ありえない」と、ドラマをシャットダウンするかどうかは、自分次第だ。