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【英国ドラマ】『ハートストッパー』ポップな雰囲気なのに泣きすぎて目が腫れた

 この週末、Netflixで配信中の英国ドラマ『ハートストッパー』(全8話/シーズン2が配信スタート)を一気見した。
 
主人公は男子高校生のチャーリー。ゲイであることをオープンにしており、一部の学生からの差別的な言葉や眼差しを浴びながらも、良き親友たちに囲まれている。
 
チャーリーと授業で隣り同士になり、互いに意識し合うようになるのが、ラグビー部の花形選手、ニック。特権意識の強い体育会系グループとつるみ、校内でもよく目立つ。いわゆる「スーパー陽キャ軍団」の1人である。
 
そんなニックは、チャーリーとの出会いをきっかけに自分のセクシュアリティに疑問を抱き始める。インターネットの海をさまよって解を求め、チャーリーのまっすぐな気持ちに寄り添いながらも、自分のキャラが崩れた後の恐怖を抱えて堂々巡りする様子は、じつにリアルだ。
 
しかし、このドラマのいいところは「苦しい」「つらい」のワントーンに仕上げないところ。恋する2人の多幸感や、解のない問題について逡巡しながらも前を向くまでのプロセスや、互いの幸せを喜び合える友人の存在によって、主人公を取り巻く日常が色鮮やかに描かれる。
 
学校内のヒエラルキー、集団の同調圧力、周囲の無自覚な言葉が当事者に与える不安、アウティングに対する個々の感覚の違いなどによって、ただ純粋に「好き合っているから、堂々とすればいい」とはいかない事情も見えてくる。

 『ハートストッパー』の物語が進むと、主人公の2人だけでなく、チャーリーの友達や2人の家族のことが大好きになっていく。友人の優しさに泣き、主人公の苦しさに心を痛めて泣き、登場人物が共鳴した喜びで泣いたりするので、私の涙腺はコントロール不能になる。
 
たとえ目が真っ赤になろうと、視聴後は晴れ晴れとした気持ちになる稀有なドラマだ。
 
1話30分。Netflixでシーズン2まで配信中。
 

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