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おひとり様ご飯にありつけるまで
女性ひとりで軽やかにレストランに入り、美味しい食事とお酒を楽しむ、いわゆる「おひとり様ご飯」。皆さんもこんな素敵な時間を過ごしている女性を見かけたことはないでしょうか。
お恥ずかしながら、わたくし28歳にして、先日「おひとり様ご飯」初デビューしました!
当初、私が楽しみたかったのは夜のライブ前のアペリティフ。
アペリティフとは食事の前にアルコール、オリーブやナッツなどのおつまみと共に楽しむ時間のことで、フランス発祥の文化。近年は日本においてもアペリティフの文化は浸透しつつありますよね。私もライブ前にアペリティフを楽しみたいと思い、意を決して挑戦してみることに。初のおひとり様ということで、お店のチェックは入念に行い、一人でもひと目を気にせず楽しめる、おしゃれで美味しそうな雰囲気のお目当てのお店へ直行。いざ入店しようとすると・・・
「おひとり様ですか?あ~、カフェタイムは17時で終了してるんです」店員さんから、すかさず飛んできた一言。「私はカフェじゃなくて、アペリティフを楽しみたいの・・・」と心の中で呟いてみたものの、「一人でディナーじゃないよね?」という店員さんの間接的な言葉にグサり。押し通す勇気がなく、あっさり、ひっそりとその場を去った。ひとりでお店に入れなかったことに情けなさを感じつつ、そそくさとライブ会場へと向かうことにした。
多幸感に満ちた1時間強のライブを終え、高揚感と共に再びおひとり様ご飯への意欲も湧いてくる。再リベンジを果たすべく、いざ渋谷駅近辺にある高層階レストランへ向かう。兄イチオシのお店で渋谷の煌めきを見下ろしながら食事を楽しもうと思っていた。しかし、夜21時にして、お店の前には長蛇の列。一度は列に並んでみたものの、夜の21時からひとりで並ぶ元気は持っていない。またもや作戦に失敗したことに対して、静かに悲しくなる。
とは言え、お昼から何も食べていないお腹はそんなことも言っていられない。周りのお店ですぐに一人でも入れそうなお店を探し、「えいやっ」と天丼屋に入店。すかさず、ビールと梅水晶、おススメの天丼を注文し、そわそわしながら食事が届くのを待った。
まずビールをひと口、シュワシュワ~っと広がる程よい苦み、最高だった。続いて梅水晶、天丼と次々と料理が運ばれてきた。自分の食べたいものを自分だけのために注文し、それがちゃんと運ばれてくる、そんな当たり前のことが非常に嬉しくって、にやける。
料理が届けばこっちのもんだ、と言わんばかりに、ひとり料理をほおばる度に幸せのため息がこぼれる。料理の美味しさはもちろんのこと、おひとり様を経験できたことの達成感を含むため息だった。
ご飯ひとつ楽しむにも、おひとり様って想像以上に難しい。おひとり様ご飯のエキスパートになるにはまだまだ道のりは長そうだ。
今回の珍道中を通じて、世の中のおひとり様ご飯を楽しんでいる女性を改めて、強くてしなやかで素敵だと思った、そんな夜だった。